♪ ミクロ発ゲノム行きなる宇宙船最後に行きつくミクロコスモス
ミクロコスモスは、マクロコスモス(宇宙)と対比して人間のことを指す。
またしても微生物の新しい可能性が明らかになった。
「空気中の水素を直接電気に変換できる酵素をバクテリアから分離することに成功、小型で持続可能な発電装置の実現につながる可能性がでてきた」というもの。
地球の土壌に生息する一部の細菌は、他に栄養源がない時に空気に含まれている微量の水素を分解し、電子をエネルギーとして取り出しているんだとか。
オーストラリア・モナシュ大学の生物医学研究者であるRhys Grinter氏らの研究チームは、「水素を分解する酵素を細菌から分離し、実際に空気中の水素を直接電流に変換することに成功した」とのこと。
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土壌細菌の中には、水素をエネルギー源として利用できる種類が存在しており、細菌は年間7000万トンもの水素を空気中から除去しているという。
水素は正電荷を持つ2つの陽子が、負電荷を持つ2つの電子によって形成され結合されていて、この結合を研究チームが「Huc」と命名した「スメグマ菌のヒドロゲナーゼ」によって断ち切ると、プロトンは離れ、電子は放出される。
放出された自由電子はバクテリアの中で「電子伝達系」と呼ばれる複雑な回路に流れ込み、細胞のエネルギー源として利用されている。つまり、Hucが、水素を直接電流に変換していることを意味しているということ。Hucは、酸素にまったく阻害されないという、他の水素消費型触媒にはない特性も発見され、これは水素を消費する触媒として前例のない驚くべき成果だという。
低温電子顕微鏡法と分光法で特定したHucの原子構造モデル
大気中に占める水素の割合は0.00005%しか存在しないらしい。研究チームは、Hucが天然の大気や水素燃料から持続的に電流を生成する「天然電池」のように機能し、太陽光発電の代替として小型かつ持続可能な空気発電装置の開発につながる可能性を秘めていると主張。
この微量な水素から電流を生成できる特性を活かし、非常に高精度な整体水素検出センサーへの応用や、生体認証モニターや時計、LED、単純なコンピューターに十分な電力を供給できる可能性があると言うのです。人工的に製造した水素燃料を供給すれば、より大きなデバイスに電力を供給可能になるかもしれないとのこと。
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記事作成時点ではまだ研究の初期段階であり、実用化にはHucの生産規模を現状のミリグラム単位からキログラム単位へとスケールアップするなど、いくつかの技術的課題を克服する必要があるとのこと。(Gigazineより引用)
「ボタニカルライト」の発見・発明を始め、我が家でも最近「ベニカX」や「キエーロ」などの微生物によるものにお世話になっている。次々と新しい働きが発見され、その有用性が応用、実用化されるようになっている。まだまだ知られていないものが無数にあるのでしょう。
飛んでもない環境に存在していたりする微生物。
*好アルカリ性菌:セルラーゼ(セルロースを加水分解する酵素)やプロテアーゼ(タンパク質を加水分解する酵素)がある。これらの酵素はアルカリ性で高い活性を有し、洗浄力を高めるために、洗剤に加えて広く利用されている。
*好塩菌:飽和食塩濃度で生育する高度好塩菌の細胞膜にはバクテリオロドプシンという、光を吸収してそのエネルギーを化学エネルギーに変換する特殊なタンパク質が存在している。このタンパク質を生物素子として利用し、光を情報の媒体とするバイオコンピューターを実現しようとの提案がある。
*好熱菌:高温でも耐えられる安定な酵素として、ポリメラーゼ(遺伝子複製酵素)があり、遺伝子の増幅に用いられている。常温でも長期間安定な酵素として、糖尿病の診断に欠かせない血液中のグルコース濃度等の診断用試薬がある。
*好冷菌:低温下での食品加工への利用が期待されている。
*溶媒耐性菌:水を大量に使う必要のない節水型の化学工業への利用が期待されている。
*人工物質分解菌:PCBやダイオキシンなど難処理廃棄物の分解への利用が期待されている。
微生物バイオテクノロジー(微生物バイオ)、ヒト由来微生物など多岐にわたっての応用微生物研究が盛んに行われており、様々な分野でつぎつぎと新しい発見が為されていくことでしょう。
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