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2015年11月17日
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カテゴリ:お話、お話



この時 に いただいた 『日本の民話』 全12巻のうち
1 動物の世界、2 自然の精霊 の2冊を読みました。

2 自然の精霊 の 中から

『竹の精のかごや姫』

を 転載させていただきました。


黄ハート


むかし、ずっとむかし、あったとな。
爺さと婆さが、あったとさ。
風が吹いても、雨が降っても、爺さは山さ竹かりに、
コンカドコンカド竹をばかって、きれいなかごを作っておった。
ある日のこと。爺さが山へはいったれば、不思議な竹が一本、キンカラキンカラ光っておった。
「まんずまんず、何年も何年も竹かって暮らしてきたども、こったら光る竹、見たこともね。
 裂かねように、傷つけねように、すっかり気ィ張ってかるべし」
光る金の竹をばかると、爺さは急ぎ家さもどった。

「ばんば、ばんば。この竹。見ろちゃ」
「あれあれ、こんげに光る美しい竹なの、見たこともね」
ふたりして話しながら、竹のもとの方を割ったれば、なんと、親指ほどの女ゴわらしが出はったと。
「あれや、めんこい女ゴわらしじゃ。おらたに子がねさけ、神さんの授かり子かもしんね。
 んだらばはえく名をつけなんねべ」
「ほだども、おらたはかご作るかご屋だもの、かごや姫、とでもつけるがええべ」
「かごや姫、かごや姫、めんこい名だ」
貧乏な爺さと婆さは、自分の食うもんもかごや姫に食わせて、姫や、姫や、めんこい子やと、育てたと。
したらかごや姫は、まま食うたびにムクムクと大きくなった。
大事に育てられて一つが二つになり、物をいうようになって十になった。

今では人並みに背も高く、美しいこと限りなし、天女もかなわねほどの
りっぱな姫さまになったから、爺さも婆さも片時も目を離すことができなんだ。
「あれ、あれ。こんげ、美しい娘になって、はア、こんだば婿どんの口断わりにも苦労すべ」
「おらえでひとりの娘だもの、嫁けろって、どんな長者さま、お大臣さまでも、嫁にけるわけなんねし」
そうするうちにも、年が来たり暮れたりして、かごや姫は十五になった。
十五の春、姫はふッと物いわねくなり、家のすみでうつうつと涙コこぼしてばかりいるのだった。
爺さも婆さも死ぬほど心配して、やれ頭痛むか、胸痛むだかと、
仕事も手につかず抱いてばかりおったが、そのうち秋になった。

ある日、涙コふいて、かごや姫はいった。
「おふたりさま、どうぞ、聞いてけらんせ。
 長い間、こんげに、こんげに大きく育ててくれて、ほんとうにありがとさんでした。
 実は、おらは天の国のものですなや。
 この十月十五日に、天から迎えが来ますに、おらは爺ちゃと婆ちゃのそばにいつまでもいたいから、
 なんとか、おらどこばつかまえていてけろはや」
これを聞いた爺さも婆さも、たまげて、たまげて、は、ふたりして姫を抱いて泣いたとは。
「なや、爺な。なんぼしたて、おらえのめんこい子、天さなのやらんね。
 迎えに来たって、なんぼしたて、やらんね」
婆さが泣き泣きさかぶと、爺さもしっかとかごや姫を抱き寄せた。
「ほだとも、ほだとも。なんとしてもやらんね。しっかとつかめているべ」

そうするうちにも十月十五日の夜になったと。
爺さと婆さが、かごや姫をギッチと抱いて守っておると、カアカアと丸い月が上り、
光りものがサーッと屋根さ飛んで来て、雲のような、かすみのような、絹羽二重のような衣のようなものを掛けた。
爺さも婆さも目がくらんで、ただただ姫をば抱き締めておったが、
ふッと風が抜けたと思ううちに姫の姿は消えてしもうた。
「あれ、あれ、かごや姫」
「おらえのかごや姫、やーい」
天に向かって爺さと婆さがさかぶと、雲さ乗って天に帰るかごや姫が見えたと。
はあ、爺さも婆さも泣いた、泣いた、ふたりして、かごや姫の名を呼ばっては泣くばかり。

そのうち、暮らしていかねばなんねし、爺さは泣く泣く山さ竹かりに行ったと。
するとまた、キンカラキンカラ光る竹あったもの、爺さがそれをかって家さもどり、
婆さとふたりで割ってみたれば、なんと、竹の中から尽きぬ宝もんがザコザコとこぼれてきたと。
米だの、にしきだの、金の銭に餅など、あとからあとから出てきて、
それでふたりは末長く、楽々と暮らしたんだと。
     東北地方・昔話  再話/瀬川 拓男  発行/角川書店・昭和48年 初版

 月原文は縦書きです。このブログ用に多少、行変えなどをさせていただいております。




ピンクハート



私たちが知っている 『かぐや姫』 の 元のお話なのでしょうか、
あらすじも 言葉の運びも シンプルでいいな~と思います。

これの元になったお話、さらに その元のお話など
さまざまに 語り継がれてきたのでしょうね。






【お話、お話】

『世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ』 を 語りで



【四季の花 便り】


『四季の花』 便り NO2  2011年夏号





このブログのカテゴリーの中から、【四季の花 便り】 を
変更して 【お話、お話】 として これから 少しずつ
載せていってみたいと思っておりま~すぽっ



 







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最終更新日  2015年11月17日 16時40分08秒
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