3583305 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

歌 と こころ と 心 の さんぽ

歌 と こころ と 心 の さんぽ

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2022.10.21
XML
カテゴリ:心 想い

♪ 7年ですべてが変わる細胞のことばを生みて過去を苛む

 珍しい本が出てきた。親父が亡くなった時に蔵書の中からもらって来て、本箱の隅に仕舞い込んであったもの。心理学やこの手のものに興味があって、とりあえず持ってきたのだろう。親父は1987年に80歳で亡くなっているので、35年前のことになる。



 明治生まれの正義感あふれる若者だったのだろう。丁稚奉公しながら苦学して中大の法科に入り、弁護士を目指して司法試験を受験するも3度落ちて断念。1907年(明治40年)生まれで、青年時代を戦争という悲惨な中に過ごし、30歳前だろうか、満州開拓義勇軍(1938年:昭和13年~1945年:昭和20年)に志願して満州にも行っている苦労人だ。

 大学を出たけれど仕事に就くのも大変な時代。晩婚となって、戦中戦後の「産めよ増やせよ」の国策に則り、「子どもは5人育てるのが国民の義務」と信じていた。きちんと1年おきに5人を儲け、戦後の食糧難の中で育ててくれた。私が中1の時には、結核で2度目の入院療養生活を余儀なくされている。

 真面目で真っ正直な人だけに、理不尽な思いも多々あったようだ。どれだけ辛い思いをしたか、戦争体験を聞いてもあまり話したがらなかった。神経衰弱(今でいうノイローゼ)になったことがあるらしく、繊細で几帳面な人だけに耐えることの多い人生だったのかもしれない。
 唯一、大学時代は楽しかったらしく、機嫌のいい時はテニスや鉄棒、ビリヤードなどの話を聞かせてくれたこともあった。



 そんな親父がこういう本に興味を抱いたのはとてもよく分かる。初版が昭和37年(1962年)で、45年の第6刷まで出ているが、下巻には自己催眠の項目もあるし、現代病(心の病気)へのアプローチもあり、ノーローゼに関する記述もある。

 しかし55歳で定年になり、入っていた社宅を出ることになって、実父母のいる知多市にUターンしたのが1962年。年譜からすると定年退職してから買った本という事になる。私は、中2の新学期を新しい土地で迎えることになった時期でもある。



 私自身も親父とよく似た気質で、この年になってくると親父の気持ちがよくわかる。子どものころは妙に優しい父親で、あまり怒られた記憶もない。上姉二人、その下3兄弟の真ん中の私は、ひねくれもので気難しい子供だった。後で知った「サンドイッチ現象」をずっと引きずっていた。

 自己表現がうまくできずいじめられもしたし、対人恐怖症的なところもあって、いつも暗い顔をしていたような気がする。繊細で傷つきやすく、人を信用しない意固地な性格、疎外感がいつも心にあってぽっかりと大きな洞を抱えて生きていた。
 サンドイッチの抑圧生活から、もっとも精神が不安定な時期に転校するという、悪路で轍に嵌って身動き取れない荷馬車のような状態になった。

 そんな私を何とかしてやりたいと思ってこの本を買ったのかも知れない。私に助言とか言葉かけなど一切してくれなかった親父の、後悔と懺悔の気持ちの表れだったのか。そう思うとこの本を読んでやらないといけない気がしてきた。



 下巻の方から読んでみよう。もっと早くに読むべきだったと思うが仕方がない。この年になってどこまで理解しどういう意味をもたらすのか、秋の夜長を催眠術の世界に入り込んでみるのもいいでしょう。




「日本の古本屋」に1冊出品されている。昭和50年(1975年)発刊だから第7刷になるのか。1刷が3,500円から6,800円の定価になっているので、15年を経てずいぶん値が上がったものだ。高度経済成長のせいだろう。

  * ウクライナ応援の思いを込めて、背景を国旗の色にしています。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2022.10.21 11:29:23
コメント(0) | コメントを書く


PR

プロフィール

sunkyu

sunkyu

カレンダー

バックナンバー

キーワードサーチ

▼キーワード検索

サイド自由欄

◆2006年5月8日よりスタートした「日歌」が千首を超えたのを機に、「游歌」とタイトルを変えて、2009年2月中旬より再スタートしました。
◆2011年1月2日からは、楽歌「TNK31」と改題しました。
◆2014年10月23日から「一日一首」と改題しました。
◆2016年5月8日より「気まぐれ短歌」と改題しました。
◆2017年10月10日より つれずれにつづる「みそひともじ」と心のさんぽに改題しました。
◆2019年6月6日より 「歌とこころと心のさんぽ」に改題しました。
「ジグソーパズル」 自作短歌百選(2006年5月~2009年2月)

「アーカイブ」
◎ Ⅰ  短歌
◎ Ⅱ 知っていて損はない話 健康と生活編
◎ Ⅲ 興味深いこと
◎ Ⅳ 興味深いこと パート2
◎ Ⅴ 自然界 地球 異常気象など

フリーページ

コメント新着

sunkyu@ Re[1]:★☆ 日本語の韻音とイメージ(10/16) やすじ2004さんへ 最高の季節ですね。お…

© Rakuten Group, Inc.
X