♪ 残酷さを忘れるためにもの言えぬペットを愛でて善人になる
夜、アランが走ったりガタゴトしたりしているので何かと思ったら、小動物を捕まえてきたらしい。リビング、玄関、キッチンと場所を移動しいていたぶっているが、まだ生きているんだろうか、死んでるんじゃないのか? せっかく捕まえてきたのだからそのままにして、しばらく様子を見ようということになった。
一体この時期に何を捕まえたのか。トカゲなんか冬眠してるし、羽が生えているようにも見えないし、まったく想像がつかない。
テレビを見ていて、いつの間にか静かになっているので、あれは何だったのだろうとカミさんが見に行く。キッチンの隅に何かが・・「ネズミ~!」「半分しかなーい。他は食べちゃったらしい」。床には血が付いているし、内臓が飛び出たそれはいかにもむごたらしい。小さな鼠で、2年前の12月にも捕まえて来たことがあるハツカネズミらしい。
半分しか食べないとは、人間世界では通用しない無作法なやつだ。
ゴキブリと毛虫・芋虫が大嫌いでも、何故かほかの昆虫や小動物は平気なカミさんが「かたずけて~!」と叫んでいる。「そんなー、鼠なんて平気なはずだろう!」と言っても取り合わない。そのくせ片付け方を指図する。やれ新聞紙に包めだの、ゴミ箱にじかに入れないで、捨ててあるプラ容器に入れろとか言ってうるさい。自分は、床に着いた血を拭くのにとキッチンペーパーにメタノールを振りかけてスタンバイしている。
古い隣家が壊されてしまいそこに棲んでいたのが追い出され、生き場を探して未だにうろちょろしているのかもしれない。そういえば、この日は、ピピもアランも様子がおかしかった。押し入れだの染色部屋だのの戸の前で、何かを訴えてウロウロ、そわそわしたりしていた。鼠の鳴き声でもすればその理由もわかるが、そんなものは何もないので、その挙動は不審のままだった。
鼠は、猫の通用口から入り込んだのかもしれない。周辺の環境は一変したが、長年家とともに生きてきた鼠は家もろともに死ぬわけではないので大変だ。鼠の被害はないので、入ってすぐに見つかってしまったというところか。周りの家が壊されていった過去に何度も経験していることで、猫のお陰で水際ではないものの被害を食い止めることが出来ているわけだ。タダ飯食ってるわけじゃないんだね。
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