♪ 奇っ怪な事件の起こるこの夏の地球は時空の裂けめに入りぬ
18日(木)のこと。とてもけったいな “事件” があった。
メダカを飼っている鉢の中に何やらたくさんの奇妙なものが沈んでいた。1.5~2㎝ほどで緑色をした楕円形のものだ。
午後3時ごろだったか、世話係をしているカミさんが気づいて、「来て~、何か変なものがある~!」と、私を呼びに来た。
残念ながらその時、写真は撮らなかった。 |
見に行くとその正体はすぐに分かった。「葡萄だ!」マスカットか何かの、それも皮のない剥き実のもの。ふわッとした感じで水の中に漂っている。
何でこんなものがこんなところにある?
カミさんが金網で掬って取り出しているのをしり目に、正体が分かった私はそれ以上の詮索はせず、引き揚げてしまった。
事件が起きたのは、朝8時から午後3時ごろの真昼間のことで、この場所をよく知っているものにちがいない。
|
翌日になって、あの奇妙な出来事をを思い出し、一体何だったのか気になって来た。「あれどうなった?」「種? 確認した?」
私と違って探求心など持ち合わせていない彼女のこと、「別に、確認なんかしてないけど。」
でもそう言われると確認したくなるもので、すいぐに見に行った。それが、不思議なことに何も無い。
一日で葡萄の実が蒸発するように消えるはずがない。しかし、種もなければ、繊維質のものも残っていない。何かが有ったという痕跡すらない。まったく何事もなかったように何もないのだ。
「科捜研の女」に調べてもらいたいくらいだ。
|
あれこれと詮索してみる。葡萄を入れた犯人は一体なんだ?
子どもがいたずらした? 近所の新住人の子どもたちは、確かにここでメダカを飼っているのは知っている。エサのつもりで入れた? でも剥いた実を1つの鉢だけに10粒ほども入れたりするだろうか。
動物が入れた? どうやって? 目的は?
偶然に起こるようなことじゃないので、意図があるはずだが、皆目見当がつかない。
葡萄が入れられたことと、消えたことの関連性を探るのは後にして、葡萄が消えて無くなった理由を分けて考えてみる。
|
動物が食べた? 葡萄を食べるのは、鳥ではカラス、ムクドリ、ヒヨドリ。獣ではハクビシン、アライグマなどが好んで食べるらしい。
近所でハクビシンの幼鳥を保護したという話があった。警察に電話したら「安全なところに逃がしてください」と言われたらしく、どこかに放したらしい。
まだほんの赤ちゃんで、親が放棄したものかもしれない。繁殖もしているハクビシンが、夜中に来ている可能性はある。
カラスは近くのお寺の裏山にいつもいるし、電線に止っているのをよく見かける。
メダカの鉢の水を野鳥が飲みに来るし、カラスも来ている可能性はある。それで葡萄が目に入って咥えていったか。
|
そういえばパーゴラの柱などに奇妙な筋模様が付いていて、こちらも気になっていた。
アシナガバチが巣を作るために木の表皮を齧っている姿はよく見かけるが、それとはどうも違うようだ。一体何の跡なんだろう。
大分時が経っているので筋がぼやけているが、何かが齧ったような鮮明な跡だ。一体何がこんな奇妙な跡を付けていったのか?
平らな部分だけを移動しているので、カタツムリが表面に生えている緑色の藻類を、歯舌という器官で削り取って食べた跡なのか?
いや、そうじゃないだろう。苔など生えていない。
これにしてもよく分からないが、奇妙なものでもなんでもなく、自然界にある普通のものなのだろう。私が知らないだけなのだ。
|
筒井康隆なら、この顛末を面白おかしく展開して見せてくれるのかもしれない。しかし、凡人の私にはなかなか答えが見つからない。
こういう犯人なら分かりやすい。オンブバッタの小さな子が、あちこちの植物の葉っぱに穴を空けている。
|
|
|