『前田建設ファンタジー営業部』(幻冬舎)を読みました。準大手ゼネコン「前田建設」がマジンガーZの格納庫の建設依頼を受け、受注金額と工期を算出するはなしです。プールの底が二つに割れるようにスライドし、水をかぶりながらマジンガーZが出動するシーンを基に格納庫を設計をし、仕様を決めていく過程が大変楽しく、また懐かしく読むことができました。本の帯びにも書かれているのですが、72億円、工期6年5ヶ月だそうです。どうしてこんな計算ができたのか?そこがこの本の中身になります。
本屋でつい手に取ってしまったのにはそれなりの理由があったのでしょう。ひとつには子供の頃、マジンガーZをよく観ていたこと。ジャンボマシンダーといって60センチほどの背丈のビニール人形を持っていたことを覚えています。ロケットパンチで腕も飛び出したし、パイルダーオンも出来ました。
理由としてもうひとつ。建築を学んだ私には前田建設という会社が身近だったこと。バブル後期は準大手ゼネコンに就職したいと思えば、さほどの苦労もなく就職できた時代でした。ですから同級生の多くが就職していきました。当時の前田建設は、昨今元気のない間組(現ハザマ)、フジタ、飛島建設、熊谷組、佐藤工業などとさほど違った印象などなかったのですが、今となっては前述のライバル社が次々にバブルのツケに苦しみ、すっかり勝ち組企業となっています。思えば就職した会社に当たり外れがあったことになります。そんな勝ち組だからこそ生まれた企画・・・?そんな前田の元気の良さを覗いてみたくなったのです。
私はゼネコンに就職しませんでしたが、ゼネコンの仕事の解説本として非常に分かりやすく書かれていると思います。一般には時代劇の悪代官的なイメージを持たれ、うさん臭いとされているこの業界の仕事を、多くの人に知ってもらいたいという思いがこの本に込められています。私も同じ思いなので、痛快でした。テーマをマジンガーZの格納庫として読者を惹きつけ、ゼネコンの解説本と仕立てるあたりはうまいと思わせます。
現在、建築の学生さんには就職前に読んでおくことをお勧めします(o´ω`)b(マジンガーZは知らないだろうけどね)