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HASIRA

HASIRA

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2005/11/18
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カテゴリ:HASIRA生活日誌
第十一話

冬物のコートを着て、車を磨いて。
彼女が乗るのをジッと待つ。
ぬるい珈琲が、どんどんと冷えていく。
僕はもうこうして何度も彼女を待つ。
僕の思いなど伺い知らぬ彼女は、
僕の事もすっかり忘れて仕事に没頭している。
僕は、かじかむ手をさすりながら、彼女の姿を目で追う。
それが倖せであると、感じてしまうことが哀しい。
いつもの会議室で、僕は彼女に気取られまいと役に立たない煙幕を張り続け、言葉につまればこっそりと部屋を抜け出す。
そんな風にしか切り抜けることができない。
狂人ができることはそんな程度だ。

しかしそんな宝物を、せっせと磨く僕は、やはり狂っているに違いない。
きっとそうだ。





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Last updated  2005/11/19 12:07:28 AM
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