♪ 保護猫の落ち着つく夜に殺処分ゼロとふニュース十五夜の月
迷い猫騒動の後のタイムリーなテレビ朝日系列のニュース。28日の番組で「殺処分ゼロを4年連続達成」と紹介された奈良市の取り組みが紹介された。
番組では名前がユニークでSNSで評判になり、引き取り手が増えた結果の「殺処分ゼロを達成」というものだった。
「てんや、わんや」とか「ハチャ、メチャ、クチャ」「ジャン、ジョン」、また「マロ、ミロ」「あおば、わかば」など子猫が複数いると面白いの考えたくなるという命名者の奈良市保健所の獣医師・江端資雄(72歳)さん。孫もいるので子供に受ける名前を考えるんだとか。今までに保護猫7割の名前を付けたという。
今日30日には、保健所の1階で保護猫の譲渡会が開かれるとかで、取材はこの日に合わせたものだったようだ。
テレビはある部分だけを切り取って報道するのが特徴で、真実が伝えられているとは言えなかったりする。
奈良市ではここに行きつくまでに様々な試行策を実施し、予算も積んで努力した結果、素晴らしい結果達成に至った。決してユニークな名前だから保護希望者が殺到して「殺処分ゼロ」になったというような単純なものではないようです。
2022年4月12日の市長会見で、3年連続「殺処分ゼロ」を達成したことについてかいつまんで述べられています。ポイントはいくつかあって、ホームページに記載あります。
●本市における自然死・安楽死(※1)を除く殺処分数(※2)は、平成20年度には663件あったが令和元年度に初めて「ゼロ」を達成し、令和3年度まで「ゼロ」を継続。
●令和3年度には、飼い主のいない猫の「不妊去勢手術補助金」の一頭当たりの上限を10,000円から12,000円に増額し、手術頭数は84頭から188頭に大幅に増加した。
●TNR活動のさらなる推進のため、TNR活動ボランティア協力者謝礼制度を創設。
●預かりボランティアの活動を支援するため、「預かりボランティア協力者謝礼」は79頭から82頭へ増加し、「預かりボランティア医療費補助金」の実績は37頭から45頭へ増加し、制度を促進。
●重度の疾病や負傷の犬猫に対し、高度でより良い治療が受けられるように動物病院を受診できる「負傷動物医療事業」を創設。
●令和3年度に実施した、飼い主のいない猫の不妊去勢手術補助金や負傷動物医療事業、ボランティアへの支援などは、ふるさと納税の「犬猫殺処分ZEROプロジェクト」で頂いた寄付金(総額2696万円)の一部を活用。
※1 自然死・安楽死…負傷し治る見込みがない等、やむを得ず安楽死等をすること。
※2 殺処分…攻撃性や病気等があり、譲渡が難しいと判断し、処分すること。
TNR活動
TNR活動支援ボランティア制度(令和3年4月開始)は、TNR活動を希望するが、高齢のため捕獲した猫を病院に連れていけない、猫を捕獲するスキルがない等、活動の実施が困難な方に対して、「TNRサポーター」が支援を行う(捕獲や病院への搬送等のサポート)。そのサポーターに対する補助制度。◆令和4年度実績:42件 210,000円 ◆2年連続40件以上を達成
2023年度(令和4年)はさらに充実させていて、予算も増額している。
譲渡数と殺処分数の経年変化。
こういうものは市長や議員の資質によって大きく変わって来る。価値観と優先順位によって予算の配分も大きく変わる。地域の特性や市民の動物(ペット)に対する関心度の如何でも全く異なったものになる。
奈良市は鹿を「神の使い」として古くから手厚く保護してきたし、現在も奈良の鹿は天然記念物として大切に保護されている。
春日大社の石燈籠の並ぶ参道の南側に鹿の保護施設「鹿苑」がある。 毎年4月から妊娠しているお母さん鹿を保護し(約200頭)している。赤ちゃん鹿がお母さん鹿と一緒に行動できるようになる7月中旬までの期間中、「子鹿公開」(特別イベント)を開催し、可愛らしい子鹿を公開している。
10月には「鹿の角きり」が行われます。 鹿の事が詳しく分かる資料展示室もあり、おもに学校団体を対象として奈良の鹿について学べる体験プログラムも実施している。
そんな背景もあって、犬や猫にたいする意識も他の地域とはだいぶ違うのでしょう。面白いネーミングは偶然のものであって、背景の市の本気度が反映されているからこその「殺処分ゼロ」なんですね。どこの市でも簡単に真似ができるようなものではないことが分かります。
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