♪ 亡くなりしこと知らされて振り返る一年前のあの時の顔
初期のジェットコースターのような天気が続く。日中の温度差はもちろんのこと、月間中の気温の変化が多い。暖かい日があると思えば翌日は寒かったり、その翌日は3月の陽気だったり。天気予報を見ないで着るものが同じ人も多いようで、あたふたしている様子がみてとれる。
昨日のウォーキングもけっこう寒かった。寒い日を選んで歩いているわけじゃないが、偶然にもそういう日に歩くことが多い。来週の土曜日から「梅まつり」の佐布里池は人影も少なく、一部の紅梅以外はまだチラホラというところ。
風がとても冷たい。こんな日にここに来る人は、定番の散歩コースになっている人か、私みたいに大勢の人でごった返している時にわざわざ来ることもないと思っている、気の早い観梅の人ぐらいだろう。
ここへ来る前に、年賀状が来なかった知人の様子を見に家に立ち寄り、奥さんが亡くなったことを聞いて吃驚。誰にも知らせず、身内だけで葬儀を済ませたとか。昨年の5月のことらしい。彼は絵描きで、お絵かき教室を開いている。この日はその教室がある日だった。
教室の生徒や親にも伝えていないという。教室を続けることは奥さんとの約束だったらしい。聡明な奥さんは夫の性格がよく分かっている。「教室は絶対に止めてはダメ」と言っていたのだろう。葬儀の時も、3日ほど(都合がってと)休みを取っただけだったらしい。
6つ年上の奥さんには、物理的のみなら精神的にも助けられていて、奥さんが、「この人は、私のことをお母さんだと思っているのよ」と知人に話していたくらい。仲のいい夫婦で、喪失感は並大抵のものではないだろう。男は奥さんに先立たれると、ダメになってしまう人が多い。教室があることで救われているのは確か。
生徒がもうじき来るというので玄関での立ち話しかできず、詳しいことは聞くことができなかった。
帰る道筋に奥さんと仲の良かった夫人(文具店を営んでいる)が住んでいるので、詳しいことが分かるんじゃないかと思い立ち寄ってみた。
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一番古い友人で、英語の塾もやっていた奥さん、お絵かき教室のご主人にも、子どもが1歳の時からお世話になっていたとか。それで葬儀には所帯を持っている子どもたちも駆けつけたらしい。それで、亡くなるまでの経緯を詳しく聞くことができた。亡くなる1年ほど前に病気が発覚し、最後の3カ月ほど入院していて、メールのやりとりが止まったことから状況を察したとのこと。女性のガンということだった。
知的で合理的で頭の回転のいい人といい、伊豆の風光明媚なところにあの有名人たちのように、優雅に生活するのが相応しい女性だったと。辻邦夫全集などが家にあった。
女性同士の関係は男の立ち入れるものでもなく、夫の側からは親密な関係の細かいところまでは計り知れないことを、女性側の立場でいろいろ話してくれる。
我が家にもホームギャラリーの折に一緒に来て、作品を買ってくれたこと。茶房じゅんでの作品展で彼女が買った白紙のノートをプレゼントされ、手作りした子供服の絵を描いたのを見せて呉れたことなどなど。つぎつぎと休むことなく話題が上がって来る。
女性特有の話好きでか、あっちこっちに話が飛ぶ。私も話ができるのが嬉しくて、そんな話題をしかと受け止めながら、1万4千歩ほど歩いてきて立ちっぱなしの長話。
そんなに長居するつもりはなかったが、「じゃあこの辺で」と切り上げて店を出て、時計を見るとなんと! 1時間が経っていた。
今日は節分、明日は立春だ。この日から立夏の前日までが春。春という言葉がいよいよ身近に感じられる。
「春」という字は、艸(草)と屯(草の芽)と日の会意。草の芽が春の暖かい日に当たって芽を出しかけて地下にかがまっているという姿を表している。
2月は逃げる。春が目の前に迫ってきて、気持ちが3月へと引っ張られていくので、あっという間に過ぎ去っていく。うるう年で1日多いが、そんなことは何の効果もない。
オリンピックがあって、米大統領選挙があるのとセットになっているところが面白いくらいだ。
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