♪ 何をどう詠んだっていい言うなれば短歌はトランスフォーマーである
「平和園に帰ろうよ」小坂井大輔
「どこにもいけないどこにもいけないどこにもいけない 全身が恥部」
「雨の音をアプリで買って聴いている晴れの日こんな午後に死にたい」
「夜、いちばん愛より遠ざかっているマンホールの鉄蓋のつめたさ」
「カッとなりたまたま持っていた恋のような鈍器で殴ってしまう」
「父の切る爪がぱちんと飛んできた箱根の5区の坂の途中で」
「家族の誰かが『自首 減刑』で検索をしていたパソコンまだ温かい」
「生涯に見る夢すべて繋げたら映画になる神様の計らい」
「犬の糞を入れた袋をひったくられなんて美しい世界なんだろう」
「別れ話とわかっていたら頼んではいなかったレモンスカッシュが来る」
「値札見るまでは運命かもとさえ思ったセーターさっと手放す」
「信号機にもたれて眠る花束を本能が見ることを許さない」
「下の歯が二本しかないおっさんの声よく通る名古屋競輪」
「柔道の受け身練習目を閉じて音だけ聞いていたら海です」
「土下座したこともあるんだブランコに座った男の靴に踏まれて」
「金がそんなに偉いかちきしょうそんなにも偉いか 金が 金を ください」
「目に映るすべての景色が詩なんだよわかるか、なぁ、火ぃ貸してくれるか」 |
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