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カテゴリ:紅影オリジナル詩!!
”限界”という言葉を、彼はひどく嫌う。
君との電話を切ってからずっと、 いつか君と二人で行った、近所の動物園のことを思い出していたんだ。 そういえば、こんな話があるんだけど、 君に話していたっけな? サーカスで芸をする象を育てる時の話なんだけど、 子供の象は一本の木の棒と鎖に繋いで育てるらしいんだ。 すると、大人になっても象はそこから逃げない。 ホントは大人の象ならさ、 そんな木の棒や鎖なんて簡単に引きちぎれるのに、 もうそれをする気力すら無くしてしまうんだってね。 子供の頃からずっと鎖から逃れるのは無理だって考えてきたから、 引きちぎれる鎖も引きちぎれなくなってしまう。 それが自分の中の覆せない真実になる。 怖い話だよね。 だからね、 ”限界って自分で決めていたりする” そんな話なんだけど、 なんだか、君が退屈してしまいそうな、 教義的で説教じみた話だよね。 そんな理想論を唱えてみたところで、 俺は空を飛べない。新幹線より速く走れない。 似たようなことで誤魔化すことはできるけれどね。 限界と非限界の境界線は、 曖昧で、掴めない雲。 彼はベッドに寝転がりながら、 宙に舞うイメージを言葉に置き換える作業を、 もう終わりにしようかと考えていた。 俺はただ、 自分の限界を、 認めたくないだけなのかもしれない。 君は、こんなカッコつけた俺のことなんて…、 好きじゃないのかもしれないな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008/03/04 03:41:16 AM
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