Becca Stevense:Regina
べッカ・スティーヴンスの新譜を聴く。今作がおそらく4作目。新譜が出ているのを偶然知り早速購入した。2作目と3作目しか聴いていないが、結構変化が激しい。バンドのメンバーは3人とも参加しているが、セッションで加わったメンバーのせいか、プロデュースのせいか、旧作のテイストはだいぶ後退している。なので、最初の頃のカントリー風なコーラスの掛け合いもなく、以前に比べて楽しさはあまり感じられない。いわば手作りの音楽と大規模プロジェクトとして作られた音楽の違いか。このアルバムでは、アパラチアとイギリスの民族音楽にジャズ、ポップ、ロック、R&B、ファンクなどが混在して、かなり複雑な味わいが感じられる。何よりもスケールがだいぶ拡大して、洗練度も増している。このプロジェクト自体が大規模で、参加しているミュージシャンも多彩だ。ディストリビューターのコピーによると、『近年はイギリスにも拠点を置いて、新たな人脈を獲得し、初の単独名義のアルバムで想像以上のスケールアップを果たした』だそうだ。なるほど、変っているのも当然だが、ここまで変わった理由をぜひ知りたいものだ。この変化を進化と考えるか変節と感じるかで、このアルバムの評価が大分左右されるのではないだろうか。当ブログとしては、もう少し聴きこまないと評価できない段階だが、ベッカの圧倒的な歌唱力には脱帽するしかない。ベッカは8,13以外はすべて作曲している。作詞も5,12を除いて彼女の手になる。なお、5曲目の「Queen Mab」はシェイクスピアの詩が使われている。ロメオとジュリエットで登場する妖精の女王マブのことだ。全曲スカなしで、「Mercury」のようなキャッチーなリフを持つ曲は流行りそうだ。ただ、ゆったりとした曲がないため、通して聞くと少し疲れる。タイトルの「regina」は、名前の後に用いる名称で例えばElizabeth reginaはエリザベス女王のこと。布告などの署名に用い、主に英国で使われている名称だそうだ。このアルバムは、タイトル通り、エリザベス女王の研究から生まれた作品だそうだが、堅苦しさは皆無で、内容を知らなくても楽しめることは確かだ。クレジットされているアタッカ・カルテットはジュリアード出身の若手の四重奏団で、日本でのコンサートも多いらしい。第2ヴァイオリンに日本人女性の徳永慶子さんが参加している。Becca Stevense:Regina1.Venus Featuring Laura Mvula2.Lean On3.Both Still Here Featuring Jacob Collier4.45 Bucks5.Queen Mab6.We Know Love7.Mercury8.Regina9.Harbour Hawk10.Well Loved Featuring Laura Mvula11.Ophelia12.The Muse Featuring David Crosby13.As Featuring Jacob CollierBecca Stevense (vo, el.&ac.g, charango, ukulele, etc)Troy Miller (ds, glockenspiel, wurlitzer, propher600, syn b, Harmonium etc)Michael League (back vo, ac.g, mini moog b, ds,etc )Christopher Tordini(el & ac. b, etc)Jordan Perlson (ds, perc, etc)Liam Robinson (p, accord, wurlitzer, prophet 600 etc)Oli Rockberge (p)Attacca QuartetJacob Collier (featured vo, p, bongos, vo perc, mandolin, etc 3 only) Laura Mvula (featured & back vo 1,10) Jo Lawry (featured & back vo 5,7,9) Alan Hampton (featured & back vo 6 only) David Crosby (featured & back vo 12 only)