Nikolai Kapustin: Complete Chamber Works for Flute
カプースチンのフルートのための室内楽全集のCDがNaxosからリリースされた。ハイレゾもリリースされていて、PestoMusicで¥980と激安だったので、とるものも取りあえずダウンロード全て聞いたことのない曲だったが、どの曲もカプースチンらしい親しみやすい旋律が聞かれ、気楽に聴ける。惜しいのは、どの曲でもピアノの比重が大きく、それがウザいと感じられることがあることだ。フルートのエマヌエル・ディヴィスは本来古楽を専門としているが、普段ジャズも演奏していて、今回は最近興味を持っているカプースチンを録音したとのこと。ソナタはyoutubeに何本もアップされているので、人気がある曲なんだろう。ソナタの第1楽章がピアノが一番出しゃばっている。スコアがそうなっているのか演奏者がそうなのかはよくわからなかったので、youtubeで確認した。印象は変わらなかったので、スコアの作りがそうなっているのだろう。2,3楽章は遅い楽章でピアノの音数が少ない分、平静でいられる。最終楽章は少し早めのテンポだが、1楽章のような印象は受けなかった。どうやら1楽章が問題なだけで、どうもカプースチンの入れ込み方が異常だったのかもしれない。二重奏をのぞいて組曲になっている。どの曲もテンポの遅い曲がいいい。カプースチンらしい旋律に静けさが加わって、独特のムードとまったり感が何とも言えない味わいを出している。デイヴィスはどの曲も全力投球だが、一本調子になりがちで、もう少し力を抜くところもあればと思う。また、ピアノはもう少し控えめな方がいいと思う。ディヴェルティメントではアダム・キュンツェルの2番フルートの主張が、音量も含めて少し弱いように感じられる。一番フルートが派手派手で、2本にする必要があったかは?このアルバムで最も新しい「小二重奏曲 Op. 156」はフルートとチェロの二重奏。この楽器の組み合わせは珍しい。リズミックな部分がほとんどだが、何故かラヴェルを思わせる静謐な瞬間が感じられる。一般のクラシック・ファンには一番受け入れやすい曲チェロがフルートを支えることもあるが、両者が別々なことをしていることが多く、特にチェロの動きが面白い。フルート、チェロ、ピアノのためのトリオはバランスが取れていて、ソナタみたいにピアノがウザく感じることがない。このアルバムで一番の聞き物だろう。この曲はかなりジャズ的な作品で、チェロも違和感がない。3つの楽器の比重が対等で、3者の絡みとても面白い。1楽章はチェロがかなりガシガシと迫ってきて、結構刺激的だ。第一楽章はジャズ風なソロの応酬が面白いが、最後の2分間はリフの繰り返しで退屈だ。第二楽章はゆったりしたテンポで気持ちがいい。チェロはフルート・ソロでは主にピチカートで演奏している。この楽章はフルートが主役で、のんびりとした昼下がりの気分を感じさせる。第3楽章は再びテンポが速くなり、3者の一体となった音楽が楽しい。録音はクリアだが、ポピュラー的な前にせりだす録音で、もう少し奥行きが欲しい気がする。当ブログはカプースチンの室内楽はほとんど聞いたことがなかったが、ジャズ色の強くない曲でも、フランス風のしゃれたテイストが感じられ、作曲家としての力量が相当なものであることを再認識させられた。Nikolai Kapustin: Complete Chamber Works for Flute(Naxos 8.579024)24bit48kHzFlac1.Flute Sonata, Op. 125(2004)5.Divertissement, Op. 91(1998)8.A Little Duo, Op. 156(2014)9.Trio for Flute, Cello & Piano, Op. 86(1998)Immanuel Davis(fl)Adam Kuenzel(fl track5-7)Timothy Lovelace (p)Pitnarry Shin(vc track5-7,9-11)Käthe Jarka(vc track 8)Track8-World Premire RecordingRecorded 1-4 August 2016, Ted Mann Hall, University of Minnesota, USA