Sarah McKengie:paris in the Rain
オーストラリア出身で現在パリ在住のサラ・マッケンジーのインパルス第二弾を聞く。デビュー作も悪くなかったが、レビューを書くまでに行かなかった。今回はポップでノリが良く、全作とは別人の様な完成度だ。アレンジがすごく洒落ているので、誰かと思ったら、彼女が全てアレンジしている。オリジナルも5曲はいっていて、かなり力がはいっている。それらはどの曲もスィンギーで、作曲の力量もなかなかのものだ。曲によって編成が変わるが、大体はホーンが二本、ギター、ピアノトリオというカルテットとピアノトリオにヴァイブ、ギターというふたつの編成。曲による使い分けが絶妙で、実にセンスがいい。ノスタルジーを感じさせるホーンのアレンジもとても耳あたりがいい。「 I'm Old Fashioned 」なんて、今まで聞いたことのない様な、ミディアム・テンポのコミカルな編曲で、この曲のイメージが変わってしまいそうだ。イントロのホーンのフレーズから惹きつけられる。バックもお茶目で、彼女の趣味の良さが発揮されている。すごい才能だ。タイトルチューンの「Paris In The Rain」ではアコーディオンを使ったことによって、フランスらしいエレガントさが聴こえてくる。ギターとのデュオの「Embraceable You 」は、しっとりした仕上りで、抜かりがない。軽快なテンポの「In The Name Of Love」も引出しの多いスキャットとともにノリがいい。アップテンポの「Onwards And Upwards」の爆走ぶりも立派。中間部のジャングル・スタイルのトランペット・ソロもはまっている。最後の「Road Chops 」はマッケンジー作のインストナンバー。キャッチーなメロディーと快適なテンポが心地よく、インストとしても一級の仕上がり。ということで、これはヴォーカル・アルバムとして最上級の部類に入ることは間違いないし、彼女の才能が煌めいていて、文句のつけようがない。是非お聞き頂きたい。Sarah McKengie:paris in the Rain(Impulse 0602557282436)1.Vincent Youmans / Irving Caesar:Tea For Two2.Sarah McKenzie:Paris In The Rain3.Sarah McKenzie:One Jealous Moon4. Richard Rodgers / Lorenz Hart:Little Girl Blue5.Jerome Kern / Johnny Mercer:I'm Old Fashioned6.Cy Coleman / Carolyn Leigh:When In Rome7.Antonio Carlos Jobim:Triste8.George Gershwin / Ira Gershwin:Embraceable You9.Kenny Rankin / Levitt Estelle:In The Name Of Love10.Sarah McKenzie:Don't Be A Fool11.Sarah McKenzie:Onwards And Upwards (Sarah McKenzie) 12.Rube Bloom / Johnny Mercer: Day In Day Out13.Sarah McKenzie:Road ChopsSarah McKenzie (vocal,p)Jamie Baum (fl 1,5,7,11)Dominick Farinacci (tp 1,5,11,13)Scott Robinson (as 1,5,13)Ralph Moore (ts 1,3,5,12-13)Mark Whitfield (g 1-2,4-6,8,10-11,13)Romero Lubambo (nylon string guitar on 7,9)Warren Wolf (vib 1-2,5-6,10-11)Reuben Rogers (b 1-7,9-13)Gregory Hutchinson (Ds 1-7,9-13)Recorded on June 7-9,2016 at Avatar Studios