Elina Garanca:Revive
エレーナ・ガランチャの新譜を聞く。今回もまた前作と同じようなオペラのアリア集。フランスとイタリアのオペラの有名なナンバーをあつめている。当ブログは、昔はアリア集など、ほとんど聴く習慣がなかったが、ここ10年ほどは、よく聴くようになった。反面、オペラの全曲を聞くことは少なくなった。勿論高いということもあるが、全曲を通して集中して聞くことができなくなったからだ。現在はNASにあるオペラのつまみ聞きが主だ。根気がなくなったのに、安いからといって格安BOXを購入して、未だに全曲を聞き通していない物もいくつかある。アリア集は、全曲を通して聞かねばならないという義務感があまりないので、その点は気楽だ。筆者の場合、アリア集といっても、ごく限られた歌手の物しか聞かない。好きな歌手または、新しく名前が出てきた歌手だ。ガランチャはグラモフォンに移籍以来気に入ってフォローしている。ガランチャは端正な歌唱で、スラブ式の発声が目立たないのがいい。フランスものは多少重い感じはあるが、気になるほどではない。イタリアものは全く問題ない。今回は、彼女の驚異的な息の長さに驚いた。これほど息が続く歌手もそういないと思う。昔ならジェシー・ノーマンが有名だったが、いまどきは誰なんだろうか。彼女のアルバムを聴いていると、聴いたことがないアリアに出会うことがよくある。また、聴いたことはあっても、アンテナに引っかかっていないナンバーの素晴らしさを教えてくれることがよくある。今回は、チレアの「アドリアーナ・ルクブルール」のあまり有名でないアリアの切なさなど、初めて知ったようなものだ。色々な作品が集められているが、アルバムとしての統一感がある。聴いていると、どれもが温かみに溢れ、心ががじんわりと暖かくなっていくようだ。気に入ったのは、ドン・カルロ第1幕のエボリ公女のアリア「庭園の中にある」や「サムソンとデリラ」第二幕の「愛の神よ!私を助けにきておくれ!」。「ボリス・ゴドノフ」の第三幕のマリーナのアリア「なんて悩ましく物憂く」もエンディングの軽さが洒落ている。 マスネの「エロディアード」は全く聞いたことがなかったが、第一幕のアリアの劇的で気高い歌唱が素晴らしかった。ロベルト・アバドが2005年から音楽監督をしているバレンシア州立管弦楽団は、最近活躍が目立っているヴァレンシア州立歌劇場のオケで、いいサウンドでガランチャを盛り立てている。Elina Garanca:Revive(DGG )1.Mascagni: Cavalleria rusticana - "Voi lo sapete, o mamma"2.Cilea: Adriana Lecouvreur / Act 2 - "Acerba volutta, dolce tortura ... O vagabonda stella d'Oriente"3.Berlioz: Les Troyens, H 133 / Act 5 - "Ah! Ah! Je vais mourir ... Adieu, fiere cite"4.Verdi: Don Carlo / Act 2 - "Nel giardin del bello"5.Saint-Saens: Samson et Dalila, Op.47, R. 288 / Act 2 - "Samson, recherchant ma presence ... Amour, viens aider ma faiblesse"6.Mussorgsky: Boris Godunov / Act 3 - "Sku?no, Marine ... Kak tomitel'no i vyalo"7.Cilea: Adriana Lecouvreur / Act 1 - "Ecco: respiro appena ... Io son l'umile ancella"8.Massenet: Herodiade / Act 1 - "Venge-moi d'une supreme offense! ... Ne me refuse pas"9.Thomas: Mignon / Act 1 - "Connais-tu le pays"10.Verdi: La forza del destino / Act 3 - "Rataplan, rataplan, rataplan"11.Ponchielli: La Gioconda, Op.9 / Act 2 - "Ho il cuor gonfio di lagrime ... Stella del marinar!"12.Massenet: Werther / Act 3 - "Va! Laisse couler mes larmes"13.Leoncavallo: La boheme / Act 3 - "E destin, debbo andarmene ... Marcello mio"14.Saint-Saens: Henry VIII / Act 2 - "Reine! Je Serai Reine!"Elina Garanca(ms)Orquestra de la Comunitat Valenciana, Roberto Abbado(cond)