はてなのゆりさん

　




1988年12月 宇宙はてない社 発行

解 説　　西尾　漠
原子力資料情報室

作・絵　しみずゆりこ



ヨウ素は まっすぐ 甲状腺




甲状腺は、ヨウ素を必要とするものですから、

放射性のヨウ素でも、取り込んでしまいます。

原発事故で大量に漏れ出す放射性のヨウ素が

甲状腺にため込まれると、子どもの成長障害を

起こしたり、甲状腺ガンを発病させたりする

原因となります。





放射能、あびれば 必ず 影響が




放射能の影響のうち、発ガンや遺伝障害のような

ある確立で発生する障害には、これ以下なら安全と

いう≪しきい値≫がありません。どんなに微量でも

放射能を浴びれば、それだけ障害が発生する

確率も高くなります。




濃縮し、びっくりするほど たまってく




体にたまる性質をもつ放射能を、どんどん

取り込むと、排泄される以上にたまって、

放射能が濃縮されます。この濃縮が食物

連鎖の中でくり返されたら‥人間が食べる

時には かなり高い濃度になっていきます。




まいったな、狭い日本に 原発びっしり




日本には、今や４０基（1988年当時）に近い

原発が動いています。　面積辺りにすれば、

世界一の原発大国であるアメリカの１０倍の

密度と言ってよいでしょう。大事故が起きたら

それだけ被害も大きくなるということです。

西尾 漠 氏からのメッセージによると
　　現在は５４基です‥とのこと。




冷却水、もれて 空だき メルトダウン




原発事故の中で、最もこわいとされているのは

原子炉を冷やす水が漏れて、炉が空だきとなる

事故です。この事故が起こると、燃料が溶けて

チャイナ・シンドロームとも呼ばれる

メルトダウンにつながります。




目に見えず 臭わず こっそり 忍び込む




放射能は目に見えません。臭いもしません。

大量に浴びると、金属の味がしたりするとも

言われますが、ふつうは五感に感じないのが

かえって怖いですね。食べ物に入っていても

わからないのですから。





【原発の絵本シリーズ】

天国からの風船、届きましたか？