任侠中仙道・・・(3)
うめえことはめやがったな三番町の賭場に押し入ると、雲風一家の子分達は、抵抗もせず「勘弁なすって」というと寺箱を差し出すのでした。その中を覗いた浅二郎は、浅二郎「なんでい、これだけかい」才市が寺箱を受け取り引き揚げたのを見届けると、屋根へ上り合図を送ったさきは、文蔵と浅二郎達が押し入ろうとしている先にいる長次郎にでした。 戸をぶち破り押し込むと、雲風の多右衛門一家が賊が来るのを待ち構えていました。 浅二郎達は「はっ」として一歩下がります。 多右衛門は、いつも柳の下にどじょうがいるとは限らない、「後ろを見な」と。振り返ると田中屋長次郎一家が入口を塞いでいます。 それを見た浅二郎は、浅二郎「へつへっへっ、うめえことはめやがったな。たまにはこんなことねえと、 面白くねい」 多右衛門の「たたき斬れ」の言葉で立廻りになります。文蔵が「みんな散るんだ」の声に、浅二郎がそばに来ると「行くぜ」と・・・斬りながら皆外へバラバラになって逃げます。 浅二郎は文蔵とは離れて逃げたようです。町の方に出た浅二郎は必死に走りながら被っていた手拭いをとり、かけ込んだところは紅屋という店でした。 「一杯飲ませてもらうぜ」と二階へ上がる。誰かお名指しの娘でもいるかと聞かれ、「いねえよ」と、女中のおかくは「まかしといてください」と言って行きます。浅二郎は外の様子を気にしながら、浅二郎「みんなはどうしただろう」 と心配しながらも、今は自分の身も危ない始末。しばらくはここで落ち着てという心境でしょう。「失礼のないように」とおかくに押され立ちすくんでいる娘に視線を向けたその顔を見て、娘は「はっ」と驚き、浅二郎も「はっ、・・おきん」と発します。おきん「浅ニさん」浅二郎「おめえはまた、どうしてこんなところに」 おきん「島の伊三郎に売られたんです」浅二郎「えっ」お陣屋にとめられた娘が二人とおきん達十八人は伊三郎によって別れ別れにと、話します。浅二郎「ひでえ野郎だ。・・代官とぐるになって女衒まがいのことをしやがると は」おきんは、浅二郎にまだ酒の席に出ただけと、おきん「たとえ殺されても、おまえさんに巡りあうまでは・・・」浅二郎「そりゃよかった」それを聞いて浅二郎は、おきんにおかみさんを呼んでくるようにいいます。 文蔵、才市達は浅二郎が戻ってきていないのを心配していました。その頃紅屋では、浅二郎がおきんを身請けする内金をまず渡し、きっと訪ねてくるという浅二郎を女将が信じて承知してくれます。朝までに帰らないと皆が心配するため、浅二郎はおきんに待っているように言い帰って行きます。 続きます。