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師匠の家に帰った菊次は、青山から菊次の父親が今度新御番いりになるからと 内々の祝いの品を置いていったことを聞く。 菊次は喜ぶふうもなく、弥吉に「おめえが食ってくれ、いやなら、そこいらの 犬でも猫にでも食わせてくれ」と言う。 折角、おとっつぁんが持ってきたのにという弥吉に、 菊次「俺にゃ、親なんかねえ。がきの時から子供を人手に渡すような親は、 俺の親じゃねえ」 弥吉「だって、お侍の家にはこっちっとらと違って、難しい格式だの世間体 というものがあるだろう。それに、おめえは・・・」 菊次「おれは女中の子だ。女中の腹から生まれた子は、侍の家にはおけねえとよ。 俺は何も生んでくれとは言った覚えはねえ。頼んだ覚えもねえよ」 菊次が腹いせに父親の持ってきた饅頭を手で払った時、障子が開き師匠の総右衛門が来た。 師匠「菊次、来い」と、稽古場へ。 菊次「何でしょうか、師匠」 師匠「修行中の身で、浮世の雑事に心を惑わしてはならん」 菊次「へい」 師匠「今日のお前の舞には、隙があった」 よくよくは跡を継いで、宮神楽の神髄を伝えてもらわなければからないのだから・・・。 もう一度舞って見せなさいと言われ、菊次は弓と矢を手に取り、師匠の扇子での 拍子に合わせて舞い始めます。踊りながら幼い頃が心を過っています。 (乳飲み子で能見家から師匠総右衛門に引き取られていく様子が映像で映ります。) (冒頭の神社の舞台での舞、そしてここでの稽古の舞は、歌舞伎役者であった 橋蔵さまの見せ場ですね。扇子の音だけで舞うのが素晴らしい。 六代目からの稽古の時はこうだったのだろうな、と思い起こさせます。) 数日後の料亭こと川、芸者と男衆が呼ばれやって来た。 こと川の主人から、今夜は新御番組の振舞い、能見様が御番組に入ったので、 こういう時は必ず上役達がいじめるのが常なので、粗相がないようにと言われ 2階の座敷に行く。 座敷では、能見三之丞が難癖を付けられていた。器が粗末、芸人どもが遅いと、 すべてにひどいものである。芸者が来た時、芸者の踊りなど見たくはない、 と大庭中務。おたねに踊れと言う。 おたねが断ると、能見の仕切り方が悪いから娘までが馬鹿にするのだと言い出す。 おたねは1階に降りてしまった。 それではと男衆が江戸一番の獅子舞をといって踊り出すと、大庭の盃が飛んだ。 大庭は能見に大変な難題を吹っ掛けてきた・・「本当の江戸一番の獅子舞を見せていただきたい」 男衆が大変なことになったと1階の主人のところに飛んでくる。 さぁーて困ったことになった。能見様の折角のご招待が・・・考えあぐんでいるところへ、おたねが 「菊次さんにお願いしよう、菊次さんならきっと江戸一番の獅子舞を見せてくれる」 菊次のところへ使いを走らせる。 大庭「江戸一番の獅子舞はどうした」 男衆が今来ると言う。 大庭「なに、来る。きっと江戸一番の獅子舞でおろうの」 江戸一番どころか日本一の獅子舞でしょうと、男衆が言う。 大庭「きっとだな。その者は何という男だ」 それはまあ、ご覧になりましてからと男衆。 (能見三之丞は安心した様子である。) こと川からに呼ばれ菊次がやって来た。 菊次「何か御用ですか」 (この時の菊次は現状を知らないので、とても明るく爽やかな感じ) 主人 「実は菊さん、是非、お前に頼みたいことがあるんだよ」 菊次 「と、おっしゃると」 お歴々を招いての今夜の振舞いが、菊次に獅子舞を舞ってもらわないとめちゃめちゃになってしまうのだと聞かされる。(菊次の明るかった表情がなくなり、ちょっと厳しい表情になる) 菊次 「折角ですが、それは御免こうむります」 どうして・・というみんなの様子に 菊次 「獅子舞は太神楽のもので、宮神楽の中にはありません」 これで失礼すると、そっけなく立ち上がり帰ろうとする菊次に「獅子舞は出来ないの?」というおたねに、「習ったことはあるから知って入る」と答える菊次。 おたね「そんなら」 菊次 「あれは宮神楽師の舞うもんじゃねえ。うっかりそんなことしたら、 俺が師匠に破門される」 おたね「御大層なもんだね、宮神楽師ってのは」 菊次 「まぁっ、お断りしましょ」と・・・しかし、ふと何を思ったのか 菊次「もし旦那、今夜の振舞いのご主人役とおっしゃるのは」・・・能見三之丞と聞いてびっくりする。 ⇒ 菊次「えっ、その能見様が、いじめなされているのか。あっしが獅子舞を見せれば 能見様・・とおっしゃる方の顔がたつわけなんですね」 主人「それはそうだが、お前さんが破門を覚悟で舞ってくれとは言えないよ」 菊次は獅子舞を舞う覚悟をする。 おたね「菊さん、お獅子を舞う気になったんじゃないだろうね」 菊次 「その組頭の御旗本が、江戸一番の獅子舞が見たいといって おいでなんだろ、俺が江戸一番の獅子舞を見せようじゃねえか」 ⇒ 菊次「さあ、仕度しよう」 菊次は支度をして、獅子頭を取って2階座敷に向う。 (親なんかいねえ父親なんかじゃねえと言っていても、やはり菊次の心の中には親に対する優しい気持ちがあったのですね。) 獅子舞が終わります。 大庭は今宵一基板のご馳走。まこと江戸一番の獅子舞だ、とご満悦。 盃を取らせたいと言うが、おたねが下に降りて行った時には、菊次はちょっと前に帰った後。 おたねが外へ出て「菊さん」と呼んでいるのを、能見三之丞が聞いていた。 能見「菊次郎か、やはり・・・。菊次郎が、わしのためにもうてくれたのか」 それを聞いておたねが、「金さんの実のお父さん?」と。 破門になることを承知で父のために獅子舞を舞って帰る菊次の心境は・・。 続きます。
花笠若衆・・・(6) 2018年08月28日 コメント(5)
花笠若衆・・・(5) 2018年08月25日 コメント(9)
花笠若衆・・・(4) 2018年08月20日 コメント(2)
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