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HASIRA

HASIRA

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2005/12/04
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カテゴリ:HASIRA生活日誌
白い矢が、愛車目掛けて飛んでくる。
慌ててライトを下向きにしても、どんどん、どんどん。
高速道路にふる雪は、僕の顔を凍てつかせる。
「幻覚の割には寒いすね。」
助手席の大志が細い身体を震わせて舌打ちをする。
それでも「くるんじゃあなかった」と言わないところが、彼のいいところかも知れない。

思えば昨夜のパーティではいろいろなことがあった。ゲストできていたZZTOPのBilly F.Gibbonsに、あそこまで無理難題を言ったのは、狂人の強みか。
その場面を思い出すと、口の端が持ち上がる。
「気持ち悪いな。また女の子とをかんがえていたんでしょ。」
大志が笑う。
そりゃあそうだ。いまや僕は彼女無しには語れない。
今回も道中、大志には散々とこの話を聞かせた。1時間に30分の分量だ。
それでも「くるんじゃあなかった」と言わないところが、彼のいいところかも知れない。

深夜になって、僕は彼女の勤め先の近くを通りかかる。
すると彼女からの電子郵便だ。
「ごはんを一緒にたべない?」
羽根の生えた僕は、助手席で眠り込んでいる大志をいいことに、彼女の指定する店へとハンドルを切り返す。

「こうして逢わなければ、火曜日迄逢うことはなかったのに。逢わなかった最長記録になったかも知れないのに。」
もちろんそんなことが耐えられる訳がない。昨日会えなかっただけで、僕は今回の仕事を請け負ったことを後悔していた程だ。

道中いくつも現われる観覧車。僕は君にそれを見せたかった。
道中いくつも現われる大きな橋。僕は君にそれを見せたかった。
道中いくつも現われる巨大なビルディング。僕は君にそれを見せたかった。
道中いくつも現われる愛らしいネオンサイン。僕は君にそれを見せたかった。
僕は彼女がいない空虚を、彼女にどう伝えたらいいのか判らない。
だから「疲れた」を連発し、カウンターに顔をうずめて話をする。
僕は、彼女のことを愛し過ぎている。





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Last updated  2005/12/05 11:53:35 AM
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