海賊八幡船・・・(18)
生涯を、八幡大菩薩の旗の下で暮らすのだ右衛門太夫の船では、今夜イスパニアの船に女達を売り飛ばす前祝いをやっています。青影丸と住吉丸が静かにニセめくら船に近づいていました。ニセめくら船がそのことに気づいたときには、大砲が打ち込まれます。そして、その大砲の音を聞き、対岸に待機していた鹿門は「いまだッ」というと、鹿門「それッ」といい、先頭で海に飛び込みます。 青影丸、住吉丸の攻撃に気を取られている間に、泳いでニセめくら船に乗りこもうというのです。 帆をあげている船員に気がつかれたので、鹿門は「潜れ」と指示します。海中めがけ飛んでくる銛をかわしながら船まで近づくと、投げたかぎ縄を伝って船に上ります。 ここから、双方入り乱れての船上での立廻りになります。青影丸や住吉丸が応援に来ると新蔵人の名を呼ぶ鹿門がいました。寿賀、与太夫、も応援に右衛門太夫の船に斬り込んでいきます。 大混乱のなかでの、鹿門と右衛門太夫の一騎打ちが始まります。色んな手段でかかってくる右衛門太夫に応戦する鹿門。右衛門太夫は剣を振り払らわれ追い込まれ、鉄砲を鹿門にむけますが、新蔵人により鉄砲も蹴落とされ、帆柱に上って行きます。鹿門は蹴落とされそうになりながらも、右衛門太夫が上りきったところで一刺し、仇を討ちました。右衛門太夫は海へ落ちていきます。 小静と五兵衛は助かり、無事会うことができました。 澄みきった青空のもと、八幡船団は帆にいっぱいの風を受けて、一路目的地に向かって進んでいきます。めくら船の先端に、大海原をじっと見つめている鹿門の姿があります。寿賀が鹿門に近づきます。鹿門と寿賀のにこやかな表情がとても素敵です。寿賀「とうとう、海の男、八幡船の男になってしまったわね」鹿門「寿賀さん、俺は入道殿や父君の意志を継ぎ、八幡船の頭領として働くぞ」寿賀は優しく鹿門を見つめます。鹿門「・・・生涯を、八幡大菩薩の旗の下で暮らすのだ」そういって、風になびく八幡大菩薩の旗を見あげる鹿門の顔には、海の男の力強い誇らしさが溢れています。 (終)🎞️『海賊八幡船』前回までの投稿掲載分は、ページ内リンクできるようにしてみました。下記のそれぞれをクリックしてご購読することができます。海賊八幡船・・・(17)海賊八幡船・・・(16)海賊八幡船・・・(15)海賊八幡船・・・(14)海賊八幡船・・・(13)海賊八幡船・・・(12)海賊八幡船・・・(11)海賊八幡船・・・(10)海賊八幡船・・・(9)海賊八幡船・・・(8)海賊八幡船・・・(7)海賊八幡船・・・(6)海賊八幡船・・・(5)海賊八幡船・・・(4)海賊八幡船・・・(3)海賊八幡船・・・(2)海賊八幡船・・・(1)