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歌 と こころ と 心 の さんぽ

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2022.02.05
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カテゴリ:観察

♪ さざ波のコサギの足に光る午後こだわり店主の珈琲を飲む


 久しぶりに太田川の「茶房じゅん」まで歩く。しかし、出たのが遅かった。着いたのが3時45分で、コロナの自粛中は4時に閉めるといって最後のお客が帰るところだった。

 カウンターの中にもう一人いるので、「今日は一人多いんですね」と言うと、淳さんが「骨折したの、去年」と右手を挙げて包帯を見せた。なんでも、庭で花を摘んでいて尻もちをつきその拍子に手をついたら折れたという。手首の上の部分を複雑骨折し、利き腕のため仕方なく助っ人を頼んだということらしい。
 毎朝、自転車で大府のけっこうな坂を上り下りしているので足腰には自信があるのに、やはり骨は脆くなっているらしい。水だけ飲ませてもらって、早々に退散した。



 来る途中で目についた喫茶店に、この際だからと寄って見た。自家焙煎を売りにした喫茶店のようで、店内にはそれらしき雰囲気が。
「この店のおすすめは何ですか?」と聞くと、「そういうものはありません。うちは深煎り焙煎が特徴でお客さん好みのものを選ぶことが出来ないんです」ときた。メニューに、“味のバランスについては店内に表示してある”とあるのでそれを確認すると、テーブルの下からホワイトボードを取り出した。



 このボードを見ながら「本当におすすめするなら〇〇を選びますが、900円ですのでどうでしょうかねぇ」とかなんとか。「そりゃあ高いわ」と正直に言ってボードを眺め、「深煎りなら苦みが強いんでしょうね」などと言いながら、酸味のない「マンデリン」を頼んだ。これでも600円もする。

 酸味がないのであっさりした軽い味でそこそこ美味しかったが、やはり酸味が無いと物足りない。「ホンジュラス・HG」とかの方がよかったかな。昔「ブラジル3・コロンビウア2・モカ1」の割合でブレンドした豆を挽いてもらっていたことがある。

 店内を見回すと、以前は何の店だったか記憶がないが、ほとんどそのままを使っているようであまり手が入れられていない感じ。椅子も揃っておらず、なんだか落ち着かないのは、狭い上に落ち着けるように考慮した設えになっていないからか。ここで自家焙煎のこだわりコーヒーをじっくり味わえというのには無理がある、というのが第一印象だった。


 確かに、今はこういう自家焙煎を謳ったこだわりの喫茶店が増えているらしい。しかし、もっと広い空間でゆったりとした時間が流れているような、庭を眺めているだけで幸せ感があるとか、いいBGMを聴きながら好きな本をゆっくり読める雰囲気とか、何かそういう特徴が無いとこの田舎町の変哲もない場所で高価な珈琲を飲む気にはなれないんじゃないかな。こだわりだけでお客を呼び込むのは難しいと思う。

 店主はとても硬い印象の若者で、人の扱いが下手などちらかというと客商売には向いていないタイプ。笑顔もなければ愛想も悪い。バックでこだわりの珈琲を淹れていられればよく、接客はしたくないけど仕方なくしているという感じ。

 商売は立地が第一で、良い物件をいかに手に入れるかでほぼ決まると言ってもいいでしょう。しょっちゅう店が変わるところは、その立地条件が主な原因だろうと思う。大した工夫も特徴もないのによく流行る店もあれば、こだわり抜いて金をかけているのに客が入らない店がある。

 店の窓が駐車場に向いていて、窓からは緑もない上に外から丸見えなんて、いくら安い物件でも止めた方が良い。このこだわりの珈琲店はその悪条件が揃いすぎている。3年前にオープンしたらしいが、その苦難の3年間を物語っているのが珈琲以外のメニュー。



 珈琲に特化したものを諦めて、フードに力を入れるようになってきているような感じ。実際はそうじゃないのかもしれないが、これからもっとメニューが増えていくような気がする。そうなると経費倒れに陥る心配が出てくる。
 多分、夫婦で頑張っているのだろう。手書きのメニューには心がこもっているし、良いセンスをお持ちのようだから頑張ってほしいと思う。1時間かけて歩いてくる身としては、しょっちゅう来るわけにもいかないので、なんとも致し方ない。



 せっかく大田川という一級河川があるのだから、その川を眺められるような立地であれば、水鳥や白鷺の姿や緋鯉の泳ぐ様子が、日に二回の潮の干満の変化とともに楽しめるのに、川の両脇に道路があるので家屋の建築はできないようだ。





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最終更新日  2022.02.05 10:55:14
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◆2014年10月23日から「一日一首」と改題しました。
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