トミイ・マミイ
「笛吹若武者」でひばりさんと橋蔵さまの共演が大好評だったので、第2回の共演映画は何がよいかと考えていた新芸プロの福島社長は、村上元三先生に相談したことの記事を読みました。
「先生、ひばりちゃんとの2回目の共演映画で、橋蔵君に向くものを何かお願いできませんか」
村上先生は「私も橋蔵君は好きです。実は、江戸の有名な神楽師とこれを助ける娘を主題とした物語の腹案がありますから、これをまとめましょう。ちょうど橋蔵君とひばりちゃんによいと思うんですが」
ということで、そのあらましを聞くと非常に面白く、早速執筆をお願いしたということです。
原作名「花見獅子」を「おしどり囃子」と改題して映画化になりました。
トミイ・マミイの最強のコンビが、私たちに楽しく夢とロマンを与えてくださる映画の始まりになりました。
各映画会社での名コンビといわれた方達がいました。東映で、いや全国で名が響いたこのお二人トミイ・マミイコンビを外すことは出来ないでしょう。お二人は最後まで仲良かったのですもの。
トミイ・マミイと二人が呼ぶようになったのは「笛吹若武者」の撮影の終り頃からだったようです。
お二人は撮影が進むにつれ冗談を言い合うほどの間柄になったようです。
普段、すぐには話しかけたりしないひばりさんが、橋蔵さまには違ったと言われています。
ひばりさんが橋蔵さまの名前の富成からトミイと、橋蔵さまが年は若いけれどしっかりしていてお母さんのよう(ママのよう)だからマミイと。
橋蔵さまとひばりさんがご一緒に出られた番組で、「この人失礼しちゃうのよ、お母さんのようだからだって」と言っていましたわ。
この時期に、橋蔵さまは東映と契約をして、映画界でやっていくと決められました。
「おしどり囃子」は橋蔵さまの歌舞伎界から映画界への第一弾に相応しい作品内容でした。
橋蔵さま主演映画として出したかったようですが、そこは当時のいろいろな事情があったようで、ひばりさん主演映画でいったようです。
神楽の舞の場面、厳しい稽古場面・・等々、見ているとどうしても歌舞伎界にいた時の橋蔵さまを想像してしまいます。
六代目について厳しい修行をかさね、厳しく育ってきた橋蔵さまはこんな風だったのかなと、ファンは役柄の菊次に重ね合わせて見ていたのではないでしょうか。
ひばりさんとの共演の他の作品でも思うのですが、ひばりさんと橋蔵さまの絡みはとても自然な動きなのです。仕草、口調に・・二人が阿吽の呼吸を感じます。
ひばりさんの橋蔵さまに触れる時の手の仕草にも感心させられます。ラブ・シーンの時でもひばりさんが抱きつき甘える手の触れ方でも本当にいい感じなのです。
橋蔵さまもひばりさんだとラブ・シーンでもひばりさんが受け止めてくださるので、安心して演技をしているようにみえるのです。
この時期の他の女優さんとですと、ひばりさんを相手のような雰囲気は出せていないように感じます。
それと、口喧嘩のようなことをしては仲直りと、普段でもそうでは・・と思うような、お二人の仲の良さが作品から伝わってくるのです。「おしどり囃子」でも出てきますのでお楽しみに。
映画の中で流れる「花見獅子」と「おしどり囃子」という歌があります。
作品の流れの中、菊次とおたねの状況に合わせて流れてくる歌です。
映像はありませんが、歌がyoutubeにありますので、載せておきます。
ノイズがありますが、ひばりさんの歌声を聞きながら、どのような作品になっているのか想像してください。ご存知の方は、あの歌が流れた時は、あそこの場面だったと思い起こしてみてくださいね。
次回は「おしどり囃子」に入ります。