♪ 突然に冬が来るらん蛞蝓の歯舌のごとく時を喰いおり
断捨離を兼ねて狭い押し入れを整理。
上の棚には大きな作品がまとめて保管してある。 嵌め込みパズルのような作業だったが、なんとか収まった。反対側の棚までは手が回らず、そのままになっている。
問題は染色場だ。いらない薬品類は試作の布などに吸わせるようにして燃えるゴミに出した。布もかなりあって、楽に処分できた。
人生の大部分を費やしてきたものだけに、まだ完全に手放す気になれないでいる。体験教室で楽しませてやりたいし、染めを頼まれたりすることもあって、心残りがないこともない。
二層式の洗濯機は脱水だけのために使っていたが、さすが外側の裾部分がボロボロになってきている。洗濯層の止水パッキンは完全にいかれているので、これも処分することになる。
設備投資と言うほどの費用は注ぎ込んでいないし、いずれ取っ払うだろうことを承知で作ってあるので、後悔することはないと思う。
十二分にやれたかというと多少の心残りはあるが、やるべきことはやったし、やりたかったことも出来た。あと5年で80歳の大台だ。その歳を超えてもやっている先輩はいるが、作品の質は決して高いとは言えない。「老いては騏驎も駑馬(どば)に劣る」という言葉もある。
“材料が残っていて、体力もまだあるので続けている” というのでは良い作品はできない。飽くなき追及をするのなら続けるべきだと思うが、そうでなければきっぱりとけじめをつけても良いと思う。
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臨終間近の床にあってもデッサンの手を止めない画家とか、短歌を詠み続ける歌人もいるし、百歳を過ぎても彫刻のための材料をしっかり確保していた彫刻家もいる。
それだけの気概と天性の才能を持ち、ごく当然のごとく生き通す人は、やりたいことが山ほどあって活力にあふれ、こんこんとに湧き上がってくるのでしょう。天命との自覚の下に全精力を傾けるそれは、宿命でもあってあくまでも特別な存在だなのでしょう。
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