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カテゴリ:ヨガ・気功
最近は講演だとか、原稿依頼とか、公的な仕事を含めてどうも忙しくていけません。すっかりブログもお休みしてしまっていました。
時間なかったので、今回は医師会報に出す内容を紹介します。 題;ヨガ式運動療法をクリニックに取り入れました。 「腰痛ですね。腰を伸ばす運動をしましょう。」 「肩の凝りですか? 肩のストレッチをしましょう。」 腰痛、肩こりを訴える人はわんさかとおられ、こんな言葉を診察室で言うのは日常茶飯事です。 以前はその運動の実際の仕方も教えずに、単に言葉だけで指導したつもりになっていました。 そのうち、ときどき診察室で実際にやり方を指導するようになりました。 「腰はこうやって伸ばして。」 「肩は上へぎゅーっと持ち上げるようにして。」 などと指導していたのです。 ところが、現に目の前で指導していても私のいうことを実際にできていないことに次第に気がついたのです。 腰を伸ばしてといったら、多くの方が臍のあたりを伸ばしたり、曲げたりして、肝心な腰の運動はまったくなされていません。 肩の運動といっても猫背のままで、運動するため、肩を十分に伸ばしていないのです。 「かと言って、リハビリ指導士を導入するなんてなかなかできないしなあ。」と思っていたのです。 最近は世を挙げてヨガがブームです。 以前から私も多少ヨガをかじっていて、その効果も知っていたのですが、どうもそれを診療に結びつけるなんて発想はなかったのでした。 でも最近、ヨガのブームとともに、ふとクリニックでもやってみようと思いつきました。 私ひとりだけではなかなか指導に当たれません。それでクリニックのナースにやってみたいという方がおられたので、教え込み、インストラクターになってもらったことも幸いしました。時間的な制限もあって、回数は多くはできないけれど、家でやる運動の仕方のこつなどを中心に、ヨガの手法を取り入れての運動指導を開始です。 ヨガのやり方は、息を吐きながらゆっくりと伸ばしていき、伸ばしたまま数秒間じっとして、その後はゆっくりと息を吸いながら戻していきます。呼吸とともにゆっくりと動きます。 そんな指導を始めてからの感想です。 病院などでは、リハビリとして、身体を動かす指導をやっています。ところがどうもそれが局所療法に思えるのです。 手が麻痺したから、手の訓練、腕が上がらないから、腕を上げる訓練、歩行障害だから、歩行訓練など。そこには脊髄の彎曲を含めた、身体全体を見渡して、全体をどのように整えるかといった視点がないのです。ヨガには全体から見た異常を改善しようという眼があるのです。 ヨガはゆっくりとした運動なので、身体障害を持っている人や高齢者にも導入しやすいのです。もちろんきつい運動もありますが、そんな運動は当然やらないでおきます。 こうした経緯で、何人かずつ集まってもらって、患者さんにヨガをベースにした運動療法を教えるようになったのです。 やってみての効果は姿勢の悪さからくる不定愁訴が改善されます。何よりも姿勢が良くなります。それから、血液のうっ血や局所の浮腫(たとえば足の脹れ)からくる愁訴も、身体を動かすことで、うっ血も取れ、楽になると言われます。 こうした愁訴はいくら薬を飲んでも改善しにくいものです。しっかり見ないと、一見検査に異常がないので、「気のせいだ」とか「ストレスでしょう」と診断し、せいぜい安定剤や抗うつ剤などの投与をされているケースも見られます。 睡眠障害の人にも朗報です。ヨガストレッチをおこなった後、くつろぎのポーズをすると気持ち良くて、眠ってしまう人も多いのです。そんなことから、「寝る少し前にするとよく眠れますよ。」と指導しています。 ところで、リハビリでこうした不定愁訴を訴える患者さんの運動指導が行われているかと言えば、決してそうとも言えません。むしろ、症状があっても動ける人が多いので、リハビリの対象となっていないケースがほとんどなのです。その結果、普通の診療を受けても十分に改善せずに、えてして、こんな方はドクターショッピングをされているようにも思います。 もちろん身体の動きの良くない方にも効果あります。できる運動を、特に脊髄を伸ばすようにやってもらっています。 とはいうものの、やみくもにヨガなどの運動をやればいいかというと、これもまた疑問です。まず、無理すると首や腰を痛めてしまいます。それから愁訴をおこしている原因、部位をしっかり掴んで、どのような運動が効果的かを考えて指導しないと、その愁訴も取れにくいと言えます。それにはその人の話をよく聞き、運動をどのように指導したらいいかをよく考えてみることも必要と思われます。 始めてみてわかったのは、薬を飲んでいるだけではなくて、適切な運動もしないと、真に健康といえる状態にはなりにくいです、というのが、率直な感想です。 私もやってみて、やって寝たときは目覚めがいいのです。ところが、眠くてやらずに寝てしまうとどうも起床時がすっきりしません。 寝る前にすると指導はしてみたものの、自分がやってみると、途中で寝てしまうこともよくあるのです。この対策はいかにしようかと思案中です。 いずれにしても人ごとじゃありません。私も最近どうも運動不足な気がします。まずは私自身がもっとやらんといけませんわ! そんなことにも気がついた昨今です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
October 24, 2005 12:57:45 AM
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