♪ 五月晴れの空に重機の音高く内耳ぎゃたぎゃたぎゃたぎゃと泣く
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例のごとく野次馬根性のある爺さまは、別の隣家の解体工事の様子を観察している。暇って言えば暇なんだろうけど、目の前でやっているのが嫌でも目に入るから無視することも出来ないらしい。
僕たちが隠れ家にしていた家が壊されていくのを、「エントロピーの仕業だ」なんて言ってるくせに、やっぱり気になるんだねぇ。
孫ちゃんが「ぶんかいが好き」なんて言ってるので、家に来た時にそばに連れて行って見せてやっていた。だいぶ作業が進んでいてほとんど家の形が無くなっていたんで、あんまり感動しなかったみたい。自分ちの近くでも家を壊してたらしく、毎日学校に行く時に見ていたので重機が珍しくもなかったようだ。
爺さまは、ちょっとガッカリしたみたい。ああだこうだ知ったかぶりの説明をしてやりたかったんだろうね。
何だかしらないけど、業者が奥さんを呼んで説明していた。この日はやたらに深く掘り下げていて、目盛りの付いた棒で深さを測ったり、写真を撮ったりしていた。
昔を知っている近所のお婆さんが「地下道みたいなのがあった記憶がある」なんて言ってたらしいけど、子どもの時の事なのでねぇ。大したものじゃなくても、やけに大きく感じるもんだから、それが何だったのか、正確なことは分かんない。
連休に入った金・土の二日間で大方の工事は済んだ様だようで、ナンキンハゼの大きな木も姿を消し、瓦礫の山だけが残されている。
やはり路地側のブロック塀は残される様子。すでに買い手が決まっていて、その買い手の希望で残すことになってるんだろうと、爺さまの想像していた通りになりそうだ。
連休中は、生憎というか自粛には好都合だったとも言えそうな不順な天気だったけど、連休が終わった途端にいい天気になった。夏日になるっていう予報の今朝、さっそく最後の片付け作業が始まっていて、重機がやかましい騒音をまき散らしている。
爺さまの傍でまったりしていた僕は、ウロウロするばかり。このどうにも避けられない一日をどう過ごせばいいのか。もう、ウンザリです。あのバケットで瓦礫をすくって、混じっている細かい土砂をガタガタガタガタ揺すってふるい落とす、あの大きな金属音と重低音がもう、大っ嫌いです。
隣の部屋に移動して、ただじっと耐えてるしかないんです。「耐えるからこそ、その後の静寂が宝物のように思えるんだよ」って、爺さまの言うことは抹香臭。そんなのを聞く耳も持ってないしなぁ。
耳の良い猫にとって騒音はとっても苦手なの。手で顔を隠すことは出来ても耳をふさぐことなんかできないし、まして耳栓なんかもってないし。今日一日で終わるのかもう一日かかるのかどうか分かんないけど、とにかく早く終わって欲しいってただただ願うばかりです。
な~んて言ってたけれど、昼ごろに外を見たら塀を壊し始めているじゃないですか。爺さまの言うことはあんまり当てになんないねぇ。
外出から帰って来た爺さまが、塀がなくなっているのでビックリしてた。「な~んだ結局はこうなったのか」なんて、すっとぼけたことを言っている。
「このブログは2020年8月22日より、飼い猫ピピの目線で書いています。タイトルの頭に ◇ が付いてますが一部例外があります。日によって文体が違ったりしますが、未熟さを面白がりつつやり過ごして頂けるとありがたいです。」
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