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2024.04.30
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カテゴリ:景色・風景・情景

♪ 鳥の眼と蟻のパワーと想像力ヒル・フィギュアに古人を想う


 イギリスの主に南部を中心にいたるところに、石灰岩を利用した巨大な地上絵がいくつか(20以上)あり、その内の一つの制作年代が新しく塗り替えられた。

 英国南西部の農村地帯、サーン・バレーの丘の急斜面に、全長55メートルもの巨大な裸の男の絵が描かれている。「サーン・アバスの巨人」と呼ばれ、その白い線は、緑の草を取り除いて白い石灰岩をむき出しにすることによって作られている。



「鉄器時代に異教の偶像として作られた」、「ローマ時代のヘラクレスをイメージした」、「17世紀にオリヴァー・クロムウェルを侮辱するために作られた」など諸説唱えられてきたものの、調査のたびにそれまでの説は覆り、新たな仮説やさらなる疑問を生み、依然としてその起源は不確定なままだ。古代の異教の神を表しているという説もあれば、17世紀の政治風刺画だという者もいる。


様々な時代のスケッチ(Wikipedia)

 しかし、考古学的証拠と文化的証拠を組み合わせた最新の研究では、ヒル・フィギュアの肘から足にかけた部分の地下1メートルほどの深部から採取したサンプル結果から、推定制作年は紀元700~1000年であることが判明。(英国ニュースダイジェストより)
 これとて確定したわけでもないようで、また新しい研究が発表されるかもしれない。
 

管理、清掃作業

 ヒル・フィギュア(Hill figure)と呼ばれる、丘陵地の斜面の表土を掘って地層を露出させることで模様を浮かび上がらせる視覚的表現ので地上絵。ブリテン島南部に特徴的な石灰岩の地質を使って、白亜(チョーク)の白色で巨大な動物や巨人の絵を浮かび上がらせる表現が、青銅器時代後期以降多く登場した。


 その中の一つで、イングランド南部オックスフォードシャー州バークシャー・ダウンズにある丘陵(ホワイトホース・ヒル)の西向きの斜面に、抽象化された線画による馬が描かれてる。それが「アフィントンの白馬」と呼ばれるもの。

 私はこれが甚く気に入った。ちらの方が断然いい。“ドラゴンだ”という説もあったらしいが、この流れるようなラインと動きのあるフォルムはまさしく馬そのもの。原型とは多少違っているのかもしれないが、とても素晴らしいと思う。

アフィントンの白馬(Uffington White Horse)

体長約111メートル、高さ約40メートル
 これだけのスケールで、大幅に簡略化して馬を表現できるのは芸術的センスと相当な技量がなければ無理だろう。

 描かれた年代は紀元前1400年から前600年の間、つまり3000年以上前の先史時代、青銅器時代後期か鉄器時代初期のものであることが判明している。
 白馬の由来については諸説あって、ケルト神話の馬の女神エボナあるいはウェールズ伝承の馬の女神フリアノンへの信仰によるものという伝承もある。白馬像の目的や起源は諸説あって定かではないが、なんらかの儀式や信仰に基づくものと考えられている。

 考古学者ジョシュア・ポラード(Joshua Pollard)は、2017年、インド・ヨーロッパ語族の神話にみられる「太陽の馬(sun-horse)」を描いたものとする説を唱えた。
 この神話では太陽が馬に乗るか、馬に引かれて戦車で空を横切ると信じられており太陽の戦車を引く馬をモティーフにした絵画や彫刻などは新石器時代から青銅器時代に各地で発見されている。

 ポラードは、真冬に向かいの丘からアフィントンの白馬を観察すると、太陽は馬の後ろから昇り、日が進むにつれて馬に近づき、最後には馬を追い越すように見えることを発見した。このような太陽が空を横切る動きを躍動的な白馬像に仮託した太陽信仰に基づく遺跡であるとする説は現在有力視されている説の一つとなっている。



定期的なメンテナンス
 自然保護団体ナショナル・トラスト主催で毎年夏にボランティア活動の一環で伝統的な「スクーリング祭(scouring festivals)」が開催され、清掃とメンテナンスが行われている。(Call of History - 歴史の呼び声 -より)





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最終更新日  2024.04.30 09:41:55
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