♪ 建築の違いは音に表れてモデルハウスに鎹(かすがい)を打つ音
次々といろいろな材料を運んでくるトラックが出入りし、住宅の建設は雪の日も休まず急ピッチで進んでいる。足場に防災シートが掛けられているので見にくいが、正面の家は外装工事は済んで内装工事に掛かっている。
中に入るのは気が引けるので、入り口から覗き見るだけだ。電気、ガス、水道工、排気筒など、先行あるいは並行して設置されていく。
もう一軒の方は外壁工事の途中で、防水シートを張った上に下地材を取り付け、その上に外壁材を張っている様子が分かる。こちらはモデルハウスの裏側になるので工事の様子はほとんど見ることが出来ないが、ほとんど同じようなものだろう。
それよりも目の前で進むモデルハウスの工事が他とはずいぶん違っていて面白い。工法が全く違うらしく、棟上げ直後に大工の立てる音がまったく違っていた。
二階から眺めていたら、梁と間柱(管柱)の接続部分すべてに鎹(かすがい)を次々と打ち込んでいる音だった。最近は鎹なんてあまり見たことがないので、もう使われていないのかと思ったが、どっこい在来工法には必要らしい。
このモデルハウスの前に変わった機械を乗せたトラックが止まっていて、ホースが建屋の中に引き込まれている。
何やらシューシューという音がするが、入り口がビニールで覆われていて見ることが出来ない。ふと見ると、側にこんなものが落ちていた。ナイロン製の防護服に黄色いボツボツが固まって付着している。ああそうか、発泡ウレタンを吹き付けているのか。
近づいて上を見ると、やっぱり。土地が狭く、建てられる大きさが限られるので容積率を高めるため、二階を出張らせてある(建ぺい率に加算されない)。見上げると、その部分に黄色いぶつぶつが吹き付けてある。吹き晒になるため、防寒対策が必要なのだろう。
フロン系ガス?と合わせながら吹き付けていくものらしい。発泡ウレタンの充填タイプはスキマなく埋めることができ断熱性も高い。コストも安いため、暖房費、冷房費の費用を抑えることもできるらしいが、まだ新しい工法で曖昧なところがあり、ちゃんとした材料としっかりした施工をしないと効果が期待できないとも言われているらしい。
このモデルハウスはずいぶんコストを抑えてあるようで、屋根は片流れのスレート瓦だし柱も細い。とうぜん壁も薄いだろうし床も薄い断熱材しか入っていない。それで、出来うる限り(多分、隙間を防ぐのが主目的なのだろう)こういう科学的手法を交えて従来の工法の弱点を補っているのだろう。
今の家はみんな窓が小さい。 こっちがモデルハウス。
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