新吾十番勝負第一部・第二部総集版・・・(13)
新吾は必ず、武田一真を斬る風が吹き荒れるある夜、武田一真が海産物問屋淀屋の要助から頼まれた文を秩父にいる梅井多門のところに持っていきます。多門は届けてくれたお礼をいいに出て一真と分かるや、20年昔闘って敗れてから一真の剣を忘れたことはない、自分の剣は一真によってしか試すことはできない、と言います。外に出て、二人は立ち会いますが、一真が勝ちます。一真の一刀をあびた多門は目が見えなくなってしまいます。門弟達が多門の帰りを心配しているところへ新吾と庄三郎が帰ってきます。「どうした」「梅井先生が・・・」 多門がよろけながら道場のほうに。新吾「先生、どうなさいました」 数日後、新吾は庄三郎に、多門の目を治すためと淀屋にお墨付きを届けるために大阪に行くといいます。新吾様は当分秩父の道場にいるだろうと、江戸表へ使いを出したばかりだという庄三郎に、新吾「お許しください、でも、葵新吾とは名乗りません。そうだ、真崎・・真崎新 吾と名乗って大阪へ参ります」 新吾は、大阪海産物問屋の淀屋に来ています。淀屋辰五郎は、要助の供養と思い多門の目はきっと治すといってくれます。新吾は安心したといい、新吾「実は事情があって、十月十五日までに、ぜひとも目を治したいのです」辰五郎は、日がないけれども出来ることはするというのを聞いて、安堵します。 辰五郎にひき止められ、遅くまでご馳走になって帰ろうとしたとき、奈良屋の一味が踏み込み、辰五郎を斬りお墨付きを取っていきます。新吾は、取り返そうと外まで追って行ったとき、どうしたのか一味は引き払い、町方に取り囲まれます。 新吾「不逞の者の襲撃を受けましたので斬り捨てました・・・お調べ下さい」大阪城・・・座敷に通された新吾は、襖を閉められおかしな音がしたのに・・「はっ」と気づき、四方の襖を開けてみると、そこは座敷牢でした。新吾は「城代」とさけびますが・・・。新吾がお墨付きを奪ったのを見ている・・城代と奈良屋は新吾が邪魔になります。 一真との約束の前日、多門は完全でない目で比叡山に向かっていました。大阪城では、葵新吾と名乗る乱心の男、城中にて急死・・それで永遠に闇から闇だ、と城代がいうと、坂本修理が座敷牢に出向き、新吾に「お迎えにあがりました」といいます。新吾「城代に会えるのか」坂本「御案内いたします」それを聞いて、牢から出たところで新吾はかかえられ、水桶にほおりこまれる状態になります。 ・・・が、寸前で蹴散らし逃れ 新吾「葵新吾を水づけにして殺す気かあ」 ここから、新吾の剣が容赦なく舞っていきます。(大立廻りになります) 城代を斬った新吾は、多門と一真の決闘場所に馬を走らせます。しかし、新吾がついたときには、二人の姿はなくどうしたのだろうと暗いなか目を凝らすと、そこに息のない多門が横たわっていました。新吾は、多門が握っていた剣をとり誓うのです。新吾「・・剣一筋に生きる新吾、終生の目標が出きたのだ。・・・新吾は必ず、 武田一真を斬る」 (完)