向田邦子『父の詫び状』
一番好きな本だ。 向田邦子さんの本はたぶんすべて読んだと思う。 中でもこの「 父の詫び状 」 は、なんとも切なくなる本なのだ。短編のエッセイなのだけど、この本に出てくる父親がわたしの父とだぶるのだ。 ワンマンで、学歴がないコンプレックスを常に抱えている。 外では学歴がない分、人並み以上の努力をしているのだろう。 だが家族には絶対的な権力を誇示するのだ。 この父親が、初めて親としての素の部分を出す場面があるのだ。 その姿に、なんだか泣けてきた。 そしてまた、長女(向田邦子)である娘に自分の姿がだぶるのだ。向田さんが飛行機事故で亡くなったのが、いかにも惜しい。 確か50代だったのじゃないだろうか。。。 ご存命なら、どんな作品を書いてくれたのかと思うと、本当に残念だ。