|
テーマ:本日の1冊(3692)
カテゴリ:読書の話。
前に読んだ『肩越しの恋人』と同じ作者サンの本なのですが。
ちょっと、気になったので買ってしまいました(かなり、前ですが) 『肩越しの恋人』とは、もちろん内容の違う本でした。 『恋』って、魔物なんだな。そんな風に思う1冊になりました。 七々子が恋した相手は、すでに恋人がいて。諦めきれない想いの彼女。 そして、取った行動は恋した相手の恋人と友達になること。 友達になり、騙して陥れて。自らの恋を叶えてしまう。 その狂気にまで似た想いに、偽りはなかったはずだけれど。 だけど、偽りはなくとも。きっと、どこかに罪の意識があったのかも知れません。 彼女は、今の幸せを手放して奪った恋。その価値を知るのは、失った後。 女は怖い、彼はそう言いました。アタシも、読んで怖いと思いました。 ただ、そうしてまで叶えた願いが幸せであると言えるのか。 ヒトは、例え幸せであっても。そこで満足してしまわない生物です。 向上心を持つ生物だから。もっと、もっと、とどこまでも求める。 でも、それは、奪うものであれば、今を捨ててしまわなければいけないのなら。 最初にそう見えていても、結果として幸せになれると限りません。 ましてや、手に入れるためにした自らの行動。良きも悪きも。 時を隔てて、ヒトの心を巡って、いつしか自分に返って来るもの。 現状が当然だと思ってしまうと、それが当たり前の毎日です。 そうして、ヒトはその当然に慣れてしまう。本当の価値を見失ってしまう。 忘れてはいけない事でも、どんなに大切なものでも。 いつしか、失ってしまって。その価値を思い出すのではないでしょうか。 失って気が付くのではなくて、失って思い出すんだと思います。 ヒトには、美しい面もあれば、恐ろしい面も存在します。 恋をして変わる、裏切られて変わる。 七々子は恋をして変わり、美咲は裏切られて変わった。 全く違った性格にしてしまったのが、恋という魔物。 誰かを好きになると、好きになりすぎると。 いつしか、世界の中心はその相手にとシフトして。 そして、もう、その人しか見えなくなって。 最終的には、自分自身すらも見失ってしまう。 そして、いくつかある選択肢を自らで消していく。 それも、また、たくさんある中の、ひとつの恋のカタチ。 とても強く、とても脆く、とても多くあるもの。 きっと、この世界に七々子も美咲もたくさんいるんだと思います。 忘れられない恋、忘れたい恋、どちらも忘れないで欲しいと思いました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[読書の話。] カテゴリの最新記事
|
|