♪ 個体差を時折見せる猫たちをパックの赤いトマトが見ている
暑いのも嫌だけど、雨が降ったり曇りの日がつづくのも嫌だね。気分がブルーな感じのままスカッとしない。爺様に喉を鳴らして甘える気にもならないし、声を掛けられても嬉しくない。天気のせいだけじゃない気もするけど、爺さまや婆様には落ち込んでるように見えるだろうなぁ。ぼくは一体どうしちゃったんだろう。
よその猫とちょっとした喧嘩をして、それからおかしくなった。縄張りにうっかり入ってしまい、そいつが怒って喧嘩になったんだけど、取っ組み合いにはならずに戻って来れた。なんかその日以来、不定愁訴みたいになってる。人間なら60歳ぐらいなので、いろいろ起こりそうなオッサンの年頃だからねえ。ああ、あのどんよりした空が恨めしい。
工事が終わってしばらくは静かな日が続いていて、表に出た爺様の後を付いて回ったり、寝転んでこんな風にまったり出来ていた。変わってしまったテリトリーにも慣れて、道路でノンビリ寝転ぶのもなかなか良いもんだと思ってた。
それが最近は、しょっちゅうモデルハウスに人が出入りしてて、こんなことしてられなくなった。それも不機嫌の理由かもしんないなぁ。
爺婆さまと、お互いのことばで一言二言やり取りするのが僕のいいところ。こういうのをおしゃべりって言うのかも知れないぐらい、よく喋る。アランとはぜんぜん違う。それがここに三日は、あんまり喋る気にならない。「何か悩みがあるのか?」って言われても、答えようがない。
渡辺裕之さんや上島竜兵さんの自殺報道があったばかりなので、爺さまが心配してるようだけど、まさかねぇ。ご主人には強制されることも、禁止されることもなく、勝手気ままでわがまま生活をさせてもらっているから、そっちのストレスはないはず。でも、人間にもわがままなところがあって、うざったいって思うことが無いこともないからなぁ。
ダダダッーと上まで駆け上がって、前脚でガッシガッシと爪を研ぐ。その仕草の荒々しいこと。そのまま後ずさりしながら途中で飛び降りて、どこかに行っちまう。つくづく若いなあと羨ましくなる。
若い頃は隣家のヒバの木を駆け上がったりしたもんだけど、11歳ともなって体重が8キロ以上もあったんじゃぁ、こんなことはもう無理だ。
| 爺さま、散歩中に遭った猫にやけに気に入られて「すり寄って来られて困った」なんてことを自慢げに喋ってた。近くに飼い主のお爺さんが居て「知らない人の所へ、自分から寄って行くなんて珍しいゎ」。
「三毛猫だねぇ!珍しい」と、爺さまもまんざらでもなき、背中を撫でたり叩いたり・・。飼い主のお爺さんが、すかさず「メスだわ」って。三毛猫のオスは滅多にいないし他人にも聞かれるのだろう、聞く前に教えてくれらしい。
まだ若いようで、良く動き回るのでなかなかフレームに収まらない。チャンスとばかりにシャッターを押す瞬間に動いて、こんな写真しか撮れなかったらしい。足の間を行ったり来たりして体を摺り寄せ、まるで初対面同士が見せる情景じゃない。
気が変わったのか、スッと離れたのでようやく解放された爺さま。ズボンのすそは抜け毛だらけ。アランの匂いも付いているだろけど、猫は鼻があまり良くないので全く気にならなかったらしい。
三毛猫はお爺さんの許に戻っていき、「ミケちゃん、ちゃんとありがとう言ったか?」なって言われている。“可愛がられてるんだなぁ、だから知らない人でも怖がらないんだ”、なんて一瞬思ったらしい。僕とアランは(可愛がられているのに)やけに怖がりで、来客が呼び鈴を押しただけでどこかに隠れてしまう。それで、その考えは即座に取り下げたらしい。
爺さまは以前にも、初めて訪問した家の猫が膝に乗って「そんなこと初めてです!」って驚かれたことがあるらしい。博愛精神の持ち主だからねぇ、それは猫にもわかるんだよ。
爺さまはこの日、久し振りの「1日断食」をしていて朝から何も食べていない。“食べる楽しみがないというのはつまらんもんだなぁ” ってぼやいていた。それでも午後になって、軽いウォーキングに出たりしてる。体に力が入らず、頭もなんだかボーっとしていたらしい。
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* ウクライナ応援の思いを込めて、背景を国旗の色にしています。
タイトルに「◇」が付いているブログは、飼い猫「ピピ」の目線で綴っています。 |