清水港に来た男・・・(10)
あっしに惚れてる為五郎の子分が胸倉をつかんでくると、政吉はその手を掴んで、政吉「おっと、・・・あれ、見ねえ顔だな。おめえさん方、いってい何処のお人だ い」といったのに対し、為五郎の身内の・・・までいったところで、待てと、お雪に「為五郎ってえのは、えれえ親分さんかい」と聞いたとき、「馬鹿野郎」といってきたのをうけて、政吉「ああ、馬鹿か」と返したので為五郎の子分たちが一斉にドスを抜き政吉にかかってきます。 政吉「暴力はいけません、話し合いましょう」と慌て逃げ回りながら、次から次へと子分達を投げていき、最後には自分で川に落ちるような格好をし「助けてくれー」と、子分達は引き揚げます。そして、政吉が本当に川に落ちるのではないかと、お雪が助けようと手をさしのべ、政吉「あっはは、やっぱりお雪さんは、あっしに惚れてる」と、お雪を抱きかかえると、お雪「馬鹿、惚れてなんかいるものか」と、力一杯政吉を押しのけたので、政吉は川の中にドボーン。 次郎長一行が都鳥を打ち果し戻って来たのは、それから数日後でした。町民達が出迎える中、喜三郎と角太郎は、二つの白い箱に入っていた。盛大な葬儀であるが、お袖は欲しいものは夫です、この子の父親ですと、泣き伏すお袖の前に言葉も出ない次郎長でした。このとき、またもやその情景に、政吉の目が・・・政吉の狙いは・・・何を探っているのでしょう。 続きます。