音楽雑記帳＋　クラシック・ジャズ・吹奏楽

募金

　今日帰ったらユニセフから郵便が来ていました。募金の要請で年に数回来ます。　私は時々思い出したように募金をしますが、最近は結構苦しいので、したいと思ってもあまりできません。今回は、ボーナスが近いこともあり、募金をすることにしました。　郵便の中にアフリカやアジアの貧しい子供達の話が載っています。ユニセフ　プライベート・セクター・ディヴィジョン　ディレクターのフィリップ・オブライエンによるお話です。　ケニアの双子の赤ちゃんは小さなカプセル１個のビタミンＡを投与することで、見る見る回復しました。彼らはビタミンＡ欠乏症にかかっていたのです。ビタミンＡは緑黄野菜に多く含まれ、体の免疫力を高め、病気にかかりにくくする働きがあります。　中央アジアの内陸部では、痛々しいほど首が腫れ上がった子供達によく会うといいます。原因は内陸部のため海の魚を十分に捕れないためのヨード不足です。　また、ベトナムやボリビアの貧村では、僅かな米やトウモロコシだけで命をつないでいる子供達を目にするそうです。体は小さくひ弱で、タンパク質不足ということが一目で分かるそうです。　５０００円でビタミンＡ１年分を１０７７人に届けることが出来るといいます。こういう話を聞くと、賞味期限がどうだとか騒いでいることが何やら滑稽なことに見えてしまいます。　皆さんも気が向いたらユニセフに募金しませんか。ホームページでも募金が出来ます。

ムノツィル・ブラスがやって来る

今日、ミュージックＪＰのメールマガジンを読んでいたら、ムノツィル・ブラスの新作ＤＶＤが発売されることを知りました。早速予約しようと思ってその記事を見ると、今年も来日することを知りました。　それでスケジュールをチェックしていたら、大仙市中仙市民会館と言う文字が飛び込んできました。　大仙市、聞き慣れない名前です。もしかしたら最近出来た市で、それは秋田にあるのではないかと思い、大仙市中仙市民会館のホームページに行きました。　催し物をチェクしたらあるではないですか、ムノツィル・ブラスの演奏会が。　１２／９のマチネ公演です。１５時からですので、私としては大変有り難いです。　その前の公演が売れ切れと書いてありましたが、この日の公演はまだ売り切れと書いていません。　一縷の望みを抱いてファックスを打ちました。　明日その結果が分かるわけですが、何とかチケットが余っていることを祈るばかりです。　why_music の日記によると、『ムノツィル・ブラスは結成以来、15年間で10の新作プログラムを発表してきたけれど、それぞれのプログラムで使った曲を別のプログラムで使うことは一度もなかったんだ。ところが「これまでのプログラムの中のいいところを集めたステージをやってくれ！」と僕らのファンから熱烈なリクエストが多くて・・・これが「ラ・クレーム・ドゥ・クレーム」が生まれたいきさつ。』ということです。　曲目は、歌劇「ウィリアム・テル」序曲（G.ロッシーニ）プレリュード第22番（J.S.バッハ）狂気の笛（J.ハイドン）ボヘミアン・ラプソディ（F.マーキュリー）ウィーン気質（J.シュトラウス2世）エーデルワイス（R.ロジャース＆O.ハマースタイン2世）他　だそうです。とにかく、『今までのプログラムの良いとこ取り』ですからですから、これを見ない訳にはいきません。　結果は、後日演奏会のレビューが載るか載らないかで分かると思います。乞うご期待！

サッカー日本代表監督交代について思う

　昨日次期サッカー日本代表監督についてメディアが報じていました。どうやら、横浜Ｆマリノスの岡田元監督になりそうです。昨日読んだ「週刊ポスト」に何故岡田氏かが載った記事がありました。　題して『＜内幕スクープ＞「世紀の失言」から１年半』サブタイトルが『オシム ショック！川淵会長「涙の会見」の裏の顔』という長ったらしいタイトルです。記者会見での川淵キャプテンの涙は、演劇部出身だったのでお手の物だったと言われています。それに、日本代表の試合の入場者が減っているのは、オシムが自分で育てた選手ばかりを起用し、海外組をあまり招聘しないためだと思っている節があります。そのため、川淵キャプテンはＷ杯予選で一度でも負けたら更迭するつもりだったとか。　岡田武史氏の起用は最初から決まっていたの。何しろ、早大、市原と同じ道を歩み、後輩だから先輩には逆らえない？からだというのが筆者の見解です。現在のサッカー協会は川淵キャプテンの権力が強く、誰も逆らえない状況だとか。　個人的には岡田氏の戦術はよく知りませんが、巷間「運動量とプレス」と言われているようで、オシムの戦術とはちょっと違うと思います。　個人的にはオシムの戦術に近い人間が監督になって欲しいと思います。しかし、それが妥当かどうかは意見の分かれるところで、川淵キャプテンの意向はともかく、実績などを考えると、最善とは言えないかもしれませんが、次善の策としては仕方がないのかもしれません。　いずれにせよ誰が監督になっても負ければその人のせいになり、勝てばオシムの遺産だと言われます。今度の監督人事は貧乏くじなことはたしかで、これを上手く切り抜けることが出来れば、岡田氏の評価はさらに上がることは間違いありません。　ただ、オシムの方針でＪリーグで活躍すれば呼ばれるんだと思っている選手達にとっては状況が変わることは確かで、その希望が無くなるのか、そのまま継承されるのかとても興味深いところです。出来れば、現在の選抜方法を継承して欲しいところです。

ＴＤＫのＢＳアンテナが無い

　実家がリフォーム中で、ついでにＢＳアンテナを新しい物に変えようとしています。今使っているＴＤＫのアンテナは、ＢＳ放送開始から２年ほど経ったときに購入した物ですから、２０年はくだらないと思います。　ＴＤＫのアンテナはセンターフィード方式で、ゲインが高いのが特徴でしたので、今度もＴＤＫを使おうと思っていました。　ところが、昨年で廃品種になっています。一瞬信じられない気がしましたが、仕方ないので松下の４５センチの物を購入しました。　ＴＤＫのアンテナはその構造から他のアンテナよりも性能がよいのに売れていない。これは昔から変わっていないと思います。　何故、性能がいいのに売れないのか。　これはビデオデッキのＶＨＳとベータの戦いの構図と酷似しています。　センターフィード方式はＴＤＫの特許のため、他のメーカーは作れません。他のメーカーは仕方がなくオフセット方式を採らざるを得ませんでした。　所がＴＤＫは数が作れないのか、宣伝が悪いのか、売れませんでした。　結局、ＴＤＫはＢＳアンテナの生産を止めてしまったようです。　今の時代、性能が良ければ売れると思っている方はそれほどいなくなったとは思います。マーケティングがいかに大切かも次第に浸透してきつつあると思います。　結局ＴＤＫは他の企業の総合力で負けたといえるのではないでしょうか。　惜しむらくは、ライセンスで他のメーカーにも作らせていれば、このようなことにはならなかったと思います。　ＴＤＫが今後ＢＳアンテナを作らないのでしたら、特許を譲渡して、この優れた技術を継承してほしいものです。　それが、ユーザーのベネフィットになるのですから。。。

キース・ジャレット・トリオ：マイ・フーリッシュ・ハート　モントルー・ライブ

　キース・ジャレット・トリオの２００２年のモントルー・ジャズ祭でのライブが登場しました。個人的には彼らの最高傑作ではないかと思います。とにかく、その混じりけのない透明な演奏は彼らの到達した最高の地点ではないかと思います。どの曲を演奏してもそれは変わりません。特に今回は馴染みのあるスタンダードの演奏が感銘深かったと思います。　今回の特徴としては、従来のスタンダードに加え、ラグタイムが３曲取り上げられたことです。　ラグタイムといっても演奏は他のスタンダードのように透明でそのレベルは大変なものだと思います。かつてラグタイムがこのようなレベルで演奏されたことがないと言われるほどの高みに達していたと思います。また、ＳＪ紙のレビューでも指摘されていましたが、アドリブに他の曲の引用が見られるという点で、当日キースがいかに乗っていたかを示すものだという指摘が当たっているかどうかはよく分かりません。そう言えば、キースお得意のゴスペル調の曲が１曲も含まれていないのも珍しい現象です。　「What's New」における「バードランドの子守歌」、「ファイブ・ブラザース」でのヴィクター・ヤングの「Bewitched, Bothered And Bewildered」の引用とかなり珍しいシーンだったと思います。　　共演者ではゲイリー・ピーコックは相変わらずの実力を発揮しています。ところが、デジョネットはその実力に影が射してきたように思います。所々、凡庸な演奏に聞こえるときがあるのです。私の思い違いでなければ良いのですが。。。　　曲の中では、「What's New」、「The Song is You」などのバラード系で実力を遺憾なく発揮していたと思います。　　Keith Jarret/Gary Peakock/Jack Dejohnette My Doolish Heart(ECM 2021/22 1737326)1. Four2. My Foolish Heart3. Oleo4. What's New5. The Song Is You6. Ain't Misbehavin'Disc 21. Honeysuckle Rose2. You Took Advantage Of Me3. Straight, No Chaser4. Five Brothers5. Guess I'll Hang My Tears Out To Dry6. On Green Dolphin Street7. Only The LonelyRecorded live july 22,2001 at the Montreux Jazz Festival

ボーン・アルティメイタム

シリーズ第３作で完結編。原作はロバート・ラドラムの『最後の暗殺者』。前作「ボーン・スプレマシー」に引き続き監督はポール・グリーングラス。私は初めてみましたが、まれにみる面白さでした。どのレビューでも絶賛されている理由が分かりました。さすがに「フォーブズ」で出演料1ドル当たりの興行収入ランキング第１位に輝いただけのことはあります。1ドル当たり興行収入２９ドルですからすごいです。因みに、２位以下はブラット・ピット（２４＄）、ヴィンス・ヴォーン（２１＄）、ジョニー・デップ（２１＄）と続きます。■あらすじ　『ジェイソン・ボーン』は、究極の暗殺者を育成する政府の極秘計画「トレッドストーン計画」が生んだ最強のスパイだった。しかし、計画そのものが闇に葬られたとき、彼の存在は“邪魔者”となり、彼の元に次々と暗殺者が送り込まれた。激しい追跡と戦いの果て、男は平穏な日々を勝ち取ったはずだったが、新たに送り込まれた暗殺者によってその安息をも奪われてしまう。　ボーンはモスクワ、パリ、ロンドンと居所を転々と変えながら、自分は何者なのを探し求める。彼はパリで愛するマリーの死を兄マーティン・クルーツ（ダニエル・ブリュール）に伝えていた。　　エズラ・クレイマーＣＩＡ 長官（スコット・グレン）の直命で対テロ極秘調査局長ノア・ヴォーゼン（デヴィッド・ストラザーン）は，パメラ・ランディ部長（ジョーン・アレン）と共にボーンの行方を追う。　　その頃イギリスのガーディアン紙のサイモン・ロス記者（パディ・コンシダイン）がＣＩＡマドリッド支局長のニール・ダニエルズ（コリン・スティントン）からのタレコミで対テロ暗殺者育成計画「トレッドストーン」をバージョンアップした「ブラックブライアー」について知る。これは「自国民」の殺害を許可している驚くべき作戦だった。　　これを知ったＣＩＡはロス確保へ動き、ボーンもロンドンへ向かう。そしてパズ（エドガー・ラミレス）に暗殺指令が出る。　　これを辛うじて退けたボーンは、ニール・ダニエルズのいるマドリードのへ赴く。ここで、ＣＩＡマドリッド支局員ニッキー・パーソンズ（ジュリア・スタイルズ）と再会する。　ニール・ダニエルズを追ってモロッコのタンジールへ移動したボーンは、デッシュ（ジョーイ・アンサー）の襲撃を受ける。　　■緊迫感を増幅するカット割り　短いカットをつなぐことにより緊迫感を演出するところが非常に効果的でした。それに、デジャブ的に描かれる、改造される場面が最後になってその全貌を表すところも良くできていました。　マット・デイモンの来日記者会見によると、タンジールのメディーナという場所では、「狭い路地ばかりでハリウッド・スタイルじゃ撮れなかった」そうです。　また、ロンドンのウォータールー駅でも「エキストラとして雇ったのは50人くらいで、ほかは一般の人たち」で、「メディーナの市場の人たちも一般人だった」そうです。どおりで、リアル感が凄かったわけです。■携帯電話が有効に使われる　　携帯電話に画像で指令とそのための資料が送られ、それを見たスナイパー達が仕事をする。現在はまだそこまでは発達していないと思いますが、近い将来には必ず実現するであろう携帯電話の使い方が描かれています。　　また、エシュロンで電話やメールの傍受を行うシーンがたびたび出てきます。実際あの様に出来るのかよく分かりませんが、あそこまでやられると、個人が逃げ切るのは不可能とさえ思ってしまいます。　そして、監視カメラの有効利用？と社会のインフラの発達がなければ、このような事は不可能です。　　現実の世界では、おそらくそこまではいっていないと思うのですが、これが進むと諜報機関の仕事も変わってくるんでしょう。しかし、最も大事なヒュミント（人的情報）とその収集には、プロ達の腕が必要とされることは不変だと思います。　■細かい手口に感心する　この映画ではアクション場面が一番の魅力ですが、敵をまくための色々な手口に感心させられます。例えば、携帯電話を傍受されないために、プリペイド電話を購入して、通話相手のポケットに忍び込ませたり、監視カメラから逃れるため、頭を低くして脱出するなどとても面白いです。■息継く暇もないほど真に迫っているチェイスの場面　とにかく息継く暇もないほどの場面の連続で、画面に釘付け状態になります。それをジョン・パウエルの緊迫感に満ちた音楽が支えています。　主人公とスナイパーのチェイスの緊迫感と裏腹に、地元警察官達のあたふたぶりが滑稽に見えてきます。かれら警察が、あまり頭が良さそうに描かれていないのもそれを助長しています。■アクション場面が素晴らしい　前作からの、手持ちカメラによるぶれた映像と極めて細かいカット割りが人間の落ち着かない心理を描くのに効果的です。聴き手に与える不安も大きいです。これが多くのアクション映画に影響を与えたのも頷けます。　　調べてみるとポール・グリーングラス監督はドキュメンタリー育ちで、「ボーン・スプレマシー」のあとに、テレビ映画「ユナイテッド９３」も作っています。　■マット・デイモンの演技が素晴らしい　感情を殺したマット・デイモンの演技が素晴らしいです。それに、モロッコのタンジールでのデッシュ（ジョーイ・アンサー）との戦いの場面のスタントなしの切れの良い動きは称賛されるべきです。　それから、ＣＩＡの対テロ極秘調査局長ノア・ヴォーゼン（デヴィッド・ストラザーン）がボーンを追っているうちに次第に冷静さを失い、自ら墓穴を掘るところはなかなか見せます。　　現実的に、この様な場面であたふたする人間が、ＣＩＡの要職についているとはとても思えませんが、キャストの中ではとても重要な役であることは確かです。　　最後の場面で追いつめられたハーシュ博士（アルバート・フィニー）とボーンの再会の場面での博士の落ち着き払った態度の方が現実ではあり得る話だと思います。■あり得ない場面　ボーンの不死身さは度を越していて滑稽ささえかんじてしまいます。勿論主人公が死んでしまっては何の意味もないわけです。　　車が立体駐車場から落ちてひっくり返ったり、１０数階から川に飛び込んでも死なないなど、現実にはあり得ない話です。１０数階から飛び込むと、相対的に川はコンクリートのように固い物になり、絶対生きてはいな筈です。　もっとも、それらがなければ、話は終わってしまうのですが、ちょっとやりすぎの感じはします。　　最後の場面でボーンに関するニュースを見ているニッキーが「にやっ」と笑う場面はとても印象的です。　　ということで、私にとっては画期的なアクション映画となりました。早速、前の２作も見たいと思いますが、今から期待でワクワクします。。。　　公式サイト

盛岡吹奏楽団第３９回定期演奏会

今日は昨日書いていてアップしようとしていたのに、ワインの飲み過ぎで寝てしまいアップできなかった話題を。　昨日は勤労感謝の日で休みだったので、懸案？のタイヤ交換を行った後、床屋に行ってそれから、「ストンプ・ザ・ヤード」を見に行くつもりでした。ところが、床屋に行った後プールで泳いでいたときに、今日は勤労感謝の日だなと思っていたら、盛岡吹奏楽団の演奏会がいつも勤労感謝の日だったことを思い出しました。　急遽予定を変更して、演奏会に行くことに。ストンプ・ザ・ヤードは今日が最終日だったのですが、３時半頃からの上映で、演奏会とかぶるため、断念しました。　会場に行ったら、ロビーに人垣が出来ています。並んでいるのかと一瞬思ったのもつかのま、この時間ではあり得ないと思ったら、盛盛岡吹奏楽団のトレーナーのオーボエ奏者とハーピストが「千と千尋の神隠し」の主題歌を演奏しています。でも、あまり興味が無く、そのままホールへ。　第１部は邦人作品集でした。團伊玖磨、伊福部昭、黛敏郎、芥川也寸志と古い作品ばかりです。プログラムを見ると、伊福部は他の３人を指導したことになっています。え～と思って、これを書いているときに調べてみました。よくよく考えると團は１９２４年生まれ、伊福部昭は１９１４年年生まれで、團が伊福部に師事した可能性はないとは言えません。　しかし、どうにも違和感があり、調べてみましたがよく分かりませんでした。他の２人は師事していていることと、３人の会のメンバーはに團、芥川、黛なのでその関係で團が伊福部に師事した事も考えられないことはないです。　なお、盛岡吹奏楽団のホームページに解説が書いてありますが、ＣＤのライナーノートからとかバンド・パワーからとか出典を書いているのは良いのですが、詳しく明示していないのは著作権上まずいと思います。それに、著者に承諾を得たかどうか疑わしく、著者から警告されなければいいのですが。。。　この団体に限らず、吹奏楽の団体には著作権の意識が薄いように思えます。最近は分かりませんが、楽譜のコピーもあまり気にしないという精神的な風土があります。具体的に警告を受けないうちに修正して欲しいです。　そう言っている自分も、引用が本文の量よりも多いときがあり、まずいなと思っています。。閑話休題　最初は團伊玖磨の「祝典行進曲」。かなり古い曲ですが、懐かしく聞きました。この曲は本来行進曲なのですが、行進曲のテンポで演奏されたのを聞いたことがないような気がします。いずれの演奏も行進曲の軽快さよりも重々しさが目立ち、曲本来の姿が失われていると思います。今回の演奏でも比較的遅いテンポで行進曲の軽快さはありません。この曲は今上天皇の結婚式のお祝いのための曲ですが、いつからこのように変質してしまったのでしょうか。　２曲目は、伊福部昭の「ゴジラファンタジーとマーチ」はファンタジーとマーチ別々になっている曲を続けて演奏したものです。編曲は伊福部の弟子である和田薫です。　伊福部の曲は一聴、どれも同じようなムードを感じます、それが特徴といえばいえると思います。偉大なるマンネリとでも申しましょうか。　ゴジラの音楽を聞くと思い浮かべるのは新しい方のゴジラではなく、一番最初のモノクロ映画の愛嬌のない粗暴なゴジラです。途中で眠くなって最後の方は寝てしまいました。午前中のスイミングが効いたようです。。。　３曲目は黛敏郎の「天地創造」からの音楽。「ノアの箱船」と「メインテーマ」。「ノアのは小舟」はあまり聞いたことがないと思いますが、オリエンタル・ムードが横溢していてとても楽しめました。冒頭のソプラニーノはアマチュアの演奏会では非常に珍しいと思います。　プログラムには民族音楽の雰囲気を出すために使ったと書かれてありますが、なかなかこだわりが感じられます。途中のフルートとリコーダーのアンサンブルでは、リコーダーのピッチが合っていなくて、せっかくの工夫が生きていなかったことは残念です。　次の「メインテーマ」は私も高校の時に演奏して思い出深い曲です。冒頭のホルン・ソロは音程に問題のあるポジションがあったのが残念です。少し気を付ければ対処できる問題なので、もう少し気を遣って欲しかったです。それから、全体的にダイナミックスの幅が狭く、映画の雄大さが感じられません。演奏としては少し物足りなかったと思います。　第１部最後の曲は芥川也寸志の「交響管弦楽のための音楽」。編曲は指揮の建部知弘。プロコフィエフの影響がバリバリ感じられる曲で、個人的にはあまり好きな曲ではありません。　最初の「アンダーティーノ」は前半オーボエが活躍する室内楽的なオーケストレーションです。主役のオーボエはオーボエらしい音で、アマチュアとしてはかなり水準が高い奏者だと思います。ただ、すこし太めで、それに細身のパンツとブラウスを着たため、あまり見たくない風景を見ることになってしまいました。　この団体は結構太めの方がいて、その体型が気になってしまいます。ステージに立つからには、シェイプアップするか、シルエットが目立たない服装にするか考えて欲しいものです。お客さんに不快感を与えるようでは問題があります。　続く、金管の諧謔的なテーマから始まる２楽章「アレグロ」はなかなか良かったと思いますが、欲を言えば、メリハリが利いていなくて、もダイナミックスが不足している様に思いました。　第２部は恒例の岩井直博によるポップス・ステージ。最初は「モア」。特にどうということのない演奏。最近この曲を耳にすることは少なくなったと思います。昔ながらの映画音楽のスタンダードですが、最近の映画音楽は昔とは傾向が違ってきて、主題歌だけを売りにするというよりも、トータルでどう観衆にアピールするかにシフトしつつあるように思います。また、脱線してしまいました。　第２曲からお待ちかねの中川英二郎の登場。この方に関しては、天才トロンボニストとして、昔からよく知っていますし、「pipers」の連載での達者な筆使いよるエッセイもとても面白い物でした。ただし、ジャズのＣＤを聞いたことはなく、先年、御自身が興したバンド「侍ＢＲＡＳＳ」のＣＤを聞いたくらいでした。　今回、初めて実演を生で聞いたわけですが、さすがに噂に違わぬ素晴らしいミュージシャンだと思いました。少し細身の音ですが暖かみのあるメローな音色とスインギーなアドリブはさすがだと思います。芸大出身ですが、大学時代はあまり勉学には熱心ではなかったようで、テクニック的には怪しいところも見受けました。しかし、ジャズではそれは全く問題にはならないことですので、吹奏楽などだけでの問題です。　朗々と歌うと言う感じではなく、テーマを演奏するときよりは、アドリブで生彩ある演奏をする傾向があり、根っからのインプロバイザーだと思いました。　先ほどテクニックはないと言いましたが、通常の演奏で技術的に問題があるわけではありません。ただ、音が出ないことがあったりする（所謂音を外したのではなく、音自体が出なかった現象です。）クラシックの側からするとちょっとまずいシーンですが、ジャズ的には全く問題ありません。　リムスキー＝コルサコフの歌劇「サドコ」からの「インドの歌」。これは、トミー・ドーシー楽団の演奏で有名ですが、テーマはそれほど濃厚ではなく、アドリブが耳をそばだてる演奏でした。　ガーシュインの「優しき伴侶を」はトロンボーン・セクションをフィーチャーしての演奏で、素晴らしいソロが満喫できました。バックのトロンボーン・セクションも頑張っていたと思います。　中川英二郎最後の曲は、「スター・ダスト」。あまりにも有名な、スタンダードのためやりにくい所があると思います。テーマはケレン味のない演奏で、素直にテーマを演奏していました。アドリブは素晴らしかったです。　中川英二郎のため息の出るようなアドリブに対し聴衆があまり沸かなかったのが残念です。ジャズのコンサートだったらかけ声を交えて大いに沸くところですが、仕方がありません。　最後は岩井直博作の「アメリカン・グラフィティXVll」。曲は「子供じゃないの」、「家へおいでよ」、「ミスター・ロンリー」、「恋はリズムにのせて」の４曲。この中の「恋はリズムに乗せて（MUSIC TO WATCH GIRLS BY）」はコカ・コーラのＣＭ第一号に使われた曲だそうです。また、「子供じゃないの」は岩井氏が東芝ＥＭＩでアレンジした曲の中で初めてヒットした曲（歌弘田美枝子）で、これ以降アレンジの依頼が殺到し、睡眠が減ったと仰っていました。「恋はリズムにのせて」はアンディ・ウイリアムズの歌でヒットしたとも仰っていました。そういえば、アンディ・ウイリアムズが亡くなってから久しいと思いますが、最近も聞かれているんでしょうか。　アンコールは２曲。いずれも中川氏のトロンボーンをフィーチャーした曲です。　１曲目はリムスキー＝コルサコフの「熊ん蜂の飛行」。トロンボーンでこの曲をやるなんて凄いですが、音が抜けていたり、テンポが途中ですこし怪しげになったりとそれなりだったと思います。　氏もポジションを「ここらへんにして」というような話でそんなに厳密に突き詰めた演奏では無かったと思います。すりるは感じられませんでしたが、エンターテインメントとしてはなかなかの演奏だったと思います。途中循環呼吸を使うシーンもあり大変興味深い演奏だったと思います。　２曲目は、スタン・ケントンのバップ・ナンバー「インターミッション・リフ」。快適なテンポから繰り広げられるアドリブがとても素晴らしかったです。彼は技巧的なパッセージで聴衆を沸かせるというよりは、スインギーでバビッシュなフレーズに本領を発揮するタイプとみました。テクニックは練習すれば何とかなる（場合もあります）がアドリブのフレーズは天性の音楽的センスが大きくものをいいます。その点で、彼のアドリブはクリッシェに堕さず、今生まれたばかりのようなみずみずしさを持っていて、非凡なものを持っていることが認識できたと思います。　中川英二郎の仕事は「侍ＢＲＡＳＳ」しかしりませんでしたが、今後彼のホームグラウンドでの仕事を聞きたいと思います。取り合えす、先頃出た「スーパー・トロンボー」とリーダーアルバムの第４作「Ｅ」（１２月５日発売）に注目したいと思います。盛岡吹奏楽団第３９回定期演奏会第１部１．祝典行進曲（團伊玖磨）２．「ゴジラ」・ファンタジー＆マーチ（伊福部昭／和田薫編）３．映画「天地創造」より（黛敏郎／Whitcomb）　　ノアの箱船　　メインテーマ４．交響管弦楽のための音楽（芥川 也寸志／建部 知弘）第２部　「幻想のクルージング」１．Ｍｏｒｅ２．インドの歌３．Someone Watch Over Me４．Star Dust５．岩井直博編：「アメリカン・グラフィティXVll」　盛岡吹奏楽団指揮：建部 知弘、岩井直博トロンボーン：中川英二郎２００７年１１月２３日　盛岡市民文化ホール（マリオス）１階で視聴

ヘアスプレー：サウンドトラック

　映画の音楽が良かったので買いました。ウィキ・ブロンスキーの歌のうまさは予想通りでしたが、意外な方の歌のうまさに感心していました。それは、ザック・エフロンです。甘く、柔らかな発音でとても上手いです。この方はアメリカでは大変な人気らしいですが、その気になれば歌の方でもブレイク可能だと思います。　また、もう一組の恋人の方のイライジャ・ケリーの「Without Love」でのパンチの効いたリズム感の良い歌唱も立派です。エフロンとイライジャ・ケリーの単独ナンバーもあり楽しめます。　ミッシェル・ファイファー（本当はドイツ系なのでプファイファーの表記の方が正しい気がしますが）の妖しげな魅力を満喫出来る「Mis Boltimore Crabs」、クイーン・ラティファーの圧倒的な歌唱力で楽しませるゴスペル「I Know Where I've Been」など、楽しめるナンバーが満載です。　ウィキ・ブロンスキーの歌は上手いのですが、時にあざとい感じがして、一端それに気づくと、鼻についてきます。特に「Mama I'm a Big Girl Now」は少しわざとらしい歌唱です。　ジェームズ・マースデンの歌う「It Takes Two」と「ヘアスプレー」の堂々たる歌唱が大変素晴らしいです。映画ではショーのホスト、コニー・コリンズを演じていますが、それほど目立たなかった印象が強かったです。しかし、ここで聞かれる歯切れの良いＭＣと抜群の歌唱力は実に素晴らしい聞き物です。　クリストファー・ウォーケンとジョン・トラボルタのデュエット「(You're) Timeless To Me」は歌唱的には一番おちるかもしれませんが、そのコミカルな歌は昔ながらのミュージカルの良さを感じさせるナンバーだと思います。ジョン・トラボルタは聞きようによっては女性が歌っているように聞こえなくもありません。　最初は、６０年代風のロックンロールなのであまり楽しめないかもしれないという危惧がありました。しかし、曲の出来にばらつきが少なく、演奏も優れているためとても楽しめるサントラだと思います。それに、聞けば聞くほど味が出てくるので、映画を見て楽しめた方には絶対のお薦めです！　Hairsray Sountrack to the motion picture(NEW LINE RECORDS NLR39089)　1.Good Morning Baltimore Nikki Blonsky2.The Nicest Kids In Town James Marsden3.It Takes Two Zac Efron4.(The Legend Of) Miss Baltimore Crabs Michelle PfeifferListen 5.I Can Hear The Bells Nikki Blonsky6.Ladies' ChoiceZac 　Efron 7.The New Girl In Town Brittany Snow8.Welcome To The 60's Nikki Blonsky And John Travolta9.Run And Tell That　Elijah Kelly10.Big, Blonde and Beautiful　Queen Latifah11.Big, Blonde and Beautiful (Reprise) John Travolta And Michelle Pfeiffer12.(You're) Timeless To Me　John Travolta And Christopher Walken13.I Know Where I've Been　Queen Latifah14.Without Love Zac Efron, Nikki Blonsky, Elijah Kelly And Amanda Bynes 15.(It's) Hairspray　James Marsden16.You Can't Stop The Beat　Nikki Blonsky, Zac Efron, Amanda Bynes, Elijah Kelly, John Travolta And Queen Latifah17.Come So Far (Got So Far To Go)　Queen Latifah, Nikki Blonsky, Zac Efron And Elijah Kelly18.Cooties　Aimee Allen19.Mama, I'm A Big Girl Now　Marissa Jaret Winokur And Nikki Blonsky Ricki Lake

Korngold Film Music vo.2 Sea Hawk

　先日お送りしたコルンゴルトの「Sea Hawk」完全版に続いてシャンドスからガンバ・ＢＢＣフィルの演奏で「Sea Hawk」のガンバによる編曲版がが出ました。これはクラシックの作曲家による映画音楽を録音しているシャンドスのシリーズで私の好むシリーズでもあります。　演奏時間は７６分と完全全曲版とそれほど変わりありません。このＣＤの特徴は曲が切れ目なく進むことが多く、音楽の流れが損なわれなく楽しめます。また、ガンバの編曲がゴージャスでコルンゴルトの音楽の良さが映画でのオーケストレーションより効果的に伝わってきます。現代ではこれでこそコルンゴルトの音楽がいきると思います。それに、オケの重厚な音色と歯切れの良さはモスクワ・フィルの敵ではありません。、また、ガンバの劇的な表現が前者よりも優れ、まさに映画を彷彿とさせるような音楽に仕上がっています。　モスクワ・フィルと比べて金管の優位性は疑いもないところです。女性ボーカルは入っていませんが男声合唱は入っています。　コルンゴルトはやはりゴージャスな音で聞きたいところですが、この音はリッチな音でその要求を十分に満たしています。　ガンバの編曲は映画音楽として聞かれることを優先したものです。６つの部分に分かれていますが、中に含まれるナンバーは連続して演奏され、完全版の短い時間で終わる音楽を聞いたときの脱力感を避けています。　これだと、完全版の時に感じた古くささは全く感じられず、現代の映画音楽と遜色のないレベルだと思います。それどころか、第９曲の「晩餐会」のように古い英国王朝風の風格さえ感じられる格調高い音楽（疑似ガボット）のすばらしさにも気がつきました。　ガンバの指揮は何箇所かテンポの設定が私の期待するものと違うことはありましたが、劇的な表現で彫りが深く、まるで映画を見ているような気分にさせられる場面が何度もありました。　第７曲の「決闘」の速いテンポの息詰まる展開は映像を彷彿とさせる音楽です。ただ、コルンゴルトの別の音楽で聞いたことのあるような気がします。。。　最後も雄大な表現で締めくくっています。聞いていて、「スターウォーズ」エピソード４の最後の表彰式の場面を思い出しました。　コルンゴルトの「Sea Hawk」の歴史上画期的なのはNAXOS版ですが、演奏としてはガンバ版の価値は計り知れません。この音楽のすばらしさをこれほど感じさせる演奏も初めてで、聞くほどにこの音楽のすばらしさを感じています。　またコルンゴルトの映画音楽の録音の中でも群を抜く出来だと思います。今後、コルンゴルトの映画音楽を語る上で欠かすことの出来ない名盤ではないでしょうか。没後５０周年を代表する大変素晴らしいコルンゴルトの映画音楽の録音が誕生したことを喜びたいと思います。The Film Music of Erich Wolfgang Korngold Vol.2The Sea Hawk suite from the film score Edited by Rumon Gamba(CHAN 10438)1-8 Part l:Main title-Spain-Slaves-Big Drum-The Albatross-Battle-Duel-Slave's Release9-13 Part ll:Night Banquet-Love Scene in the Boat-Throne-Exit-Elizabeth and Thorpe14-Part lli:Rose Garden15-20:Part lV:Jungle Orchid/Thorpe's Men Hiding-Gold Caravan-Attack-Fight-in the jungle-Ocean/The Hanging Man21-27:Part V:The Galley=Spanish Boat-Rebelion/Along th eCoast of Cadiz-The Slaves LiberateThemselves/The Murder-The Fight with the Gurd-Knife Fight-Happy Sailing28-30 Part Vl:Thorpe Enters into Castle-Duel/Thorpe Fights/Elizabeth intervenes-Finale/End TitleManchester Chamber ChoirBBC PhilnarmonicYuri Torchinsky leaderRumon Gamba

フットサル　ステレミーゴいわてはなまきＶＳバサジィ大分

　昨日もステラミーゴ岩手花巻の試合を見に行きました。映画を見てからダッシュで場所取りをしました。その後飯を食べて、プールでひと泳ぎ。　その後、会場に再び戻りました。入ってみると、席を確保していた場所から少し移動させられていました。どうも、前座のスポ小の少年団ご招待席になってしまったようです。　父兄のおばさん方のけたたましさに閉口しながら試合開始。今回は下位チームであるバサジィ大分との戦い　ホームでも１勝２敗と苦戦しているので、今回はなんとか勝ってくれと思いつつ試合を見ていました。　この試合も期待のミッシェルは出ていません。練習もしていないのでまだ悪いのでしょう。早く出てきてほしいものです。それに、ゴールキーパーも２番手の選手のため、一抹の不安を覚えました。　試合は、大分の先取点から始まり、花巻が追いつくという展開で前半は２－２で終わりました。　後半開始間もなく花巻が勝ち越しましたが、２４分と３７分に２点を入れられ、大分が退場者がでたチャンスにも得点できず万事休す。　ちょっと点を取られすぎです。それも完全に崩されての得点が多く、今後に問題を残したと思います。パワープレーでも、パスばかりしていて得点が入る感じが全くなかったです。　大分は下位にいるとは思えない攻撃で型はある程度できていると思います。それに比べ花巻は組織的なプレーがまだまだです。個人技でなんとかしているといった状況で、あまり期待が持てません。　今年は、来月あと１回ホームでの試合があるのですが、行くかどうか微妙になってきました。このところテレビでも放送しているので、今度はテレビになるかもしれません。　ところで、前の試合からお目見えしたトランペット。へたくそだと書いてしまいましたが、実は知り合いであることがわかりました。昔、在籍していたバンドにいた有名なマラソン選手と同姓同名の女性です。　今日も来ていましたが、よく見たらトロンボーンが増員されていました。このため少しましになったようで、なかなか活気ある演奏だったと思います。サポーターの応援もますますパワーアップしてきたようです。　そのトロンボーン奏者がどうも知り合いに似ているので、休みの間に見に行きました。そしたら案の定、知り合いというか会社の後輩でした。聞くとやはり応援を頼まれたとか。実は彼らは地元のジャズバンドのメンバーです。　それにしても、試合が始まる前の「星に願いを」はどうにもいただけません。心を奮い立たせるのではなく、萎えさせる様な効果を感じてしまいますので止めてほしいものです。

村治佳織　ギターリサイタル

　昨日の３時という早い時間に始まった村治佳織のギターリサイタル。大変な入りで１階は満員２階もかなりの入りでしたから、２０００人くらいは入ったかもしれません。やはり美人は得だと思います。　個人的には、顔の造作が良いというのも才能の一種と思っているので、点は２物を与えたということで。。。　所で、ギターは普段からほとんど聞きません。ＣＤでも聞く事はめったにないです。ジャズだと聞く機会はある程度ありますが、クラシクの場合は本当にありません。ギタリストが何人くらい居るかもあまりよく分かりません。ＣＤを持っているのはジョン・ウイリアムズとイエペスくらいです。　その中で、村治佳織は名前だけは昔から知っています。しかし、若くしてコンクールで優勝し、メジャー・レーベルと契約し、ロドリーゴとも親しかったということくらいしか知りませんでした。　実際に耳にして、かなり懐の深い演奏家という印象を受けました。技術は素晴らしいもので、演奏ノイズがあまり聞こえないのはギターでは珍しいことではないでしょうか。　今回の演奏会の最大の聞き物はアンコールの「タンゴ・アン・スカイ」だったと思います。冒頭の濃厚なタンゴのムード、途中の技巧のすばらしさ、そして実際のタンゴの踊りを見ているようなうな切れの良さ、まさに脱帽です。上がターコイズ・ブルーで下が紺というカラフルな衣装で登場した第１部はバッハを中心にした真面目な？プログラムでした。最初はバッハのリュートのための組曲第１番。この曲は厳密な意味ではリュートのための曲ではなく、バッハが作らせたラウテンヴェルクというリュートに似た音を出すガット弦を張ったチェンバロのために作られました。６曲の小曲からなります。　村治の演奏は形式をあまり感じさせず、自由で自然な雰囲気が持ち味だと思います。音楽史的に厳密な演奏というわけではなく、ギター音楽として取り組んでいます。とても温かい演奏でしたが、不覚にも途中寝てしまいました。。。　２曲目は同じくバッハのヴァイオリンのためのパルティータ第２番から有名な「シャコンヌ」。セゴビアが演奏し始めたもので、それ以来広く演奏されているとか。　村治の演奏は、原曲のような巨大な伽藍を形作っている物ではありませんが、スケールの小ささは感じさせません。ギターで編曲物をやると、ともするとミニチュア化してしまいますが、村治の演奏からはスケ－ル・ダウンしたために縮こまっている感じを受けません。　テクニックは抜群で、編曲であることからくる不自由さは皆無です。ただ、原曲の持つ劇的な昂揚はあまり感じられず、あっさりと終わったところが、いかにも現在の村治の芸風を感じさせ興味深いです。　続いては、肩の凝らない小品を２曲。ここから、自らＭＣをしながら進める趣向になっていました。　まず、武満徹の「ギターのための１２の歌」から「ロンドンデリーの歌」彼女は以前全曲を録音しています。この曲集は技巧的な難しさがあり、かなりテクニックがある方でも、どうも音楽的に不自由を強いられているという印象を受けることが多いです。　村治の演奏ではほとんどそれを感じることがありません。驚くべきテクニックだと思います。そのため、音楽の流れが分断することなくとても自然です。　第１部最後の曲はロサンジェルス・ギター・クアルテットのメンバーであるアンドリュー・ヨーク作曲の「サンバースト」はその名の通り強烈な太陽の光を表した曲です。村治の演奏は暖かみのある音で爽やかさを感じさせるものです。時折聞かれる難しいフレーズが逆に小気味よさを感じさせ、良いアクセントになっていたと思います。　第２部は黒と赤という鮮やかな衣装に替えて第一部より肩の凝らないプログラムでした。ギターも明るい音のする物に替えてきました。彼女の話によると、今年のアンヘル・ロメロとのデュオの演奏会のリハーサルをハワイのロメロの別荘で行った時に譲られた物だそうで、ブラジル人が作ったものだそうです。因みに第１部のギターは２００１年制作の物だったそうです。　最初はデ・ラ・マーサの「暁の鐘」。遠くから聞こえる静かな鐘の音から、１日が始まる朝の情景を描いた曲です。初めて聞きましたがトレモロがとても効果的で、結構斬新な曲だと思いました。また聴いてみたい曲です。　続いては、モレトーノ＝トロバの５つの小品からなる「ラ・マンチャの歌」。スペイン情緒豊かな曲です。華やかなダンス音楽よりは繊細な雰囲気を持っている「もう冬がやって来る」と「牧人」が曲の内面をえぐる充実した演奏で良かったと思います。　お馴染みの「アルハンブラの思い出」はメロディーの１１小節目の１６分音符がハッキリと聞き取れないのが気になりました。トレモロは安定したもので技術の確かさを感じました。残念だったのは最後の音が鳴る前に拍手が入っていまって雰囲気がぶち壊しだったことです。彼女の話していましたがよくあることのようです。　ロドリゴの「ヘネラリーフェのほとり」はアルハンブラ宮殿から谷を挟んで向かい合っている夏の離宮「ヘネラリーフェ」を描いたものです・スペイン情緒豊かな曲ですが、村治の演奏ではあまりスペイン情緒は濃くありません。スペイン音楽特有の「こぶし」が強調されないためかもしれません。　最後はファリャのバレエ音楽「三角帽子」から「粉屋の踊り」。あっさり終わってしまい、「こんなに短かったっけ？」と思ってしまいました。　アンコールはマチネ公演（彼女の言葉）ということで３曲の大サービス。　ローラン・ディアンス作曲の「タンゴ・アン・スカイ」は冒頭でも書いたように、この演奏会最高の聞き物でした。イントロのゾクゾクするような色気にはビックリ。それから時折聞かせる早いパッセージ鮮やかさといいまさにアンコールにふさわしい曲であり演奏であったと思います。若かりし日の演奏はこちらで見ることが出来ます。　Ｊ・Ｓ・バッハの「シンフォニア」はバッハの愛すべき小品。最後に武満徹編曲による「オーバー・ザ・レインボー」のしっとりとした演奏で締めくくられました。　初めての対面でしたが、演奏家としての個性はまだ確立されていない様に思います。現在のようなあまり個性を感じさせない、中性的な演奏も悪くないです。しかし、彼女でなければならない個性的な演奏を期待したいですね。しかし、優れたテクニックと何物にも代え難い宝物である暖かみのある音楽性は持ち続けて欲しいと思います。、「タンゴ・アン・スカイ」と「サンバースト」の作曲者自身の演奏はこちら。解説も参考になります。　なお、来月ＮＨＫの番組に２本出演されるそうです。１２月１７日は「英語でしゃべらナイト」にアメリカ留学中の弟とともに出演されるそうです。続いて２０日には「きよしとこの夜」クリスマス・スペシャルと題してお送りするそうです。村治佳織ギター・リサイタル１．バッハ：リュート組曲第１番ホ短調BWV.996２．バッハ：無伴奏パルティータ第２番ニ短調BWV.1004から「シャコンヌ」３．武満徹編曲「ギターのための１２の歌」から「ロンドンデリーの歌」４．ヨーク：サンバースト休憩５．デ・ラ・マーサ：暁の鐘６．モレーノ＝トロバ：ラ・マンチャの歌７．タレガ：アルハンブラの思い出８．ロドリーゴ：ヘネラリーフェのほとり９．ファリャ：粉屋の踊りアンコール１．ローラン・ディアンス：タンゴ・アン・スカイ２．バッハ：シチリアーノ３．武満編：オーバー・ザ・レイボー村治佳織（ギター）盛岡市市民文化ホール（マリオス）　１階１５列３１番にて視聴

やっと修復しました

　先日から困っていたiTune問題。結局アドバイスを受けたiPodのApple Discussionで見つけた方法で修復しました。これはiTune7.5をインストールしている最中に、『iTunes cannot run because some of its required files are missing. Please reinstall iTunes.』という表示が出て、インストールが失敗する現象です。　最初、すべてを削除して、MicrosoftのWindows Install Clean Upを実行して、再度インストールを行いましたが、エラーが出続けます。　色々調べていたら、「Windows Install Clean Up」をインストールしただけで、実行していないというあほなことに気づき、実行してみました。しかし、結果は思わしくありません。　レジストリーをいじってAppleに関係したレジストリーの消去を行いました。しかし、これも同じ結果でした。　いよいよ困っていたら、ＤＶＤとＣＤのドライブが消失してることに気がつきました。ドライバーのＣＤがどこにあるか分からなくて、ドライバーを拾いに入ったのですが、場所を発見できず。。。　システムの修復を試みるも、状態が修復前と変化せず全く効果がありません。そのまま放置して、昨日帰ってからＰＣを起動すると何とＤＶＤとＣＤのドライブが復活しているではないですか。　実はシステムを修復したときに何回目かに、暫くご無沙汰していたタスクバーのクイックランチのメニューが復活していることに気がつきました。この時点で、何かが変わったのだろうと思います。　理由はさておき、前日に調べておいた古いバージョンに戻す方法を実行。やっと上手くいきました。昨日はＣＤが聞けることを確認してお終いにしました。　今日iPodを接続してみましたが、iTuneが起動しません。それで起動用のＣＤを探したのですがありません。子供２人にも聞いたのですがないと言います。仕方がないので、サイトを探したのですがiPod単独でのダウンロードは出来ません。　仕方がないので、iTuneの最新版を入れて、iPodだけ残そうと思いました。ところが、iTuneを起動していて、iPodを繋げると動くではないですか。ラッキーと思いつつ動作を確認。正常に同期動作を行っています。約１週間ぶりに修復しました。　まったく、困ったものです。今後はやり方が分かったので、しばらくはアップデートを控えようと思います。　因みに古いバージョンはiTune7.4とQuicktime7.2です。もし同じような現象になりましたら試してみることをお薦めします。

レコーディング・ダイエット

銭湯に行こう！！

　私の住んでいるアパートが９月から工事をしています。部屋一つと風呂場、洗面所、便所を変えるのです。なかなか大がかりな工事ですが、これを何と人が住んでいる状態でやろうというのですから、かなり乱暴な話です。そのためか引っ越してしまった方も少なからずいらっしゃいます。住民のことを考慮しない全くひどい話だと思います。この工事がいよいよ我が家でも始まりました。　真っ先に頭に浮かぶのは、部屋にある家具などをどこに置くかという問題です。私の家では、空いている部屋をなんとか借りることが出来たので、そこに家具などを押し込みました。それでも居間にタンスが侵入してきたのでかなり狭苦しくなりました。　次に問題なのはトイレです。日中は外に設置した簡易トイレを使うことが出来ますが、トイレが近い妻はそれが嫌で部屋で使う簡易トイレを実家から借りてきたそうです。夜は使えるので私は問題ないのですが、これでは出る物も出なくなる？！のではないでしょうか。　そして風呂が使えないこと、これは私にとっては最大の問題です。何しろ筋トレ後は汗を流さないと駄目なので、今日は体育館に行く予定でしたが止めてしまいました。体育館にはシャワーがありますが、シャワーでは満足できません。　取りあえず今日は風呂はあきらめました。家の人達は私の実家にお風呂をもらいに行きました。私の住んでいるところは温泉がいっぱいあるので温泉に言っても良いのですが、普通の銭湯に行こうかなと思っています。　銭湯というと最後に入ったのは仕事で長期滞在していたときに入った銭湯です。もう２０年ほど前のことになりますが今もあるんでしょうか。　私の住んでいるところでは銭湯が２軒あり、一つは入ったことがありますが、他の所に入ったことがありません。家からはちょっと遠くて車で行かないと駄目なので、車を止められそうな方へ行ってみようと思います。　いまから期待？でワクワクしていますが、何故なんでしょうかね。温泉に行くときはそんなワクワク感はないのに銭湯に限ってるというのもよく分かりません。あの銭湯の絵（ペンキ絵）に魅かれるのでしょうか。　９月からというと、実家のリフォームはここより少し早くから工事を初めて、いよいよ大詰めを迎えていますが、なるほどこの圧迫感は体験しないと分かりません。これを何ヶ月も体験するとストレスも相当なものだと思います。改めて、年寄りには酷な環境であることを感じます。

ブラブラバンバンが実写映画化

　最近漫画の映画化がよく見受けられるようになりました。先週だったか漫画を読んでいたら、「ブラブラバンバン」が実写映画化されるというお知らせが載っていました。　柏木ハルコ原作の漫画で、９９年から００年にかけて「週刊ヤングサンデー」（小学館）で連載されたらしいですが、私は多分見ていません。　彼女の絵は特徴があり私の好きな絵の一つです。最近ビッグコミックで連載されている「地平線でダンス」はその素っ頓狂な話の展開で愛読しているものであります。　この漫画は、一度は廃部になった高校の吹奏楽部を復活させて全国大会を目指すという物語です。　吹奏楽部の話なのでとても興味がありますが、どんな曲をやるかも気になります。　主人公芹生百合子を演ずるのは歌手の安良城紅ですが、演技が大丈夫か気になります。この主人公は「エッチ的特異体質」だそうですので、その方面の楽しみもあるかもしれません。　個人的には、演奏の場面と、コンクールでの息詰まる戦いがどのように描かれるかとても興味があります。　　公開は来年３月ですが、吹奏楽経験者にとってはとても気になるニュースではないでしょうか。

困った！

　日曜日にiTuneのバージョンアップを行っていたのですが、映画に行く時間が迫っていて途中で止めてしまいました。今考えるとそれが悲劇の始まりでした。　帰ってきてインストールを再開したのですがエラーが出てインストール失敗。修復を試みましたが駄目でした。その後何回か試みるも結果は同じでした。時間切れとなりそのまま寝てしまいました。　月曜日、会社で症状について検索すると同じような症状の方がいらっしゃる事が分かりました。どうもQuicktimeが元凶のようです。　帰宅後、Quicktimeのみをインストールするも同じメッセージが出て失敗。古いバージョンのQuicktimeをインストールしたところ成功しました。　そこにiTuneの7.550を入れたところ案の定インストール失敗。iTuneも6.X.Xをインストールしたところうまくいきました。　iTuneを起動したところ、曲のファイルが新しいバージョンで作られているため読めないというメッセージが出てしまいました。　仕方なく、再びiTune+Quicktime7.5.50をインストールしたところ、予想通り？失敗に終わりました。　現在のその状態でこれを書いているわけですが、次の作として古いQuicktimeを入れて、次に最新バージョンにしてみたいと思います。　どうしても駄目な場合は、「教えてgoo」に書いていある、手間がかかりレジストリをいじるというかなりリスキーな方法を試みようと思います。　それにしても、このままの状態だとiPodの更新は出来ません。これって、欠陥商品だと言うことと等しいです。冒頭にも書きましたが元凶はQuicktimeです。こんな問題のあるソフトの機能を共有するiTuneってとんでもなく困った存在です。　どうにもならなかったらアップルに文句の一つも言いたくなります。アップルはバージョンアップを盛んに進めているようですが、それより前に最低限動作可能な環境を提供することがメーカーの責務だと思います。

喜びの種をまく

　致知１２月号は「喜びの種をまく」という特集でした。その巻頭に感動的なお話しが書かれてありましたのでご紹介したいと思います。　東井義雄先生という生涯を小中学生の教育に捧げた方のエピソードです。（以下引用）　ある高校で夏休みに水泳大会が開かれた。種目にクラス対抗リレーがあり、各クラスから選ばれて代表が出場した。その中に小児麻痺の足が不自由なＡ子さんの姿があった。からかい半分で選ばれたのである。　だが、Ａ子さんはクラスの代表を降りず、水泳大会に出場し、懸命に自分のコースを泳いだ。その泳ぎ方がぎこちないと、プールサイドの生徒達は笑い、野次った。　その時、背広姿のままプールに飛び飛び込んだ人がいた。校長先生である。懸命に泳ぐＡ子さんのそばで、「頑張れ」「頑張れ」と声援を送った。その姿にいつしか、生徒達も粛然となった。（引用終わり）　何とも感動的な出来事です。私がその立場だったらおそらくそんなことは出来ないと思います。Ａ子さんには恥をかかせようと思った首謀者やクラスの人達は自分たちの行った行為を恥じたことだと思います。　小学生の子供にこの部分を読ませました。やはりこのようなことはできないと言います。　しかし、皮相な見方をすると、この校長は、Ａ子さんのクラスで何が起きているかを担任が把握していない事を見抜けなかったことに恥じるべきです。もしかしたら、担任も加担しているかもしれません。そうすると校長の監督責任も問われます。　まあ、このようなことはないと思いますが、昨今の状況を見ていると、もしかしたらその時もこのような状況だった可能性はある筈で、現在はこのような話にも素直に感動すると言うわけに行かなくなりました。　私がひねくれているのか、そう思わせる世の中がになってしまったのか、なかなか難しい問題です。　なお、このお話しは「無財の七施」という仏法の教え、財産が無くても誰でも七つの施しが出来る、喜びの種をまくことが出来る、ということに関連して触れられたエピソードです。すべからくこのようにありたいものです。東井義雄記念館

めがね

　かもめ食堂のメンバーが再び集まって作った映画。何も起こらない映画です。そうかといってつまらないというわけではありません。沖縄？の春の美しい海とまったりとした雰囲気それにやたらと飯を食うシーンが出てくるだけ？の映画です。特に傑作とかそう言う映画ではありませんが、このような映画があっても良いかもしれません。題名のめがねは主要登場人物が全員眼鏡をかけているからです。■あらすじ　春の南の島に飛行機が到着します。そこから出てきたのは小さなバッグを持って背筋を伸ばして颯爽と歩くサクラ（もたいまさこ）。浜ではユウジ（光石研）と高校で生物を教えているハルナが出迎える。一方同じ飛行機に乗ってきたタエコ（小林聡美）は地図を頼りになんとか宿屋「ハマダ」にたどり着く。「ハマダ」を経営するユウジは犬のコウジと２人暮らし。そこで宿を経営しているのだが、タエコの他には客が見あたらない。　　ユウジはタエコに夕飯を外で一緒に食べないかと誘うが、タエコは断る。冷蔵庫の中の物を適当に食べろと言われたタエコは冷蔵庫を見るが、中にはでっかい魚（きんき？）が入っている。　　次の日タエコが目を覚ますと、何故かサクラが枕元にいて挨拶する。そのうち、ラジオ体操のような音楽が流れてくる。　　興味を持ったタエコはその音の出所を探そうと外に出る。辿っていくと、その音は浜で聞こえる。浜に出てみると小学生や宿の住人達が体操をしている。それはサクラが作ったメルシー体操というヨーガみたいな体操。　　体操が終わると、ユウジとサクラ、が朝食のしたくをする。ご飯を食べた後、どこか観光するところがないかユウジに聞くタエコ。しかし返事は「観光する所などない」。「ここはたそがれるために来るところだ」とみんなは言う。　　タエコはただ携帯電話が届かない所に来たかっただけなのだった。　　周囲のマイペースに耐えきれず、島にもう一軒あるホテルに移ろうと、ハルナの車で向かうタエコ。しかし、そこで見たものは。。。　■「たそがれる」がよく分からない　なんとも不思議な話ですが、そんなに退屈なわけではありません。　　そもそも「たそがれる」というのがよく分かりません。「黄昏る」でしたら、こんな南の島の与謝蕪村の「春の海ひねもすのたりのたりかな」そのままの気分の所で「黄昏る」とはとても思えません。　　　タエコ以外の登場人物はその雰囲気にすっかり染まっていて、タエコを探しに来たヨモギ（加瀬亮）さえもすっかり嵌ってしまいます。　　　その中で、サクラが浜にかき氷屋さんを開いて只でかき氷を振る舞っているのは何とも不思議な風景でした。　■何も起こらないところに価値のある映画？　小さな出来事は起こりますが、日常生活のささやかなエピソードに過ぎないような出来事ばかりです。何もないところに最高の価値があると思っているかのような描写です。おそらく、現在でも沖縄の離れ小島などではこのような生活が送られているのかもしれません。　　印象的だったのは、舗装されていない道路をタエコが道に迷ってしまうところの描写です。今時日本舗装していない道路はかなり少なくなってしまいました。このように自然な風景は日本人が３０年くらい前に忘れてしまった原風景の様な気がします。　　この映画が何を訴えたかったのかよく分かりませんが、このようなところに滞在して、日常を忘れ、何もしないということが最高の贅沢なのかもしれません。■ものを食べるシーンがとても美味しそうです　食事のシーンや料理をするシーンが丹念に映し出されます。サクラさんの作る氷あずきも、小豆を煮るところから出てきます。どれも上手そうですが、特に上手そうなのは、真っ赤にゆであがった伊勢エビを一人一匹づつかぶりつくシーンで、私も食べたくなりました。■沖縄の海が美しい　ロケは与論島で行われたようです。青い海がとても印象的で、浜も泳ぐのに絶好なロケーションでした。機会があったら是非行ってみたいですね。　公式サイト

自虐の詩

　週刊宝石に1985年1月4・11日合併号～1990年8月2日号にかけて連載された業田良家の４駒漫画の実写版映画化です。予告編のちゃぶ台をひっくり返すところが面白くて見に行きましたが、最後は泣けました。■あらすじ　森田幸江（岡珠希）の家は貧しく、母親はとうの昔に居なくなり、働かない父家康の変わりに新聞配達や牛乳配達で家計を支える。学校では先生に集金を未払いのため嫌味を言われ、クラスの人達にも疎まれる。そんな幸江にとって唯一の友達は熊本さん（丸岡知恵）だった。　　熊本さんの家は幸江の家よりもさらに貧しく、学校の備品や鶏まで盗んでしまう。　　森田家では父がピンクサロン「チェリー」で働いていた美和子といい仲になり籍を入れてしまう。所が、普通の結婚式を夢見る美和子は家康に結婚式や新婚旅行をせがむ。しかし、金のない家康は銀行強盗を働き逮捕されてしまう。　　この事件により仲間はずれにされてしまった幸江は仲良くなったお金持ちの藤沢さんからも離れてしまい、一時疎遠になった熊本さんとまた仲良くなる。　　中学を卒業した熊本さんの勧めにより上京した幸江だったが、そこには思いもかけない世界が待っていた。。。。　■中谷美紀の演技が素晴らしい　このところ汚れ役がすっかり板についている中谷美紀の主人公がとても良いです。働かず、何かと言えばちゃぶ台をひっくり返し、金をせびるイサオに仕えるそのけなげなさに頭が下がります。一方堕落しているときの奔放さも印象的で、その落差が見事です。　　そして、葉山イサオ（阿部寛）の気にくわないことがあるとすぐちゃぶ台をひっくり返す乱暴さや、自分勝手なところが頭に来ます。　　しかし、そんなイサオも幸江の事を考えて働こうしますが、なかなかうまくいきません。　　所が彼らは昔は立場が完全に逆転していました。シャブ中毒で売春を生業にしている幸江に対し、やくざとはいえ幸江を遠くから見守り、危ない時に何度も助けにくるイサオ。この時代はイサオのけなげなさに胸が熱くなります。　　阿部寛はパンチパーマでちゃぶ台をひっくり返す現在よりも、昔の長い髪を垂らしてトレンチコートを着てあばずれの幸江を見守っているときのストイックな姿の方が似合っています。パンチパーマの時の演技はどうも生硬であまりあっていないと思います。　　幸江に思いを寄せるが報われないラーメン屋の主人を演じる遠藤憲一も良いです。普通の時の状態と、プッツンしたときの落差の表現がとても上手いです。　　それから家康の西田敏行。相変わらずの演技で周りを煙に巻いています。　　意外に良かったのがアパートの隣人のおばあさん福本千春（カルーセル麻妃）。なかなかいい味出していました。　　組長役の竜雷太もギャクと思えばなかなか嵌っていたと思います。　■ギャグを忠実にトレースしていて見事　ちゃぶ台をひっくり返すシーンが何回も出てきますが、スローモーションで撮っているところが卓抜です。飛び散る醤油のキラキラした輝きがとても美しいです。ちゃぶ台が釘で打ち付けられていて、それに気づいてイサオが畳ごとひっくり返すところが笑えます。　また幸江が学校への通学するとき皆が幸江を避けて逃げるときのシーンがよくいう「蜘蛛の子を散らす様に」という形容にピッタリのシーンでした。　　■最後は泣けました。　死ぬ間際まで行く途中の幸江の回想シーンが味わい深かったです。それに、九死に一生を得た幸江が、中学のときの親友熊本さん（アジャ・コング）に再会するところは感動的でした。そして、エンドロールを終わった後の何とも言えないシーンも良かったです。　　ということで、ユーモアとギャクそしてちょっぴりペーソスを交えたとても良い映画に仕上がったと思います。笑って、最後にちょっと泣きたい向きには最適な映画だと思います。　　これは原作の良さもさることながら脚本、キャスト、監督と３拍子揃った秀作だと思います。まだご覧になっていない方は今すぐ劇場へ！公式サイト

ショウガ焼き

今日出張で昼飯を横浜の地下街で摂りました。メニューは豚肉の生姜焼きと牡蠣フライ。その店はオープンキッチンになっているので、料理している所を見ていました。豚肉の生姜焼きは、熱々に熱してた中華鍋に油を引き、そこに予め重さを量っていた肉を投入します。その後何という名前なのか知りませんが、肉を挟む器具を使って炒めます。頃合いを見計らって、生姜醤油のタレをスプーンにすくって鍋に投入します。その時の投入の仕方が面白いです。なんというか水を柄杓ですくって撒くときの仕草にそっくりで笑ってしまいました。その動作が少し投げやりなのもおかしかったです。軽く混ぜ合わせて盛りつけし、中華鍋を洗って、再び火にかける。この動作を繰り返していました。生姜焼きというと、タレに漬けていた物を焼くか、この店のようにタレを絡めるかどちらかだと思います。ちょうどすき焼きを作るのに、割りしたを使う関東風か、肉を焼いてそこに醤油、みりん、砂糖などを入れて味を調える関西風の作り方があるのに似ています。それを見ていたら、どうもこの場合には漬けていたのを焼くとタレが焦げるので、その香ばしさを味わいたい場合は漬けて、そうでなくタレが絡まった状態がいい場合は、タレを別に投入するのが良いのかなと思いました。普段、料理はほとんどしないのですが、この風景を見ていたら何か作りたい気分になってきました。今日帰りの電車で漫画を見ていたら６１歳でラーメン屋を開店した方の話が載っていました。これを見て、会社を辞めたら食べ物屋をやるのも悪くはないなと思ってしまいました。

コルンゴルト：シー・ホーク　完全版

マルコポーロ・レーベルから引き継がれたNaxosの映画音楽シリーズ。コルンゴルト没後５０周年記念として「Sea Hawk」の全曲録音が世界初録音として出ました。全曲で７６分。男声合唱と女声独唱を含む大作でなかなか楽しい聞き物でした。 この映画は１９３５年公開された英国の海賊船アルバトロス号の船長ソープの活躍を描く大活劇で、アカデミー賞室内装置賞、録音賞、特殊効果賞、音楽賞でノミネートされています。なお、彼は『風雲児アドヴァース』、『ロビン・フッドの冒険』で２度のアカデミー賞を受賞しています。　このＣＤの存在を知ったのは時々見る「おやぢの部屋２」というＣＤ批評を売り物にしているホームページです。ここは中身が充実していて、専門家はだしの批評はとても参考になります。今回のコルンゴルドの「シー・ホーク」の売りはスコアの完全復刻です。映画のスコアの復刻はとても大変だと思います。元々スコアを残すという事はないはずですし、１曲１曲が短いということで、材料を集めるだけでも大変で、虫食いだらけのスコアを補筆して完成させるという気の遠くなる様な作業が必要です。ライナーノートによると、１９４０年に公開された「The Sea Hawk」の音楽はその当時の他の映画音楽と同じ様に、映画とは切り離された商業的な録音は考えられなかった時代です。この映画の音楽が録音されたのは１９６１年で、コルンゴルトのほかの音楽と共にワーナーブラザースにより録音されました。元々のスコアでは２本のオーボエ、３本のフルート、クラリネット、バスーン、４本のホルン、トランペット、トロンボーンに、チューバ、そして２台のハープ、チェレスタを含む大管弦楽団の編成です。　スコアの修復には大変な苦労があったようで、そのお話しがジョン・モーガンによりライナーノートに詳しく書かれてあります。メインタイトルはスコアもパート譜もなく、ストロンバーグとジョン・モーガンがオーケストレーションをやり直したそうです。　全体的には、やはり少し古さを感じました。また、例えば現代の良くできた映画音楽、例えばジョン・ウイリアムスの「スター・ウォーズ」などを聞いたときとは大分印象が異なります。　現代では映画音楽といっても、ＣＤで発売されたときトータルで聴き手にどのように伝わるかを考えた音楽づくり、トータル的なイメージの伝達を重要視していると思います。　コルンゴルトの時代にはそういうことはなく、あくまでも映画の中の音楽という位置づけのため、音楽だけを聞いたときに物足りなさを感じるのはしょうがないように思います。　音楽としてはさすがに最期の映画音楽である「Deception」(1946)に１日の長がある事は確かです。「Sea Hawk」では同じモチーフが繰り返し出てきていささか食傷気味になることもあります。　メインテーマ自体はコルンゴルト特有のファンファーレと雄大な旋律からなり、大海原を彷彿とさせるような雄大な曲です。ただ、コルンゴルの場合僅かに癖がありそれを受け入れられるかどうかが、この曲でも好悪の分かれ目になりそうです。　「Sea Hawk」では男声合唱と女声の独唱が一部入っていてマンネリを防いでいます。第１５曲の「マリアの歌」を歌うIriana Romishevskayaの粘着性のある声はなかなかいい雰囲気です。第２０曲の「Happy Sailing」における勇壮な男声合唱を聞いているとゾクゾクしてきます。ワーグナーの「トリスタン」第１幕の男声合唱を聴くときのような興奮を感じます。　これはある意味、コルンゴルトとジョン・モーガン、ストロンバーグの共同作業による作品と言って良いと思います。まだ入手していませんが、シャンドスからガンバ指揮ＢＢＣフィルハーモニックの演奏が、ガンバ編曲版として出ています。その編曲との比較も興味をそそります。　ともあれ、この映画音楽の完全復刻はコルンゴルトの音楽のすばらしさを広める意味でも画期的なことだと思います。空間の広がりを感じさせる録音もいいです。　没後５０年記念としてこれほどふさわしい事業もないのではないでしょうか。KORNGOLD:The Sea Hawk･Decception(NAXOS 8.570110-11)The Sea Hawk (complete score restored by J. Morgan)Disc101. Main Title 02:0702. Spain: King and Alvarez - Dona Maria - Alvarez-Lopez - The Slaves 02:0203. The Big Drum 04:2904. The Albatross - Battle - Duel - Thanks for Convincing the Trumpeter 08:5905. Slaves Release 07:0606. Night Banquet 02:1307. Love Scene on the Boat - The Throne Room 07:5708. The Sea Hawks - The Monkey - Captain Thorpe's Entrance - Exit - Elizabeth and Thorpe 06:2509. Map of Panama 02:0310. Rose Garden 04:3411. Albatross-Kroner - Chart Maker - Astronomer 03:2012. The Chess Game - Farewell - Panama Montage - The Orchid 07:0013. Thorpe's Men Hiding - Gold Caravan 02:3014. Attack - You Know My Name - March - The Fight - In the Jungle - Relax - Thorpe cuts through Jungle - Ocean - The Hanging Man - The Trial - 13:2915. Maria's Song - After Maria's Song - Maria Faints - Elizabeth Against Philip 03:49Disc 201. After the Council - Maria's Bedroom - Spanish Boat - I am Abbott - Rebellion - Cadiz 09:2202. The Slaves Liberate Themselves - The Murder 03:0103. The Fight with the Guard 02:3704. Knife Fight 00:4205. Happy Sailing 01:2606. The Arrival 01:1807. Reunion - New Difficulties 05:1808. Thorpe enters into Castle - Duel 05:0409. Finale - End Cast 03:3810. Original Theatrical Trailer 04:01Irina Romishevskaya（s）Moscow Symphony ChorusDeception (complete score restored by J. Morgan)11. Main Title 01:3812. Mysterioso 01:5413. Jealousy - Tenderness 02:4014. After the Party 02:5215. A Pity 00:5116. Preparation 01:0617. Paraphrase 00:4618. Newspaper 00:4319. Mirror 01:3320. Murder 01:5021. Alibi 01:1522. If 01:0923. The End - The Cast 01:0924. Original Theatrical Trailer 03:3625. Cello Concerto (original version) 07:23Alexander Zagorinsky （Cello）Moscow Symphony OrchestraWilliam Stromberg （cond）Recorded October 2005. Mosfilm Studio, Moscow, Russia

密室政治の復活

　民主党の小沢党首が切れたようですね。今日の記者会見でそのようなことを言ったようです。　どうも、民主党は「いら菅」を始めすぐキレル方が大勢いらっしゃる様です。この様な方々が重大な局面になった場合に切れられる様では国政を任せるわけには行きません。　結局、大山鳴動してネズミ一匹も出なかったことになります。　しかし、一番問題なのは政治家でもない輩が、国勢を左右するような事を言うだけでなくそれを実行して、実際にそれが出来てしまうと言うところに、日本の政治の脆弱性を感じてしまいます。例えば、隠然たる力を持つ人間が希望すればそう言うことが出来ることが分かった場合、例えばＣＩＡ（現実には中国が一番危ないですが）が首相や野党党首の弱みを握ってそれをだしに脅して国勢を左右するということになりかねないという事態になります。　しかし、説明が上手くできない人間が首相になろうかという国って相当おかしいと思います。政治家は自分の言うことを人に理解させることが商売の筈なのに、それが出来ないと堂々と言って恥じることがない。そのメンタリティにはあ然としてしまいます。　それを不思議に思わない国民も相当おかしいと思います。　このコミュニケーションをスムーズにすると言うのはビジネスでは最も大事なことであり、小沢氏みたいに「俺が言うことにはみんな従ってくれるだろう」などと思ったらまともなビジネスなど出来ないことは明白です。　それにしても、一人の老人の考えが国勢を左右するなんて、どうしようもない国ですね。それを問題にしない国民も相当おかしいです。　メディアはよく「第４の権力」と言われていますが、いよいよ「第１の権力」になろうとしているんでしょうか。。。

ポリーニ：ベートーベン　ピアノ・ソナタ集　作品２

　ベートーベンの初期のピアノ・ソナタは全集にでもくっついていなければめったに聞くことはないと思います。私は全集はブレンデルしかありませんし、初期のソナタを聴いたことがあるかどうかも怪しいです。 そんな曲をポリーニが取り上げました。ハイドンに献呈された作品２の３曲のピアノソナタです。この作品以前にも１３歳のときに書かれたとされる３曲の選帝侯ソナタをはじめ、ボン時代に習作が数曲残されています。しかしそれらの作品とは格段の差があり、すべてが４楽章構成の力作です。　まず、とても透明なピアノであると感じました。それに、モーツァルトやシューベルトとの親近性を強く感じました。第１ソナタはモーツァルトの曲といってもおかしくないです。２番もシューベルト作曲といってもおかしくないです。３番になると少しベートーベンの個性が出てきますが、それでも他人の曲と言われればそう思うような演奏です。当然、後期の作品と比べれば深みなどはありません。しかし、それに変わる愛らしさやすがすがしさがあります。先ほど、透明なピアノと言いましたが、かつてのとぎすまされて冷たい感触の透明さではなく、とても暖かみのある透明さを感じました。この透明さ、全く関係がないのですが、最近聞いたキース・ジャレットの「モントルー・ライブ」で感じた透明さと、とても似ていると思いました。どちらも、ジャンルは違いますが、前人未踏の荒野を行く人間に共通のスピリットを感じてしまいます。（閑話休題）　最近のポリーニの演奏を聞いていると、彼はこれから一体どこまで高みに登っていくのかと思わずにはいられません。それを考えるとき、楽しみであり、一種怖いような気分にもなります。　とにかく、癖を全く感じさせないし、小細工している素振りを見せません。実際には小細工をしなければこのような演奏は出来ないのですが、それを感じさせない所が巧の技術なんでしょうか。　３番はとても歯切れの良い演奏で聞いているとウキウキしてきます。そもそも明るく楽しい曲想なので当然なのですが、ベートーベン特有のどこかで重苦しくなってしまうところが全くなく、本当に気持ちよく聞くことが出来ます。Pollini:Beethoven Piano Sonata Op.2 1.Piano Sonata No.1 in F minor op.2-1 l.Allegro ll.Adagio lll.Menuetto (Allegretto) lV.restissimo2.Piano Sonata No.2 in A major op.2-2 l.Allegro vivace ll.Largo appassionato lll.Scherzo (Allegretto) iV.Rondo (Grazioso)3.Piano Sonata No.3 in C major op.2-3 l.Allegro con brio ll.Adagio lll.Scherzo (Allegro) lV.Allegro assai Recorded 9/2006 Herkulessaal,Munich

全国高校サッカー選手権岩手県大会決勝

　リフォームの外壁の現物を見に行くついで？に高校サッカーの決勝を見に行きました。開始２時間半前ぐらいに付いたのですが、既に観客席は大分埋まっていました。それでもなんとか空席を見つけて座席を確保。　昼飯を取ってくつろいでいると、「今日は」という声が聞こえました。見ると子供と同じチームの子のお母さんの顔が覗きました。「そこ空いてますか」という声に条件反射的に「ええ」と答えてしまったのが運の尽き。　個人的には気を遣うのが嫌で、試合を見に行くときも、わざわざ相手のチームの方で見ていたりします。今日は盛商の席で座るのはさすがに嫌だったので遠野側で座ったのが敗因でした。　そのお母さんは何でも子供二人に「一緒にいるな」と言われたらしく、彼らがたまたま私のことを見つけて隣が空いていることを発見して声をかけたのが真相らしいです。　暫くたわいのない話をしていました。本を読もうと持っていったのですが、本を読むことも出来ず、仕方なく、つまらない話でお茶を濁していました。　試合の方は前半盛商の一方的な攻撃で得点チャンスが何度かありましたが、キーパーの好守により無得点。後半も最初は盛商が押していました。後半の後半ぐらいになると、遠野得意のパターンになり、遠野の攻撃が次第に多くなりました。　ペナルティキックが遠野に与えら、決定的なチャンスと思いましたが、ボールはクロスバーに当たり得点ならず。　そのまま延長に進み、コーナーキックから盛商が得点。このまま終わりかと思ったら、後半の終わり間際に遠野もコーナーキックから同点にしてタイムアップ。　いよいよ、ＰＫになってしまいました。盛商の１番手は浦和への入団が決まっている、林選手。ＧＫの右に飛んだボールをキーパーが左腕で払いのけセーブ。　その後、途中で３人連続外すという珍しい光景もありましたが、結局３－２で遠野が勝ちました。　この遠野のＧＫはサッカー少年団の頃からうちの子供と一緒にサッカーをやってきていて、別々のチームになった今でも、試合の状況などをメールで連絡したり、休みの日にサッカーをしたりする仲です。　彼はジュニア・ユースの時から嘱望されていて、今回の活躍で県内に広くその能力を知らしめたと思います。　上背があまりなく、キーパーとしては不利なのですが、その抜群の運動能力と広い視野で全国大会でも活躍して欲しいものです。　子供が言うには、盛商の林選手が厨川中学の３年の時やはりＰＫを止めたことがあるらしいです。彼が言うには、（顔の）威圧感が凄くて、とてもゴールに入る気がしないらしいです。（＾＾；　今回の観戦は気楽な観戦というわけにはいきませんでしたし、後半かなり寒くなって辛かったですが、行って良かったと思います。　それにしても、試合には父兄ではないおばさんの姿がたくさん見受けられ、大きな声を出していて、そのパワーには恐れ入りました。日本で一番元気なのはおばさんだというのを実感させられた出来事でした。

あるクラブチームの死

　先月をもって、子供の所属しているＪリーグの下部組織のユースが活動を休止しました。　　チームには３年生が６名、２年生５名、１年生２名が所属していました。このうち１・２年生の２名は学校の事情で満足に参加できず戦力外、ＧＫが２名のため、３年生が抜けるとフィールドプレイヤーが実質３名になってしまいます。（http://purple.ap.teacup.com/applet/butch/msgcate3/archiveから引用）　　このため、今年もジュニア・ユースをいれてなんとか試合をこなしていました。　そういう状況もあり、リーグ戦も芳しくない成績で、上へ上がるどころか２部の入れ替え戦に出なければならなくなりました。そのうち、ユースの活動休止という話が聞こえてきて、結局入れ替え戦の話も自然消滅したようです。　子供は通っている高校のクラブに参加している様で、うまくいけば新人戦にも出られる様なことを言っています。私は、子供が入ったために出られなくなる子がいる事を考えるとあんまり賛成も出来ないなと思っていました。　　子供もそれは考えていたようで、自分ではその話はしていませんでした。所がチームメイトが気を利かせて監督に聞いてくれたようです。　　今日、クラブチームのリーグ戦の手伝いをしに行ったとき、県内では唯一となったユースの監督から誘われたようで、私も考えてみたらと言いました。　　しかし、少し離れたところなので、勉強が出来なくなるといって乗り気ではありません。彼は、実力のある大学でサッカーする事を目標としていますので、勉強が出来なくなる事を恐れています。　　私としては、サッカーの環境が変わって、レベルの高い環境で揉まれることが無くなることに危惧を抱いています。あとは、本人の考え次第ですが、とても残念なことです。　　　もともと、高校に行くときに、実力のある高校のサッカー部でやるのかクラブチームでやるのかで悩んでいました。クラブチームに進んだのは、監督が「大丈夫だ」と言ったことを信じたからなのです。　　　しかし、私たちの危惧が現実になってしまいました。　　　冷静に考えれば、ここ岩手県では盛商、遠野を頂点とする高校サッカー全盛で、クラブチームは２つしかなく、そこに入れと言うのはなかなか難しいものがあります。　　　このユースでは、数年前にジュニア・ユースのメンバーがほとんどユースに入らなかったという出来事があり、それからだんだん成績が悪くなり、入るメンバーが少なくなるという悪循環を繰り返すようになったのです。　　　　子供がジュニア・ユースの時は県内では頂点を極めたのですが、その中で残ったのは二人しかいませんでした。有力なメンバーは盛商や遠野、不来方などに進学してしまいました。結局残った人間が貧乏くじを引いてしまったことになります。　指導はプロですから問題ないのですが、名選手が名監督にならないのと同じように、名選手が名経営者にならないということも言えると思います。経営の分かる人間がスタッフにいればもう少し何とかなったと思うんですが後の祭りです。。。　　　これからどうするかは本人次第です。取りあえず、ユースでは練習だけはするようですので、高校の部活を中心に活動して、空いている時にクラブチームに参加することになると思います。　　　ただ、子供の高校では国体までで３年は終わりだそうなので、その後、いかにに体力の維持と試合の感を鈍らせないかが課題となると思います。

オーケストラ・プロジェクト２００７

　セミナー受講のため３日間出張したので、行く前に催し物を調べました。めぼしい催し物がなく、目に留まったオーケストラ・プロジェクト２００７を見に行くことにしました。これは現代作品の新作が演奏される演奏会で、１９７９から毎年行われていて今回で２２回目になります。今回は、サブタイトルが「現代音楽１世紀－未来への展望」とあります。シェーンベルクが１２音音楽を書き始めたのが「渚にて」という歌曲です。これは１９０８年２月２日に作曲されています。この史実から、１２音音楽開始以来１世紀経ったことから「現代音楽１世紀」といサブタイトルになったものと思われます。　今回演奏された４つの作品はすべて初演です。そのうち、協奏曲が２曲あとは純管弦楽とボーカルを伴った曲です。　最初の曲は山内雅弘の「風の詩」。指揮棒が振り下ろされた瞬間何も聞こえません。少ししてから弦の音らしい音がかすかに聞こえてきます。もしかしたら舞台裏から聞こえてくるかと思ったのですが、分かりませんでした。　　全体的にはゆったりとしたテンポの中に細かい音型が色々な楽器に出て、なかなか面白い曲です。特にパーカッション奏者二人がピンクと黄色の細長い風船みたいな物を振り回すところが、視覚的にも音的にもとても面白いです。　曲はテュッティを中心として大きなアーチを描いて最初のかすかな響きに戻っていきます。実に日本人らしい繊細な曲だと思います。この演奏会随一の聞き物。是非ＣＤ化して欲しい曲です。　　２曲目は、藤原嘉文のピアノとオーケストラのための「巡りあう時空」。ソリストは蝦多（えびすた）玲子。この曲では「ピアノパートに安易に音を重ねることねく、出来るだけ少ない音で対峙したい」という作曲者の意図から、響きはとても薄いと感じられました。シングルトーンの４分音符で始まる曲は、ピアノのヴィルトゥオーゾ的な名妓性を発揮させるわけでもなく、オケとピアノが一緒になって音楽を作っていく様な構成になっています。　　ピアノとバックの音響的な対比がなかなか面白く、特に後半のチェレスタとピアノが一緒に演奏される場面はなかなか聞くことの出来ないサウンドでとても印象深いものがありました。　　ピアノは旋律的な魅力は殆どなく、グリッサンドを伴う動機が印象に残ったくらいでした。　　休憩を挟んで宮崎滋の「交響秘抄　～天女梁塵ll～」。これはオーケストラとソプラノの歌う謡曲「羽衣」の出会いです。一部に常磐津の「三保」が入っています。　　ほとんどテンポの指定のない曲で、コレクティブ・インプロヴィゼーション（集団即興）的な場面やチャンス・オペレーション的な部分が見受けられます。　　前半はオケだけで、後半にソプラノが入ってきます。ソプラノとオケは対峙していると言うわけではなく、ソプラノはオケとは全く関係なく歌われるような感じです。そのため、ソプラノはかえってかなり難しい歌唱だったと思います。そういう意味では、ソプラノの片岡敬の歌唱は大変優れていたと思います。　　後半抹香臭い雰囲気になり、最期テュッティの後のトライアングルの「チーン」という音で曲が終わってしまいます。これですっかり仏教音楽になってしまいガッカリでした。　　最期は４人の中では年上の柳田孝義のヴァイオリン協奏曲「リディアの肖像」が演奏されました。これは当初辰巳明子のヴァイオリンが予定されていましたが、腱鞘炎のため弟子の寺沢希美が代演しました。　　「リディア」というグレゴリア聖歌に使われる教会旋法の一つで、この作品にはその特徴ある音程を主題としています。　　古典的な３楽章構成で、４曲の中では最も保守的な作品と言って良いと思います。ベルクのヴァイオリン協奏曲を思わせるような、静謐なムードが全体を覆っています。　　特に昂揚したりする場面も少なく、淡々と進みます。ソロヴァイオリンの音量が不足していて、テュッティで埋もれてしまうのが惜しいと思いました。音色は美しく、ミスもほとんどない演奏でしたので、それが惜しまれます。　最期に２本のホルンに支えられてヴァイオリンが歌いますが、ホルンの高音がうわずっていて聞き苦しかったのが残念です。　　新作４曲という大変思いプログラムでしたが、飯森範親指揮の東京交響楽団はそつなくこなしていたと思います。欲を言えばもう少しメリハリのある演奏（特に「風の詩」）が聴きたかったと言うところが正直なところです。　ということで、久しぶりに現代音楽を聞きましたが、３曲目を除いて難解な曲はなく結構楽しめる演奏会でした。欲を言えばどれもゆったりとした曲で、代わりばえしないところが物足りなかったと思います。　ビックリしたのは、お客さんがすごく入っていたことです。ほぼ満員といっていいほどでした。招待客がいるとしても、定員１９９９名ですから凄いお客の入りだと思います。いつから現代音楽の演奏会にも人が入るようになったのでしょうか。客層は中年女性が目立ちました。これが一過性のでなければ誠に喜ばしいことではあります。　　３曲目を除いてはまた聞いてみたいものです。マイクが沢山ぶら下がっていましたので、少なくとも「現代の音楽」では放送されるものと思います。是非もう一度聞いてみたいと思います。　　オーケストラ・プロジェクト２００７　現代音楽１世紀－未来への展望－　１．山内雅弘：「風の歌」オーケストラのための（初演）２．藤原嘉文：「巡りあう時空」ピアノとオーケストラのための（初演）３．宮崎滋：交響秘抄～天女梁塵ll～（初演９４．柳田孝義：ヴァイオリン協奏曲「リディアの肖像」（初演）　蝦多玲子（p）片岡敬（S）寺沢希美(VN)東京交響楽団飯森範親（指揮）　２００７年１０月３１日　東京芸術劇場にて鑑賞

グレン・グールド　27歳の記憶

原題「Glenn Gould off the reocrd/on the record」。Document60というＣＢＣ（カナダ放送協会）のドキュメンタリーシリーズの中の、グレン･グールドを取り上げた番組。「off the record」と「on the record」という２回の放送をまとめた映画で、生誕７５周年記念でデジタル化したものです。　グレン･グールド２７歳の時の映像ですから、今から４８年前の１９６９年製作です。モノクロですが、画像はそれなりですし、音もモノラルながらそんなに悪くはないです。　前半はカナダの自宅でのインタビューを中心として、周囲の美しい風景やボートをこいだり、散歩したりするグールドの姿を描いています。　自宅での練習？では、バッハのパルティータ第２番の目の覚めるようなスピードの演奏にビックリします。そのほか、フーガの技法の第１曲が演奏されます。　また、インタビューではウエーベルンの話しになって、ウエーベルンが穏やかな性格の人間だったというインタビューワーに対し、「変奏曲」を演奏して、どうしてこんな曲を書く人間が穏やかな性格な訳がないと一蹴してしまいます。　そうかと思うと、シューベルトの第５交響曲の１楽章を大きな声で歌いながら演奏するなど、自由奔放な性格が如実に表れてるシーンだったと思います。 「off the record」、「on the record」で共通なシーンは、録音の前に、ニューヨークのスタインウェイでのピアノ選びのシーンです。　ピアノが何十台も並ぶところで次々に試し弾きをします。店の人（スタインウェイの幹部？）はこれは前回の演奏会で弾いたピアノだとか言います。しかし、グールドは「これはベートーヴェンにはあってもモーツアルトには向かない」と言ってモーツアルトの１７番のコンチェルトを弾き始めます。そのときの鮮やかな演奏振りに目が（耳が）釘付けになります。　試し弾きの最中に、グールドの愛用の椅子をいらなくなったら寄付してくれと店の人が言うところから椅子の話になり、今まで椅子を特注した人は、ヨーゼフ・ホフマンとパデレフスキーだという話はとても興味深かったです。　後半はバッハの「イギリス組曲」の録音セッションの模様です。グールドはほとんどを１テイクで仕上げていきます。録音を好む割にはテイクを重ねることにこだわらず、完ぺき主義者とは違うところを見せます。録音中も音楽の話はせず、プロデューサー達と別な話をしたりします。　ＣＢＳのスタジオは広いですが、殺風景です。照明がやたらといっぱいいあるのが印象的です。良くこんなところで録音していたなと思うほどです。残響が少ないのは録音を聞いて感じていたのですが、まさかこんなところで録音していたとは思いませんでした。広いと響くものですが、ここは音響処理のせいか響きません。　全体を通じて、グールドのエキセントリックな性格が良く現れていたと思います。それにしても、ピアノを演奏しているのか、歌を歌っているのか、どちらか分からない演奏振りには驚きます。本当に音楽を愛した天真爛漫な音楽家だったことが強烈に伝わってきました。　それに、普通の演奏の何倍もの速いテンポで弾いてる光景を見ると、そのテクニックの凄まじさに驚いてしまいます。グールドの演奏については、演奏様式の特異さや一風変わった表現などに関心が寄せられますが、テクニックが凄いことをあらためで知らされたような格好になりました。まさに、ワン・アンド・オンリーの存在だったことが痛感させられました。　ところで、これを見たのは吉祥寺のバウスシアターという映画館で見ました。３つの同時映画を上映できるシネコンの一種です。グールドを見たのは収容人員１００人に満たない小さな入れ物でしたが、シートも上質でなかなか快適でした。しかし、他の映画の音が漏れるのは、この映画にとっては致命的なことだったと思います。　レイトショーにもかかわらず、２０人以上が入っていました。やはりクラッシクにととまらず幅広いジャンルの人達から興味をもたれるグールドだったからなんでしょうね。　テレビ番組２つ分なので１時間足らずという短いものでしたが、個人的には大いに満足した次第です。ＤＶＤ化を強く希望したいと思います。公式サイト