♪ 高きより低きに流れゆく雨の更地に惑いわが庭に寄せくる
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爺さまが染色をやっていた昨日。ふと外に目をやると、何人かが近くの空き家に入って行ったのが見えた。何か調べに来たのだろうか、なかなか出て来ないので気になっている。
しばらくして、「解体工事が決まりました」と業者が挨拶にやって来た。家の前を更地にした同じ業者のようだった。爺さまが更地を見ながら、「ちっとも工事が始まらないけど、何か有ったんだろうか?」と探りを入れている。
「開発許可が下りないんだそうですよ。チラッとそんなこと言ってるのを聞きました」って。何が原因で許可が下りないのか、詳しいことは分からないらしい。
どうなってるのか、市の都市計画課に行って聞いてみようかな~と、市役所が近いのでそんな気になる爺さまだ。
解体する家の庭も、拡張される道路の一部になる事が決まってる。なのに、そのままになっているので、どうなったのかな~と思っていた所だった。「面倒なオーナーとの話がようやく決着したんだろうなぁ」
これで僕たち猫の避難と隠れ場所、兼昼寝の場所が完全に無くなっちまうとになるねぇ。芽吹き始めた大きなナンキンハゼは、野鳥の止まり木だし実は食料でもあったけれど、それも無くなってしまうんだ。爺さまは、奥歯が一本抜けてしまって部分入れ歯になった時のうような、淋しさと切なさが入り混じった顔をしている。
明日からまた重機のあのやかましい音が響くようになって、僕らはまた身をすくめて過ごすことになるんだ。案内文には月末までとあったけれど、1週間ほどで終わるらしい。
場所がいいので買い手はすぐにみつかるだろうと爺さまは思っているけれど、向こうの通りからも見通せるようになっちまうのがねぇ、ちょっとばかし辛いんだよぉ。
昨夜の大雨で、更地の水が通路に流れ込んで川のようになっていた。土砂も流れ出しているし、晴れば晴れたで風で土ぼこりが舞うだろぅ。夏が近づいてきて南風でも吹けば、それがこっちの方に向かってくるんだろうなぁ。
爺さま、「このまま放置されるような事だけはご免だ。早く境界をきちっとして、道路を作ってもらいたい」って、禿げ頭をなでながら呟いてる。
ああぁ、またうるさくなるのか。家の中に居たって音は響いてくるし、居場所がないんだよなぁ~
「このブログは2020年8月22日より、飼い猫ピピの目線で書いています。タイトルの頭に ◇ が付いてますが一部例外があります。日によって文体が違ったりしますが、未熟さを面白がりつつやり過ごして頂けるとありがたいです。」
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