♪ 運命と言ってしまえば赤とんぼすいすい飛んで日の暮れゆきぬ
昨日は、カミさんが借りて来た「オッペンハイマー」を観た。3時間もある映画を字幕スーパーで観たので疲れてしまった。展開が早いので文字を一言一句逃さぬように読み取らないと、訳が分からなくなる。
内容が濃く、関係性が複雑でテンポが速い。外人の顔と名前が覚えられず、あたふたとしている間にどんどん先へ行ってしまう。それでいて3時間もあるのだから、老人にはちとハードルが高い。
後半の1時間がこの映画の本題。オッペンハイマーの苦悩と、原子力委員会議長の狡猾な裏舞台を暴いていく。
カラーとモノクロ画面が入り混じって混乱する。現在と過去を表していると思いきや、カラーがオッペンハイマー(演:キリアン・マーフィ)の視点、モノクロがストローズ(演:ロバート・ダウニー・Jr.)の視点で描かれているんだとか。そして、「モノクロパートは戦後の出来事を描いている」と認識できれば混乱は避けられると・・。
監督のクリストファー・ノーランは「オッペンハイマーという人物をより完全に理解するため、2つの視点を対比させたかった」とインタビューで語っている・・。
聴聞会での原子力委員会議長(ロバート・ダウニー・Jr.)
第96回アカデミー賞で、同年度最多となる13部門にノミネート。作品賞、監督賞、主演男優賞(キリアン・マーフィ)、助演男優賞(ロバート・ダウニー・Jr.)、編集賞、撮影賞、作曲賞の7部門を制覇。
クイーンの映画「ボヘミアン・ラプソディ」でフレディ・マーキュリーを演じた「ラミ・マレック」が出ていて、なんだか嬉しかった。
◆
「渡辺謙」
ノーラン監督とは「インセプション」でタッグを組んだ。「『クリス・ノーラン』は僕にとってだけでなく、多くの観客の脳内をかきまわす監督である。今も、この世界を終わらせてしまうかもしれない爆弾を作った男が、細やかに、エキセントリックに描かれていた。彼の幻覚の中にある、被曝の実態を世界はどう見てくれたのか。日本の観客にとっても観ておくべき作品なのだと思った」。
日本での公開がかなり遅れたのは、アメリカ目線での日本軍、原爆を投下された当事国としての立場と被害者感情など、いろいろ取りざたされたのでしょう。
もう一度、今度は “吹き替え” でじっくり観てみたい。
| 折しも、朝ドラ「虎に翼」で、1955年に広島と長崎の被爆者5人が国を訴えた原爆裁判があり、原爆投下が国際法に違反するかどうか、真っ正面から争われたことが描かれていました。
判決(1963年12月7日)で、原爆投下が「無差別爆撃であり、当時の国際法からみて違法な戦闘行為である」と明言しており、被爆者への支援では、「救済策をとるべきことに多くを述べる必要はない」とし、最後には「政治の貧困を嘆かずにはおられない」と述べて国に救済策を強く促す内容になっている。
判決はそのまま確定。主文の上では賠償を退けて国が勝訴しているため、国は控訴ができない。一方原告は、おそらく国際法違反の判断を維持するため、控訴しなかった。
◆
判決後は世論の高まりもあり、「原子爆弾被爆者に対する特別措置法」(1968)、さらに95年「被爆者援護法」がいずれも施行されている。
判決は英訳されて海外でも知られるようになり、96年、国際司法裁判所は勧告的意見で「核兵器の使用や威嚇は、一般的には国際法の上では人道主義の原則に反する」と記されました。
さらに2021年発効の核兵器禁止条約では「核兵器の使用は非人道的で国際法に違反する」としています。
日本反核法律家協会の大久保賢一会長は「国際司法裁判所の勧告的意見を経由し、核兵器禁止条約へと継承されている。原爆裁判は現代に生きているのだ」と指摘。
原爆裁判と司法の判断。それは決して終わった話ではない。
核兵器に限らず、市民への攻撃や不当に多くの巻き添えを出す「無差別攻撃」は国際法で禁じられているにもかかわらず、多くの子どもたちが犠牲となっているガザ地区など、いまも世界で繰り返されている。
|
|
|