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カテゴリ:HASIRA生活日誌
菓子パンを頬張り、缶珈琲で手をあたためて、252円のランチを終える。
愛車には2000円分のガソリン。相棒は不満そうだが、何しろ手持ちのお金がない。がまんしろよ、と冷たい肌を撫でる。 もう半分は来ただろうか。約束の時間迄あと1時間はある。 僕は珈琲を飲み干すと、エンジンをスタートさせた。 心地よい音がして、愛車が蘇る。 生憎の寒さで窓はしめ切ったままだが、彼は快調な音を響かせている。 「血の通ったものなど相手にしなければいいのに。モノならば、裏切られることはない。」 そうだろう。そうだろうとも。前の車も、決して僕を裏切った訳じゃあない。僕が裏切ったのだ。過酷な迄に使い過ぎた。 ふと、ある父の台詞を思い浮かべる。 「僕は誰か一人でも救えると思っている訳ではない。僕には誰も救えない。」 その台詞がエコーして、頭の中に住み着いた。 千夏との約束は三時半。会議が定刻通りに終われば、余裕で会える。 にやけた顔を隠しもせずに、僕はスピードを上げる。 しかし、ものごとそううまく行くものではない。 会議が終わったのは五時。開かずの携帯電話には彼女からの「随分遅いけどもう帰っちゃったの?」の電子郵便。 左眉が哀しみに下がった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005/11/28 10:32:27 PM
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