♪ アリマキと蟻の共生見るごとくアンバサダーがきらめいており
今、「ワークマン」勢いが凄い。作業用品を扱っていた会社とは思えないアイテムの新商品を継ぎ次ぐと繰り出して、それがことごとくヒット。テレビでも良く取り上げられている。その運営と戦略が鮮やかで、どこも真似できないような仕組みが出来上がっている。
アンバサダーが多数存在していて、つぎつぎとアイデアを出してはそれを商品化していく。同社の製品を愛好し、インターネットで自主的に製品を紹介する熱狂的な顧客を正式に自社のアンバサダーとして任命。製品開発やPR活動、店舗のデザインなどを共同して取り組む制度だ。
アンバサダーには金銭的な報酬を支払わないため、ワークマンとアンバサダーに金銭的なつながりはない。ワークマンの熱狂的なファンで、無給にも拘らず喜んで働いてくれているという。自分が欲しいもの、こうだったら良い、こんなのはどう?と、使用者目線でアイデアを出してくるので、ハズレが無いというわけだ。
堂々と公表しているところに、その絶対的な自信が現れている。
「#ワークマン女子」におけるアンバサダーの役割は、店舗づくりにおける協同に止まらず、店内の人気製品にアンバサダーのブログサイトやSNSにリンクされたQRコード付きのPOPを与えて表示。顧客がQRコードを読み取ると、アンバサダーによる製品説明の動画を閲覧することができるという。アンバサダーが発信した情報を、実店舗での販売員による製品説明の代わりをしているところが凄い。
アンバサダーによるSNS等の情報発信は、マスメディアによる店舗PRを代替する役割がある。金銭関係のないアンバサダーによって、SNS等で共有された店舗や製品に関する情報は、消費者にとって信頼性が高い情報だ。同時にSNSで拡散されるため、多くの顧客の関心を集めることができる。2020年10月16日、「#ワークマン女子」が横浜桜木町駅前の商業施設にオープンした時は、女性客が押し寄せて3時間待ちの行列ができたほど。
会社が伸び悩んでいる時に市場調査をして新しい発見があり、それをテコに起死回生の躍進へ行くきっかけとなったらしい。
雨天時に作業員が建築現場で使用することを念頭に置いて開発された防水ウェアは、バイク愛好家も購入していた。厨房向けの滑りにくいシューズが妊婦に好評。一部の一般顧客にも支持されていることが明らかになったのだ。風雨、暑さ、寒さといった過酷な状況向けの作業服の強みを生かし、品質や価格はそのままに色合いを変えるなど、カジュアル化していく。一般顧客のニーズを発見した後、ワークマンは自社の製品を「作業服」から「高機能ウェア」に定義し直し、アウトドアウェア市場に進出することになったわけだ。
当時の既存「ワークマン」店舗は、建設作業員向けの専門店であるという感じで一般顧客が入店しづらかった。そのため。、一般顧客が入店しやすい自社イメージを作り出す必要があり、「ワークマンプラス」という一般顧客を対象とした新たな業態の店舗を立ち上げることになる。
その後、「ワークマン」および「ワークマンプラス」は男性的な店舗で、女性が入店しづらいという課題が残されていた。女性顧客を獲得するため、女性をメインターゲットとした「#ワークマン女子」という新業態に乗り出すことに。そこで採用したのがアンバサダー制度で、2019年に本格化されている。
土屋 哲雄 ワークマン 専務 。 1952年埼玉県 深谷市 に生まれる 。 渋沢栄一 の故郷でもあり、叔父で ベイシアグループ 総帥の 土屋嘉雄 も同郷。 カインズホーム 会長の 土屋裕雅 は甥。 埼玉県立熊谷高等学校 を経て、 東京大学経済学部 を卒業し、 三井物産 に入社。 中国でワープロを作る会社を立ち上げるなどの事業に携わる。 退社後、土屋嘉雄から「何もしなくてもいいから」と言われ、ワークマンの専務に就く。 しばらくは CIO ( 最高情報責任者 )的な任務に就きながら社内見学していたが、後に自宅でもワークマンの服しか着なくなるほどに会社にのめり込むようになり、ワークマンプラスの立ち上げなどに参加するようになる 。
凄いのはこれだけじゃない。社員にノルマを課さないで10期連続で最高益を更新していること。土屋哲雄専務は「過大なノルマは一時的に売り上げが伸びても結局、長続きしない。無理に頑張り、達成してしまう社員の方がむしろやっかい。その人が代われば売り上げが戻ってしまからだ。みんなが自然体で成長できる道こそ経営者は考えるべきだ」
一方で目標を一つだけ掲げた「短期的な売り上げ増を狙うのではなく『顧客の拡大』という長期目標を掲げ、本気度を示すために、社員の給与を14年度から5年間で100万円ベースアップすると表明し、実施した。社員のやる気は格段に上がった」
過大なノルマを押し付けるの会社が無くならないのは、「頑張らないこと」の弊害に腹をくくれないからと。ノルマや過大な目標で縛りつける「昭和型の経営」の方が弊害が多い。楽しく働ける仕組みづくりこそ大切だと。
2018年に「接触冷感コンプレッション長袖ハーフジップ」なるシャツを買って、サイズが問題で返品したことがあった。当然、そのクレームを真摯に受け止めて改良・改善したのだろうことは想像がつく。それ以降、2021年に「FindOut」というブランドを買っているが、安くて重宝している。パンツが欲しいので、また覗いてみようかと思う。
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* ウクライナ応援の思いを込めて、背景を国旗の色にしています。