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カテゴリ:HASIRA生活日誌
第一話
僕はもう助からないだろう。 そう思っていた。あながち間違いでもないようだ。 僕はKに懇願する。「僕が生きていく上で、君の力が必要なんだ」と。 でも思い返して、意地を張る。弱い力で突っぱねてみる。「僕と君は分岐点に辿り着いた。そろそろパートナーをチェンジするときなんじゃあないのかね。」 そんな支離滅裂に、彼女はじっと僕の目を見て、僕の欲しい言葉を与える。 「あなたは余計なことを考えなくてもいいの。」 眉のたれた飼い犬が窓に映る。なんだこのユーウツは。 こっそりと、ポケットの中の薬を飲む。少し気分が晴れる。 僕はいま先の見えない仕事を、ただ黙々とこなしている。 こなさなければ生きていけない。こなしていても生きていけない。 逃げようか?いつもそう思う。ただ逃げたとしても、いつもKに見つかり、そして捕まってしまう。捕まりたいのか?僕は。自分に問う。その通りだと僕は答える。そして生きながら死んで腐乱していく様にぞっとする。そしてまたいつもの夜が来る。 えみりから「不安だ」と電子郵便が届く。ライムから「また温泉に行こうとお誘いがかかる。僕はその二つとも返事をしない。 もうだめだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005/11/09 12:33:08 AM
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