< 新しい記事
新着記事一覧(全451件)
過去の記事 >
出しゃばりついでだよ 江戸から逃げ出そうとしていた城太郎が品川宿でお春の絵日傘に飛び込み、追って来る騎馬を見過ごし、これでは江戸から外には出られないと、仕方なく江戸へ戻って行こうとした途中、出しゃばりの新吉と会って何かを思いついていた頃、本田家に城太郎を追っていた騎馬一行が戻ってきました。本田多門忠義は、見合いの間際に城太郎が姿を消したので慌てているのです。今日中に捜せと家臣たちはまたもや城太郎を探しに大わらわです。 兄の多忠郎は、城太郎がこのような時にいなくなるのはよほどの決心があっての事、この見合いは断るべき、と父多門忠義に言いますが聞き入れません。 その夜、川端に出ている屋台のそば屋に二人連れの男が、そばをうまそうに食べています。 あら、城太郎と新吉ではありませんか・・でも、来ている着物が違います・・ああ、城太郎が、新吉に「裸になれ」と言ったのは着物を取り変えるためだったのです。 (ここから少しの間、城太郎と新吉のやりとりを聞いてください) 新吉 「何とよう似合うなあ、いきなもんや・・生れつきのやくざみたいや。それに 引換えて、わしの似合わんこと、どうだ・・」 城太郎は、お腹が空いていたのでしょうか。新吉が話していても、おそばをおいしそうに食べ続けています。 城太郎「いや、そうでもない」 (おそばが口の中にまだ入っている状態で返事をします) 新吉 「まだあかん、言葉が侍や」 (身なりは町人になったのだから、言葉も町人にならなければ・・) 城太郎「じゃあ、よく似合うぜ、兄い」 新吉 「へえ、へえおおきに。おっさん、お変りあげて。ほんまにこんなにそっ くり変えてもろうて、えろうすんませんな。あっ、あかん・・昼間の追 っ手に見つけられたら、ばっさりやられてしまうわ」 城太郎「出しゃばりついでだよ」 新吉 「あかん、旦那、何べんもお聞きしますけど、何で追われてまんねん」 今までずっとおいしそうにおそばを食べていた城太郎の箸がこの言葉で止まり、顔色を変え言います。 城太郎「黙って食いな」 新吉が怖い顔をした城太郎がしびれるほどいいと言っていると、 城太郎は「あーあ美味かった」 (本当に満足したという言い方ですよ。でも本当によく食べましたね) と言いどんぶりを置くと、まだ食べている新吉に 城太郎「新吉、参るぞ」 新吉に「また侍や」と指摘され、 城太郎「新吉、行くぜ」 と、懐に手を入れ歩きだします。 新吉が何処へ行くのか聞きますと、「足の向くまま、気の向くままだい」と答える城太郎に、着物は変えてもらったが、口止め料は貰っていないし、「旦那も明日から一文無しでどないしますんね」と聞きますと、 城太郎「お前がいるじゃないか」 新吉 「そんな殺生な、下男とまちごうたらかなわんな。あのうどん代が精一杯の とこや」 城太郎「うまかったぞお」 (ペコちゃんみたいに可愛い) 新吉 「うわあ、そない言われたら、何でもしとうなるがな。しゃあない、今夜はわてにまかしといて・・行きまひょ」 新吉がいいところも見せたいと、城太郎を連れて行きます。 無一文の新吉が城太郎を伴ってやって来たところは、海産物問屋浪花屋の店先です。 新吉は、若旦那のお帰りやと扉を叩きます。城太郎が本当に新吉の家かと聞きますと、本当だと言うのです。浪花屋は新吉の実家でした。 店内では、奉公人達がどうしたらよいかうろたえていますと、新吉の弟祐吉が兄さんが帰って来たのだから、と開けようとしていると父重兵衛が来て、極道のあげく家を飛び出した新吉を絶対に家に入れないというのです。 新吉が、立派な侍の姿を見せようと帰って来たのに、と言っても開けてはくれない、新吉はもう一回だけ付き合ってくれと城太郎に言います。 城太郎「あんまり無理しない方がいいぜ、おい」 と言うと、新吉急に侍言葉で「つべこべ言わずに、着いて参れ」といさましく歩きだします。 その様子を見て、城太郎はどうしたのかと首を傾げ、へりくだった格好をしてついて行きます。 今度こそはいいところを見せると言った新吉、連れて行ったところは賭場でした。新吉の逆ばかりを張って大当たりの城太郎の前に、スリのお絹が出てきました。 城太郎の持っている駒を全部張れと、お絹は自分の体を張ると言ってきます。皆がざわつきます。 お絹 「どう、度胸のいいところで、勝負おしよ」 少しびっくりしていた感じの城太郎でしたが、笑って手に持っていた駒を置いて 城太郎「断るよ」 と席を立つと、儲けっぱなしで書いれると思うのかと言いがかりをつけられますが、城太郎「さよう」とへっちゃらなもの。だが、このままではすまないのが当りまえ、やくざ達が取り巻きます。 城太郎「よーし、まかしときな」 と言うと、ビンタをくれたリ、投げ飛ばしたりと、思いっきり暴れまくります。 相手がおとなしくなったところで、悠々として帰って行きます。 続きます。
炎の城・・・(11) 2024年08月05日
炎の城・・・(10) 2024年07月29日
炎の城・・・(9) 2024年07月23日
もっと見る
PR
日記/記事の投稿
カテゴリ
カレンダー
バックナンバー
フリーページ
サイド自由欄
コメント新着