♪ 空にある白きかがやき夜の雨にぬれてなお増す花のあやしさ
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「マグノリア」と言われる香水の原料となることで知られている泰山木。近所の緑地帯に大きな木があって今を盛りに真っ白な花を咲かせ、ほのかな香りを漂わせています。
モクレン・目モクレン科・モクレン属で、モクレンやコブシなども
同じマグノリアの仲間なんですね。 北アメリカ原産の花で原始的な特徴をよく残していると言われ、
ミシシッピー州の州花だそうです。
真っ白でシンプル。高い枝に静かに咲いている姿が母のようだと、歌に詠んだことがあります。手の届くところに咲いているのを見て自分のものにしたいという欲求に駆られ、夜陰にまぎれた花盗人となり、密かに持ち帰って玄関に飾った。
♪ おおらかに昭和を生きた母に似て泰山木の白き花咲く 2008年5月21日
野にあるものを家の中に持ち込むのは良い趣味とは言えない。美しい娘をかどわかす(泉鏡花にそんなのがあった気がする)気分でかっさらってきてしまったが、泰山木の花にはそんな魔力が潜んでいるのかも知れない。
朝になって見て驚いた。一晩で花は完全に開き、楚々としたものが化けの皮を剥がされたように消えている。
開く前はあんなに初々しい無垢な姿をしていたのに、そこに隠されていたものがこぼれ出てきている。意外なほどに大きな顔だ。それを惜しげもなく開き直るようにひろげている。
剥がれ落ちた雌しべが花弁の上に乗っている。しどけなさと退廃が、栄華の果ての残渣のようにへばりついて見苦しい。花弁が9枚というのもなんだか落ち着かない数で、江戸川乱歩の小説にでも出て来そうな怪しさがある。
午後の姿。あのマグノリアの香が玄関に充ちている。
花瓶に挿すときに葉を何枚も落としたが、その葉のなんと硬いこと。情緒というものがまったく感じられずプラスチックでできているようで、とても植物とは思えない。花の印象とは全くちがう別の世界のもののように思われた。光沢のある緑色の表とは似ても似つかぬ葉裏は、微毛をまとった光沢のない茶色なのだ。この裏側の葉は何かを暗示している様でもあり、おぞましさが手に伝わって来るようでもあった。
花後にみせる果実が同じ仲間の朴の木のそれとよく似ていて、これとて何とも珍奇な姿をしている。花を知らずにこの姿だけを見たら、花言葉の「前途洋々」「威厳」を連想する人はいないだろう。
左が朴の木、右が泰山木
朴の木は花の遅い泰山木と違いすでに果実は落ちてしまっている。それを見て、思わず写真に撮ったことがある。
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最終更新日
2021.06.06 18:34:25
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