任侠清水港・・・(2)
馬鹿は死ななきゃなおらねえ、おいみんな支度しろ 黒駒の勝蔵からの果たし状を受け取った次郎長は受けて発つことにします。大政はじめ出入りだということでみんな喜んでいます。ちょうど旅籠に泊まっている大前田英五郎のところに、黒駒と清水の出入りの様子の情報が逐次入ってきていました。黒駒の勝蔵側は助っ人を含めて180人近く、清水の次郎長の方は90人弱、この出入りは・・・に、大前田英五郎は、助っ人をあてにしないでえりぬきの身内だけで固めたところから、清水の勝ちだ、と言いきります。清水はどうでも勝蔵を寝むらす気でいるというのです。そこへ、黒駒が清水に油断をさせておいて後ろから攻めようとしている、という情報が入ってきました。それを聞いては大前田も黙っているわけにはいきません。富士川をはさんで、清水一家と黒駒一家がにらみ合い、果し合いの時刻を待っている時、一台の駕籠が川を渡って次郎長の方にやってきました。大前田英五郎は体を張ってもこの出入りをやめさせようと仲裁にやって来たのです。大前田は次郎長に道づくりをしてほしいと言います。大前田英五郎にあってから次郎長の気持ちに変化が起きていました。石松に讃岐の金比羅へ愛刀を奉納してきてほしいというのです。次郎長は畑の開拓に汗を流したりして、気がふれたのではという噂が流れ始めていました。次郎長の鶴の一声には勝てないから、と清水を後にした石松ですが、追分の三五郎に会い言うのです。石松 「おいらどうも気になってしょうがないんだよ」三五郎「何が、どう気になるんで」石松 「親分の、これがよ」といって頭を差し、「おいらには、どうしても正気と は思えねえんだ」三五郎「ば、馬鹿な事をいっちゃぁいけやせん。親分ほどのお人が、どう間違った って、そんなことになるはずがござんせんよ」 石松 「おめぇ、ほんとにそう思うか」三五郎「思いますとも」石松 「そんなら、おれも安心だよ」青木屋の前に来たその時、三五郎が石松にちょっと待っててくれと言い、おしのに、石松が旅に出ることを言います。 見送りに出たおしのからもあまりお酒は飲まないように言われます。おしの「待って、せめて階段口までおくるわ」石松「やめてくれ、夢に残らあ」おしの「えっ」その時の三五郎の表情は (石松がおしのを大好きだったことを分かっていますから、複雑な心境でしたね)石松、二人の表情を見て石松「仲良くするんだぜ」と言ってかけていきます。かけていく石松をみている二人の表情が・・なにを思っていたのでしょう・・。(優しい三五郎と子供みたいな石松の友情か・・無事に帰ってきて・・まさか最後の別れになるとは・・)金毘羅様の帰り立ち寄った宿場で、久六の念晴らしに託けて、都鳥に殺されてしまいます。(ここは、皆様ご存知の場面なので省きます。)石松を殺した都鳥は黒駒のところへ報告に。次郎長狂気の噂は本当だとの知らせも入り、黒駒と都鳥は、清水へ発つことを決めて、追分の宿で落ちあうことにします。都鳥が追分の青木屋の宿をとった頃、小松村の七五郎が次郎長を訪ねて来ました。石さんは、もうこの世の人ではない、都鳥の吉兵衛に殺されたといいます。その夜、沈んだ様子の三五郎が青木屋のおしののところにやってきます。青木屋の奥座敷では、都鳥一行が夕食をとっています。おしのは、都鳥に明日早く発つので帳場に言っておくように頼まれます。三五郎が来ていることを聞き、急いで部屋に行くと、三五郎の沈んだ顔を見ておしの「どうなすったんです・・・ねえ、一体どうしたってゆうんですよ」おしのに、なかなか言い出せません。三五郎「石さんは死んだよ」おしの「えっ」三五郎「帰る途中で、殺されたんだ」おしの「何処で、誰に」三五郎「遠州の岩村っていうところで、都鳥の吉兵衛一家に」 おしの「都鳥ですって」三五郎「おめえ、心当たりがあんのか」おしの「ええ、先ほどちらりと耳にしたんですけど、離れのお客様の中に都鳥 っていう人が」三五郎「ほんとうか」14,5人の同勢、他に40人ばかりがいると、そいつは耳よりなはなしだ、と三五郎は様子を見ます。黒駒からの知らせが来て、虎の下刻に追分を出て清水についたら、都鳥はすぐ裏手にまわって火をかけろというのです。それを耳にした三五郎が次郎長のところに走ります。三五郎「親分、親分、大変だ。都鳥の一家と黒駒一家が・・」 大政 「何だと」三五郎「夜の引き明けに、殴り込みをかけようと、追分の宿場に陣取っており やす」 次郎長「なるほどなぁ。馬鹿は死ななきゃなおらねえ、おいみんな支度しろ」次郎長一家は追分に向って、黒駒の勝蔵と都鳥が支度をして清水へ向かおうとした前に、次郎長が立ちはだかります。(大勢での立回りです。) 石松の無念晴らしと暴れまくります。(親友森の石松の非業の死が、優しい三五郎の胸に激しい怒りの炎が燃え上がります。喧嘩支度も凛々しい三五郎には恐ろしいほどの激しさがありました)(チャンバラの東映らしく大勢での立回りでよいのですが、カメラの動きがいそがしくて誰が誰だかよくわかりませんでした。やくざ同士のチャンバラですから入り乱れて・・になるのは分かります。ちょっと残念。でも、よぉーく見ていると、お目当ての人は見つけられると思います。)掟には逆らえない、名乗って出よう。夜が白々明ける中、堂々とした次郎長一家の姿がありました。 (完)