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ウツっ子 春小麦の雑文

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テーマ:旅の写真(3471)
カテゴリ:レレレのレ
【春小麦・津軽を歩く】

6月27日(火)弘前→津軽峠→弘前→上野


前回の日記で、今日の過ごし方を迷っていたと書いた。
ひとつはバスに乗って津軽峠へ行き、「マザーツリー&暗門の滝」を見る自然散策的一日とする。
もうひとつはローカル線「津軽鉄道」に乗って金木町に行き、斜陽館(太宰治の生家)を見るレトロ・ロマン的一日。

昨夜、寝るときは降っていなかった雨が、夜中に降ったらしく、カーテンを開けると外は雨でぬれていた。
今はかろうじて降っていない。
よし、ずぶ濡れ覚悟で津軽峠だ!


そうと決まれば、8:50発のバスに乗るしかない。
津軽峠行きのバスはこれ一本だ。
まずホテルのチェックアウト、そして峠に持っていくもの以外の荷物は弘前駅のコインロッカーに入れることにした。


横道にそれるが、ここのコインロッカーは変わっていた。
大きさが違う3種類(大・中・小)のロッカーが設置されている。
私の小さなトランクは、ロッカーの扉から推測して「中」にギリギリ入るかどうかの大きさだった。
ちょっと入れてみようと思い、ロッカーに手をかけたが、扉が開かない。
なんとこのロッカー、お金を入れないと開かないのだ。
「中」で入らなかったら困るし、渋々「大」のロッカーに入れることにした。
犯罪防止かテロ対策のつもりだろうけど、これでは不便だ。


そして弘前駅で今夜の寝台特急「あけぼの」の指定を受ける。
青森往復きっぷのグリーン用を持っているので、B寝台ソロ(個室)が予約できる。
寝台特急の個室に乗れるなんて、嬉しい。
今まではただのB寝台しか乗ったことが無い。
普通のB寝台はボックス席の座席部分に二段ベッドが並んでいるような配置で、ひとつの窓を4人で共有する感じ。
しかし今夜は違うぞ、何と言ってもソロだからなぁ。
どんな感じなんだろう。


ま、それは今夜の楽しみとして、ミスドで朝食を済ませ、弘前バスターミナルへ歩く。
ちょうど、バスターミナルは弘前駅とホテルの中間に位置する。
バスターミナルで津軽峠までの往復割引きっぷを買う。
すると『今日は暗門の滝は見れないよ』

(゜ロ゜;)エェッ!?

『まだ残雪があって、通行止めだよ。』


うーん、残念。
しかしいまさら引き下がれない。
マザーツリーだけでも拝んでこよう。


そしてバスが到着。
へ・・・? これってマイクロバス?
通路を挟んで左が1席、右が2席という小さなバスだ。
でも二人しか乗らなかったので、このバスでいいのかも。


おもしろいことに、乗務員が3人居る。
これは後で分かったことだが、ひとりの運転手さんが腰を悪くしていて、二人の運転手さんに道順を教えているのだった。

運転席の後ろ側に張り紙がしてある。

6月27日
暗門の滝(第一)・・・×
暗門の滝(第二)・・・×
暗門の滝(第三)・・・×

やっぱりダメなんだ。

(_ _。)・・・シュン


弘前から複数のバスが往復する「アクアグリーンビレッジANMON」という停留所までは舗装道だが、その先は未舗装の林道。
ガタガタと音を立てながら峠に向ってバスは登ってゆく。
途中、激しい雨にも降られたが、津軽峠に着いたときは、少し小降りになっていた。


津軽峠の停留所から5分ほど林の中を歩くと、樹齢400年を数えるマザーツリーに出会える。
・・・が、20分後に津軽峠を降りるバスが出るので、それまでにバスに戻らなければならない(^-^;

急げや急げ・・・、これがそのマザーツリー。

マザーツリー

マザーツリー2


傘をさして写っているのは、もう一人のバスの乗客。
関西弁のおじさんだ。


マザーツリーを見たとき、正直言って「え?こんなもん?」
たしかに大きいし、幹も太い。
でも、何と言うか、神聖さや荘厳さをもっと感じるものかと思っていたが・・・。


バスに戻って、関西弁のおじさんも
「なんや、普通の樹やないか。ここまで見に来る価値あんのかいな。」
とぼやいていた。
まぁ、価値が無いとは言わないが、ここまで来ても20分しか時間が無いし、観るものはマザーツリーだけだし・・・。
時間効率良く旅をしたい人には、無理して行かなくても・・・って感じですね。


峠を後にしてバスは林道を下る。
帰りはもう一人の運転手さんが運転している。

「アクアグリーンビレッジANMON」に着いて、バスは20分ほど停車時間がある。
そこから何人かの登山客が乗り込んできた。
「あの~、暗門の滝まで行かれたんですか?」
『第三までなら、みんな行ってるよ』

(゜ー゜☆キラッ
よし!おらも行ってみるべ!!

ということで、「運転手さん、ここで降りて暗門の滝に行ってきます。」
『おぉ、そうかい。気をつけてな。』


暗門の滝は三つの滝から成り、下流側から第三、第二、第一と名前がつけられている。
登るほどにその落差は大きくなるらしい。

私は雨具を持っていない。
少々の雨なら、ウインドブレーカーでしのぐつもりでいた。
そして雨の中を歩き始める。


子供の頃からボーイスカウトでならしていたので、ハイキングなんてお手の物だ。
そうして私はちょっとなめていたかも知れない。

ANMONの停留所を出て、少し歩くと一番手前の滝に会えるものだと思っていた。
川に沿って登っていくのだが、歩いても歩いても滝は見えない。
そのうちどしゃ降りの雨が襲ってくる。
(ひー、こりゃシャツにまで滲みてくるな)
そうは言っても、引き返すわけに行かない。
もう少し行けば滝が見れるはず。

ある意味、もう開き直って、ボトボトに濡れながら上流へと歩いていく。
途中、滝を見て帰ってきたであろう人たちと、何人もすれ違う。
きちんと雨がっぱを着て、片手に杖を持っている人ばかりだ。

(あはは・・・、こんな軽装で登るのは俺だけかい!)

そのうち川幅が狭くなり、大きな岩の間をゴォーッと音を立てながら水が流れてゆく。
雪解け水に加え、雨降りだから水量も増しているのかもしれない。
もう歩き始めた時のように、道も広くない。
岩に打ち付けたロープをつかみ、単管足場で掛け渡した即席の橋を渡り、いかにも滝が近い感じになってきた。
歩き始めて30分は経っていた。

すると看板が出てきた。

《暗門の滝まで あと1キロ》

(゜ロ゜;)エェッ!?

まだ、あるんだ・・・。

途中は本当に危険なところがある。
残雪だが、既に氷状になっている大きな塊が川に向ってずり落ちている。
そのすぐ脇を通り抜ける。
雨も降っているし、今この雪が滑り出したら間違いなく死ぬな・・。
そうした氷塊がいくつもあったから、恐いではないか。
なるほど、これでバスターミナルのおじさんが言っていたことが分かったぞ。

雪の上をなでるように、白い煙が湧いている。
これは冷たい雪にあたった空気が冷やされて、雲のようになってゆっくり川に下りているのだ。
本当に危険です(-_-;)


雨の中を歩くこと40~50分、ようやく第三の滝に出会えました。
滝つぼに舞い上がる水しぶきと、残雪から湧いている雲とが一緒になって、辺り一面は真っ白。
まるで雲の中に居るようで、神秘的だった。

そこから先の第二の滝へ登る道はトラロープでしっかりとふさがれ、通行禁止となっていた。

という訳で、写真も撮らずにそそくさと来た道を戻ることにした。
下りはじめてすぐに、外人さんのカップルがビニール傘をさしながら登ってきた。

「あとちょっとで滝ですよ」
『アリガトウ』

しかし、この外人のお姉さんはサンダルっぽい普段の靴で登って来たのか!?
自分よりうわての軽装が居た(^-^;

雨は一向にやむ気配も無く、激しく降ったり、小降りになったりを繰り返していた。


停留所のアクアグリーンビレッジANMONにはおみやげ物や軽い食事ができる大きなロッジ風の建物が建っている。
まずはそこに駆け込み、雨に濡れない入り口脇の軒先で荷物を下ろした。
こりゃパンツまでびしょ濡れです。

おみやげ物屋でTシャツを買い、それに着替えることにした。

「すいません、雨に濡れちゃって、着替えるTシャツが欲しいんですけど。」
『はいはい、えっと、これとこれかな。』

背中に「白神」と筆字で書かれたTシャツの白地と黒地の2種類、そしてもうひとつは「又鬼」と書かれた2種類の4種類あった。
外人さんが日本みやげに買うような大きな筆字が背中に書かれたTシャツである。

「あの、この又鬼って何ですか?」
『これはね、熊を撃って生活している人のことをマタギと言うのよ。』
『熊を撃つ瞬間は、心を鬼にしているからよ。』と、両手を胸に当てて説明してくれた。


で、少し悪い気がしたけど、「白神」の黒地を買いました(^-^;

シャツを着替えても、さすがにジーンズは着替えられない。
ホットコーヒーで温まりながら、バスを待つ。

帰りのバスはほとんど寝てました。

弘前駅でロッカーから荷物を取り出し、早速ズボンを履き替える。

でも暗門の滝を見てきて良かった。
マザーツリーだけじゃ、一日かけるにはもったいなかったもんな。
ずぶ濡れになったけど、これもいい思い出になるはずだ。


寝台特急「あけぼの」の時間まで、2時間近くをミスドで過ごす。
ホットコーヒーのおかわり自由だから丁度いい。

この旅もいよいよこれでお終いだ。
十二湖といい、不老ふ死温泉といい、天気に恵まれていい旅が出来たと思う。
おかげできれいな写真が撮れたし、ヨメやブログのみんなにいいお土産話ができそうだ。


そして、弘前駅にあけぼのが入線してきた。
あけぼの

さぁ、期待のB寝台ソロだ。
きっぷには8号車とある。
ブルートレインの列車には、白や銀、金の帯があって、寝台の種類をあらわしている。
8号車は金の1本帯だった。

オオーw(*゜o゜*)w 金帯だ!

8号車は真ん中に通路があり、左右に個室がある。
しかしよく見ると、その個室は下段と上段に分かれていた。
自分の寝台は上段だった。
はしご並みの狭くて急勾配の階段を上って、ドアを開けるとそこが個室・・・、って言うかカプセルホテルのカプセルのようなところだった。

B寝台ソロ

B寝台ソロ2

狭くて嫌だという人も多いでしょうけど、私はおもしろかった。
窓も大きくて、星空が見えるし(^-^;

B寝台ソロ3

寝台特急「あけぼの」は春小麦を乗せて、上野までカタンカタンと走っていきました。

                       <終>






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Last updated  2006/07/08 09:25:11 PM
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