♪ 土に宿る精霊の声雨に聴くそんな目覚めの朝(あした)に生きむ
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彼岸の中日、春分の日ですね。太陽の通り道である黄道と、地球の赤道を延長した線が交わる2ヶ所の点を、それぞれ春分点、秋分点といい、春分点、秋分点の上を太陽が通過する瞬間を、春分、秋分と呼う。この春分が含まれる日が春分の日とされるんですね。
太陽が真東から上がって真西へ沈む為、昼の明るい時間と、夜の暗い時間がほぼ同じくらいになる。昔は「春季皇霊祭」と言う宮中の先祖の霊を祀る日であるため、祭日とされました。
農業も庭いじりも本格的になって忙しくなる季節。
オーガニック栽培が言われるようになって久しいですが、主流派あくまでも在来農法で作られているのが現状ですね。そんな無機的な科学薬品で野菜・果物を育てることに異論を唱え、10年の歳月をかけてSDGsの先駆けとして自然農法を確立した人がいます。
「川口由一」さんは、幼くして父を亡くし、中学卒業後に米農家を継いだが、化学肥料や農薬を使って、吐き気や発熱が続きその毒性が恐ろしくなっていた。長女の誕生を機に安全な食べ物を育てる農法を始めたという。「福岡正信」の自然農法などに影響を受け、78年から模索しはじめたらしい。
「自然農」とは、“耕さず、肥料・農薬を用いず、草々・虫たちを敵にしない” 自然の営みに添った農です。田畑の中では、お米や野菜、草や虫、小動物や微生物…無数のいのちが別なき一体の営みをする中で、生死を繰り返し、次のいのちへと巡らせます。 この完全絶妙な自然の営みと巡りが、自ずから必要なものを過不足なく用意し続けていきます。
田畑に立つ私たちも又、ここに添うことで平安です。農薬や化学肥料、堆肥や微生物、機械や施設、石油やビニールなど、何も用いることなく、健康で清浄な、安全で味わい豊かな恵みを手にすることができます。最も単純で少ない労力で栽培でき、環境に一切問題を招かない永続可能な農です。
「赤目自然農塾」
三重県名張市と奈良県宇陀市にまたがる棚田で、3年〜30年放置された約2町1反(6300坪)の棚田を地元の農家の方よりお借りしているそうです。
無償というところが凄いね。法人化、組織化をせず、規則、形を定めず、必要な物、人、お金を他に依存することなく、自立自営で成り立っています。真に深い確かな学びが一人ひとりの中で成しとげられるよう、塾生に求めることなく、課することなく、自由の中で、それぞれの自覚と自主を基本にしてい るらしい。
川口氏が自然農法に至った切っ掛けは「リンゴが教えてくれたこと」の木村秋則氏とよく似ている。歳は木村氏の方が10歳若く、78年ごろに無農薬・無施肥を模索し始めている。奇しくも川口氏と同じ年に、奈良県桜井市と青森県弘前市(旧津軽群岩木町)で壮絶な農法実験を始めたことになるんですね。
農業をやっている人、志している人は絶対この本を読んでほしいです。2009年発行の本で、この後自然栽培は全国に広がっていった様ですが、まだまだそのことを知らないか、知っていても農協の圧力で出来ないでいる地域も多いのかも知れません。また、すぐに結果が出ないとやって行かれないのも事実でしょう。
しかし、世界のあちこちでこの農法が認められ、実践されて成果を上げているようです。先日TVで、ガーナでの不耕栽培を紹介していました。特に貧しい後進国では目を見張るような成果を上げているのも事実で、一周回って日本は遅れた国になって行くようです。
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このコロナ禍を契機に自然志向や無理・無駄・無意味に気付かされて、新しい価値観も生まれてきている様ですから、大きな転換期になる様な気もします。今まで通りでいいというステレオタイプはもう通用しない。
真意を言わず相手に忖度させるような風潮は官僚と議員だけの問題ではなく、日本人の根本的な資質に関わっている。空気を読むだの腹芸だの強者が姑息な手法で弱者を操る文化は、何かと世界に後れを取っている原因でもある。
日本は、工業製品の輸出の見返りに「食」を輸入する国になった。気づけば、自給率の極端に低い状態となって「食」を他国に依存する国になってしまっている。耕作放置や廃村にまで及ぶような少子高齢化が、じわじわと国を蝕んでいる。世界的な気候異変で農作物が採れない年が続き、食糧危機を迎えて争奪戦になれば、目先の事しか考えない政府には対抗する術もなく、兵糧攻めにあえば一たまりもない。
木村秋則氏のことは以前にも・・・。
◆ 2013年10月28日 本当の無農薬栽培の話(不耕地栽培の先駆者・福岡正信氏の動画があります)
■ 2017年5月24日 田んぼの微生物をオタマジャクシと共に持ち帰る
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