♪ 物価高コロナ死あまた高齢の自殺者増えて人減りゆきぬ
半年前に出た櫻坂46の「摩擦係数」。Mステか何かでたまたま聴いて、“今の若者はこんな歌を聞いているんだなぁ” と感心してしまった。この齢でこのような若者世代の歌を聴くことはほとんどないが、最近の秋元康がどんな曲を書いているのかちょっと興味が湧いた。
昔(1988年)に胃の手術で入院している時に彼の著作本を読んだことがあり、おニャン子クラブが1980年代のアイドルシーンを席捲していたころだった。構成に参加し、楽曲を手掛け、全楽曲の作詞を担当していた。そんな裏話や自分の思いをつづったものだったと思うが、本のタイトルなどは覚えていない。すげえやつが出て来たもんだと、その説得力と才能に驚いたことを覚えている。
そんな彼が手掛けた、櫻坂46の1stアルバム『As you know?』の中の1曲がこれ。17曲のうち4曲が新曲で、その内の1曲がこれ。他の歌は知らないし、一連のシリーズの楽曲の内容も全く知らない。
櫻坂46 As you know「摩擦係数」(クリックでYouTubeへ)
作詞:秋元康 作曲:家原正樹/Giz’Mo (from Jam9) 今の社会、いや日本全体の悪弊に対し、周りを窺い自分を殺し、周りに合わせて擬態し、同調圧力や「個性、個性」と言いながらそれを許さない社会の、「違うという価値を認めない」ことへの苛立ちとレジスタンス。そんな世相を打破せよと、17人のダンスと軽快な曲に乗って歌われる。
しかし、こんな風に派手にテンポよく歌われると、歌詞の中身が薄められてしまって、この歌詞の意味が本当に伝わっているのかどうか、疑わしくなってくる。
古い人間とは感性も価値観も違うのは分かっているつりだが、シャワーの様に浴びることがないと “かったるい” のだとすれば、それは間違いで錯覚だと言わざるを得ない。ガス抜きにはなっているかもしれないが、自己を支える “心の底の重し” にはならない気がする。
脳の能力は1000年前と何ら変わっていない。能力を超えたことで無理を重ねている。どちらかに偏ればその分、別な部分が犠牲になるしかないし、全体のバランスも崩れてしまう。
☆
シングルのヒット曲をたくさん世に出している彼。さまざまな分野に手を広げ、睡眠3時間で、詞を書き、企画書を書き、番組構成を考え、シナリを書き、プロジュースをし、著書を出したりしている。八面六腑の活躍ではあるが、時間と脳と身体を浪費しているだけなんじゃないかと思えたりもする。「娯楽」というものに身をささげ、世の中から求められているものに応えているという自負があるのだろう。
命を燃やすように詞を書いた「阿久 悠」からはどう見えていたのだろうか。
秋元康は、2005年に「AKB48」を立ち上げ、総合プロデューサーに就任して以降の彼の活躍は、目を見張るどころか目玉が飛び出るほどのもの。種類株式会社(設立当初はAKS)なんていう会社を運営し「芸能プロダクションの経営、(AKB48グループの運営管理)、音楽・映像ソフトの企画・制作・製造・販売、著作権などの使用許諾・管理、音楽スタジオの経営・運営・提供、放送番組・演奏番組の企画提供、映画の企画・制作・提供、各種SP・イベント・企画制作」などを手掛けている。
国内外にAKB48の姉妹グループを立ち上げ、2011年には乃木坂46を立ち上げ、2015年からは坂道シリーズとして「欅坂46(現・櫻坂46)、けやき坂46(現・日向坂46)」を立ち上げ、現在に至る。それらのほとんどを自身が作詞しているという。
曲先で、1000曲の楽曲の中から選んで詩を付けるというやり方を取っている。2022年の時点で、年に200から300曲の作詞しているというから驚くばかり。
|