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その人が存在する歓び。
その人に触れられない哀しみ。 鳴らない電話を山に捨てる。でもそこからは解放されない。浮遊した魂を、ポケットにねじ込んで、僕は誰でもない誰かと逢う。たあいもない会話。たあいもない日常。たあいもない音楽。たあいもない映像。それらにまみれていはいるものの、決して暖かくはならない。 試しにすべてを停止してみる。三日ともたない。 「こぎんのいない世界はなんて無意味で価値がないんだ。すべてはもう色褪せた。今、この瞬間、わたしは無を感じる。もはやわたしはこぎんを痛みと悲しみでしか思い出すことができない。早くわたしの存在を消してしまうがいい。山の精よ、沼の主よ、もののけたちよ。この世界から逃れるためならば、わたしの魂は喜んでお前達のもとへ召されるだろう。さぁ、早く。」 迷鳥物語の一部だ。 僕は何度も子のセリフを口にする。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/03/15 02:46:22 PM
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