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歌 と こころ と 心 の さんぽ

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2022.08.07
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カテゴリ:話題・情報

♪ あさまだき集団嫌いの飼い猫が承認求めてすり寄ってくる

 「マス」に依存せず、距離を置いて自分の信念と価値観にのみウェートを乗せ、真摯に生きる人たち。日本人には最も苦手と思われる生き方。かといってそれを声高に主張すること無く、自然体でのびやかに。そんな生き方が私も好きだ。




 全くの未経験から、いわば本にかける熱い想いだけを持って、一人で「夏葉社(なつはしゃ)」という出版社を立ち上げた人がいる。島田潤一郎さん(46)、2009年のこと。

 作家を夢見てコンビニなどで働き、就職もしたが定まらず、気がつけば31歳になっていた。50社から不採用通知が届く。人目を避け、夜になると書店をぶらぶらした。自殺も考えた。その少し前、いとこが急死する。叔父叔母に寄り添い、励ます本を作ろうと思い立った。

 1人で出版社を立ち上げた経緯については著書『あしたから出版社』に、動機を含めてて詳しく書かれている。文庫化され、初心回帰を心しているという。葛藤を恐れるな。抗(あらが)え。小さな声を届ける挑戦を続けている。


地元書店の自社コーナーの前で(上から2段目)。朝日新聞be on Saturdayより

 1冊目は米作家マラマッドの小説『レンブラントの帽子』を復刊した。グラフィックデザイナーの故・和田誠さんに装丁を、現代詩作家の荒川洋治さんに巻末エッセーを頼む。もちろん初めて。心を込めて手紙を書いた。驚いたことに、すぐ快諾を得た。
 荒川さんは「光の届きにくい、少数読者しかいない作品に理解が深い。いい本を出したいという情熱と実行力にも目を見張った」と振り返る。



 承認欲求で行き詰まった自分との決別、開き直りもあった。「僕は、経験がなかったから粘り強くできたんだと思います。経験はいいように働くこともあるけれど、邪魔になることの方が多いです」。出版社誕生の理由にもなった『さよならのあとで』は、全くの未経験から2年かけて出版にこぎつけている。

 英国の神学者ホランドの詩にイラストを添えた『さよならのあとで』は、いとこ追悼のためにあたためてきた。2年以上かけて東日本大震災後に完成した。書店の人たちが「これはきちんと売ります」と約束してくれた。反響は大きく、現在まで版を重ねている。


CRASHICOMより(2018年9月)

「物を作るっていうよりは、既成のものにどんどんノーを言っていくイメージを持つようにしています」本作りの方法が100通りあるとしたら、「このやり方だとあの本になるな」、「この本になるな」って思ったら、引き返して、ゴールが自分だけの本になるようにまた考える。

「長く続けるためにはどうすればいいんだろう」ということを考える。結論は、「他の会社が誰もやらない仕事を選ぶ」が正解なんです。

「僕にあるのは、やると決めたら誰が何と言おうとやる勇気だけ。信頼し応援してくれた人たちの期待は絶対に裏切れない、と続けてきました」

 これまで29冊(2018年時点)本を出してきたけれど、2人だったらたぶんできなかった。「だから、ずっと1人でいいです」。「経験がないからできた」ってことと、「1人だからできる」っていうことが、「夏葉社」の両輪の強みだという。


KURASHICOMインタビュー(2018年9月)

「本を置いてもらうってことは、信頼関係の問題だと思うんです。いま、2500冊本を作り続けることで成り立っているとしたら、それを買ってくださっている人たちと一緒にそのまま歳をとっていくことも理想です」「入れ替わりがあるのは自然だとしても、そういう小さなお金のサイズでも、ちゃんとまわっていけば何にも問題ない」

 基本は年4、5冊刊行、初版2500部と決めているのも、この会社らしさだ。具体的な書店主の顔、読者の顔が思い浮かぶ規模がいいから、と。

「みんな新しい違うものが欲しくなるわけですよ。それは自然なことだから2500人の読者のうち、1年間で500人入れ替わるとしたら、新しい500人にアピールできる仕事をしなくちゃいけないと思います」

 ショーペンハウワーの言葉『本を買うというのは、時間を買うことである。未来の自分を買うことだ』

『ガケ書房の頃』(夏葉社)という本は、「誰でも敗者になった時に町の本屋に駆け込んだらいいという話で、これがすごく好き」、「本屋は勝者のための空間でなく、敗者のための空間じゃないかと思っている」 


2014年

「『さよならのあとで』と『レンブラントの帽子』を出した後に、そんなに作りたいものもないし、世に問いたいものはない」、「そうすると、買ってくれた人や著者や書店さん、人間関係の中で、いかに自分が作るべきものを探すか。そういうことだと思います」

「若い力を借りることも検討中です。ただ拡大するつもりはない。むしろ年4、5冊刊行を2冊にしたい」、「不特定多数に宣伝する方法にも興味がない」、「本当に本を必要にしている人に本を届けることの大切さを確認する」
「必要としているひとは、必ず出会いますよ」、「出版人も我慢強く待つことが試されているんじゃないでしょうか」 黒字部分はKURASHICOMインタビューより引用

島田潤一郎
1976年、高知県生まれ。東京育ち。日本大学商学部会計学科卒業。アルバイトや派遣社員をしながら、ヨーロッパ(アイルランド留学)とアフリカを旅する。小説家を目指していたが挫折。27歳で就職、教科書会社などで営業を担当し4年で退職。2009年9月に33歳で東京都武蔵野市の吉祥寺に夏葉社を起業。これまでに29冊の本を世に送り出した。そのなかには、絶版した書籍の復刊など、過去の名作に光を当てる仕事も多い。著書に『あしたから出版社』(晶文社)


  * ウクライナ応援の思いを込めて、背景を国旗の色にしています。





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最終更新日  2022.08.07 10:11:29
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◆2006年5月8日よりスタートした「日歌」が千首を超えたのを機に、「游歌」とタイトルを変えて、2009年2月中旬より再スタートしました。
◆2011年1月2日からは、楽歌「TNK31」と改題しました。
◆2014年10月23日から「一日一首」と改題しました。
◆2016年5月8日より「気まぐれ短歌」と改題しました。
◆2017年10月10日より つれずれにつづる「みそひともじ」と心のさんぽに改題しました。
◆2019年6月6日より 「歌とこころと心のさんぽ」に改題しました。
「ジグソーパズル」 自作短歌百選(2006年5月~2009年2月)

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