愛着と執着

2017.01.05

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昨年の末のこと。
「愛着と執着」という言葉が降りてきました。

愛着とは。
愛が起点。それがあることによって幸せが増すもの、という感覚だそうです。
執着とは。
恐れが起点。それがないと不安で仕方のないもの、という感覚だそうです。

この二つはかなり微妙なところで表裏一体をなしていると感じられませんか。

例えば。

ペット君には特別愛着を感じる、とかペット君に強い執着がある、とか。

あのコがいると私はとても幸せなの。
そう感じる場合でも、それが時に愛着からくるもの、時に執着からくるものとわけられるかもしれません。
同じように、ペット君に対する私たちからの「愛」だと思っていたとしても。

私の知人は、こんなことをよく口にします。

「あのコが死んだら私は絶対ペットロスになるわ。
　どんなにボロボロになってもいいからあのコには絶対長生きしてほしいの」

これは、上記の考え方を踏まえると、実はペット君への執着になるんですよね。

ただし、執着はいけないと切り捨てる必要はありません。
執着＝いけないことではないのです。
執着には必ず意味があります、その意味を探り出すことを私たちの「執着感」は求めています。

私は執着しているんだ、なぜなんだろう。
その理由を考えていくと、案外大きなことが原因ではなかったり、
またご自身の過去のトラウマとの関連が浮き彫りになったり。

私は上記知人の気持ちは、たぶんご両親のいずれかとその方との関係によるものが
その根底に潜んでいるのではないかと感じています。

ということは、もし知人が自分の気持ちが執着だと気づけば
第三者である私が何らかのアドバイスや情報提供などをすることもできるということです。
その時が来れば。
つまり、この知人の「執着」には
彼女が前に進むための大切な一歩「踏み石」の意味があるということです。
前に進む。
それは「執着」が「愛着」に変わる時なのかもしれません。

このことを私自身のことに置き換えて考えると実は私は愛犬・華実に対して、

「最後まで元気に生きて欲しい。
　でも、もし旅立ちがたとえ明日来たとしても哀しいけれど華実の気持ちを尊重できると思う」

という考え方をしています。
冷たいようですが、私は両親、兄、共に突然死で喪っているため、
とこかで旅立ちのタイミングは見送る側が決めるものではなく、
旅立つ側の意志によって決められるものだと、そう感じているためです。
旅立つ側の「魂」の意志といった方がいいかもしれません。

この考え方を決定づけてくれたのは、私の最愛の猫・海・かい。
海・かいの旅立ちも突然でした、本当にあまりにも突然。

けれど旅立ちの直前、
海・かいは私たち家族に対する挨拶らしいことをしっかり儀式化して表現してくれていたんです。
旅立ちの瞬間には気づけなかったけれど、しばらくして私はそのことに気づくことができました。

また海・かいは光をまき散らしながら天に昇っていき、
その直後、空にはそれまで見たことのない、大きくてくっきりとした「虹」が出ていました。
虹には「神様との約束」という意味があるそうです。
つまり、海・かいの旅立ちは海・かいの魂の意志であると同時に
神様との約束通りだったということなのではないでしょうか。

実家の犬・ぽぽも、旅立ちの直前、「ありがとう」というように
最後に大きく一つ雄たけびをあげたそうです、ぽぽの旅立ちも突然でした、
亡くなる直前まで普通に生活していました。

海・かいもぽぽも魂の意志で旅立った、という考え方が実に私にはしっくりきます。
すとんと腑に落ちる、というか。
かなりの確率で、すべての命がそうなのではないかと。
ちなみに、私の両親も兄も最期の瞬間まで日常生活をしていました。
ごくごく普通の生活からの旅立ちでした。
つまり一般的には突然死と言われるタイプの旅立ちでしたが
私の視点では誰もが「大往生」なのです。

そんな旅立ちへの思いからなのか、私は愛犬・華実に対して
少なくとも命への執着はあまりないみたいなんです。
それよりむしろ、一日一日を楽しく幸せに、ただそれだけを願っているというのが正直なところ。
ということは、私は大切な人達を突然、本当に突然、次々に喪うという
大きな哀しみを経験したお蔭で
逆に命に対して愛着心がわいてくるような思考回路に変わってしまっているようです。

大切な存在を喪った。だから執着が生まれる、というのが
一般的なような気がするけれど、コインは完全に反転してしまったのかもしれません。

そう考えると、家族の喪失、海・かいの喪失は
大きな意味で私へのGiftだったということになるような気がしています。
人の死、ペット君の死にたいして不謹慎だと感じる方もあるかもしれませんが、
これは私にとっては、という意味です。

ただ、それは命に関してのみ。
私にも執着はたくさんあります。
それに実際愛犬・華実が旅立ったら、私は取り乱して、
「いやだ、いやだ、おいてかないで。私を一人にしないで」
と大泣きをして、その後も重篤なペットロス症候群になったりしてしまうかもしれません。

でも、それでいいんだ、と思います。
今はどちらかというと愛着心をもって華実や愛猫・海・うみと向き合うことができているけれど
何かのタイミングで「愛着」→「執着」に変わってしまうことが出て来てしまったとしても
それも私、私にとって必要な感情、と
どんな自分であっても受け容れられるような自分自身でいられることの方が大切なような気がします。
今はありがたいことに「愛着」の感情で華実や海・うみと接することができている。
その現実を毎瞬毎瞬、粛々と味わせてもらうだけで十分です。

何が言いたかったんだろう。
「愛着と執着」については、まだまだ何か言い足りないような気がしていますが
きょうのところはこんな感じでしょうか。

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　監修　ホリスティック獣医師　　渡辺由香先生　阿部知弘先生

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