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カテゴリ:習作・その他雑記
一つの仕事が終わり、クライアントからの振り込みによって、しばし裕福な生活を楽しんでみる。…とはいえ、この臆病な犬にとっての裕福は、いつも窓越しに眺めていた「ローテローゼ」のくるみパンを10個ほどばかり買い込み、河原で食べる。伸ばし伸ばしにしていた彼女たちの約束を消化するのが関の山。相変わらずガソリンは二千円単位でしか入れないし、街中に買物に行く時ですら駐車場の時間を気にしている。
われながら貧乏暮らしがイタについてきたなぁ…と思えば、10年選手の上着のポケットに穴が空く。それを直したところで、あちこちガタは来ているだろうから、指を突っ込んではその感触を楽しむしかない。 まだ4月にもなっていないというのに、次の仕事で年内予定している仕事は終了する。後は必死で営業をかけていかないと、食うものも食えなくなっちまう。 それでも僕は、焦ることなく一日一日を消費している。 「怖いものが何もない」 数日前そんな話をした。自らの死ですら怖れるに足りない、とも。 何がキッカケでそんな話になったのか判らない。そして僕自身何がキッカケでそうなったのかも判らない。 ただそんな風になってしまった、としか言えない。何故だろう…と頭をひねってみても、答えは姿を現さない。 夏にあらわれる少女の物語は、もう何十本にも及んだ。 それを今さら紐解く気にもなれなかった。すべてはもう終わったことなのだ。僕と少女との物語は、飛行機から眺めた海の映像で幕を閉じた。 今それを呼び起こすことは、はたして意味があることなのか…と問うてみる。いや、意味を言えばキリがない。すべてはじめから意味のナイ物語だ。 僕は彼を見て、昔の僕の姿を思い出した。だからあの夏の非を呼び起こそうとしている。ただそれだけのことだ。 仕事用のパソコンが壊れた。仕事にならない…のは当然だ。 勿論それ以外の仕事だってある。でも今しばらくは手を停めてみる。 一週間くらいの休暇になるだろうか。 とりあえずベッドの側に落ちている小説を十冊ばかり読んでみる。 僕は僕の思いつきに感心する。 車を少しばかり走らせてみる。これもいい。たまった映画を観るのもいいだろう。端役の台詞が気に入るかも知れない。 そしてしばらく放置していた日記をとりあえずまた書き出してみようかと、思いつく。 そして、僕はあちこち日記の手直しをして、写真を整理して、そして書き出しを考える。 パソコンの修理はかなりかかるだろう。裁判はうまく行くだろうか?仕事のあてはあるのだろうか。いろんなことが頭の中を駆け巡る。 それでも 幸福な日々は続く。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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