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音楽雑記帳＋　クラシック・ジャズ・吹奏楽

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2020年07月の記事

全15件 (15件中 1-15件目)

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アボカドの種

アボカドの種からアボカドを育てることができるという情報は、なんとなく知っていた。単純にタネを土の中に入れておけば育つものと思っていたが、実際の方法を見て、やってみたくなった。最近アボカドを食べたので、種がないか家人に聞いたらあるという。早速、見た方法を試してみた。それは種の尖った方を上に向けて、種の三分の一を水につけておけばいいというもの。水の漬け方は爪楊枝を種の横に三方向に刺して、爪楊枝を支えとして水に漬けるのだそうだ。爪楊がささってもアボカドには影響がないとのこと。早速やってみた。およそ2、3週間くらい経ったことに、殻にヒビが入り、下の方から根らしきものが出てきた。根は一本だけで、今では長さが2、3センチ太さも３ミリくらいにはなっている。後から漬けたタネも、根らしいものが薄らと出てきた。ある程度根が大きくなったら、鉢植えに移植して、さらに大きくなったら、野外に定植するという手順だそうだ。高さは１０メートル、大きいものだと25メートルくらいになるらしい。当ブログの庭は狭いので、それに適しているかどうかわからない。観賞用に摘芯して程よい高さにすることもできるそうだ。何年かかるか分からないが、１０メートルぐらいの高さまで育ててみたいものだ。

2020年07月31日

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John Scofield: Swallow Tales

ジョン・スコフィールド(1951-)の新作を聴く。ECMでは数種類の録音を行っているが、リーダー作は初。リーダー作はなんと13年ぶりとのこと。いつものprostudiomastersから手数料込みで￥1200を切る価格で購入。なお、このサイトでは現時点でも税抜き価格でC＄12.79と激安。ジョンスコはサイドメンとして参加していた録音は結構聴いているはずだが、リーダー作を聴いたのはおそらく初めて。何故いままで注目していなかったは分からない。今回は、４０年来の付き合いであるベースのスティーヴ・スワロウ(1940-)にビル・スチュアート(1966-)のドラムスというトリオ編成。スチュアートも1990年以降付き合っているというから、どちらとも、とても長い付き合いだ。これだけ長く共演しているので、コミュニケーションは痒い所に手が届くってなもんだろう。なのでアンサンブルは抜かりがない。半面長くやっているため緊張感がどうしても薄れてしまう、ということはあるだろう。実際よく言えば練られた演奏、悪く言えば面白みに欠ける演奏、と思ってしまうのは仕方がないところ。彼らの年齢を考えても、新しい何かを期待するのは野暮で、彼らの円熟した技を楽しむのが正しい？鑑賞法なのかもしれない。演奏の水準は恐ろしく高い。ただ、ECMへの初のリーダー作なので、何か新しいことが起きていればという期待したのだが、期待が大きすぎたのかも入れない。まあ、気心の知れたメンバーでの日常のセッションの１コマとでも考えれば不満も少なくて済む。ジョンスコのギターは上記の感想がぴったりとあてはまるもので、当ブログとしては、おっと思わせるような刺激が欲しかった。今回のアルバムはスワロー特集で、抒情的な作品が多い。速いテンポの曲でも甘さが目立っていて、当ブログとしてはあまり買わない。一方「Away」のような、のんびりしたムードの曲もあり、悪くない。ただ、「Pourtsmouth」のような動的な演奏が、もう少しあっても良かったよう思う。スワローはソロがないわけではないが、あまり目立たない。裏方に徹しているというべきか。音は小さいが、常に動きがよく分かり、その解脱の境地？が何故かユーモアを感じさせる。良かったのはビル・スチュアートのドラムス。それほど目立つわけではないが、要所要所でハッとするプレイを聞かせていて、点数は高い。静的な「Awful Coffee」で、ドラムスがちょこまかと動くさまのコントラストはなかなか面白い。ドラム・ソロから入る「Falling Grace」の軽快なのりも、なかなか快適だ。録音は素晴らしくいいが、音像が実物よりも巨大で、ちょっと抵抗がある。John Scofield: Swallow Tales（ECM 0836036）24bit96kHz FlacSteve Swallow:1. She Was Young2. Falling Grace3. Pourtsmouth4. Awful Coffee5. Eiderdown6. Hullo Bolinas7. Away8. In F9. RadioJohn Scofield(g)Steve Swallow(e-b)Bill Stewart(ds)Recorded March 2019 at Studio The James L. Dolan Recording Studio at NYU Steinhardt

2020年07月29日

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Jordi Savall Beethoven Revolution Symphonies Nos. 1 - 5

ベートーヴェン・レボリューションと題する交響曲集がリリースされた。ヨルディ・サヴァールの指揮ル・コンサート・デネイションズの演奏で1番から5番までを集めている。最初このタイトルを見たとき大げさなと思ったのだが、その綿密な研究と実現するまでの経過を知るにつれて、タイトルが決して大げさではないことが分かった。prostudiomastersからバーゲンでc$21.68、手数料込みで￥1750程で入手した。あとでqobuzで１０ポンド以下で購入できることに気が付いたがしょうがない。他の配信サイトでは$50は下らないので、3分の1ほどの激安価格だ。サヴァールは名前は知っているが、演奏は聴いたことがないと思っていた。ところが、ディスコグラフィーを見ていたら、見覚えのあるジャケットを見つけた。「英雄」のCDで1994年にリリースされたものだった。当時たいそう評判になった演奏で、管理人も衝動買いした記憶がある。当時としてはかなり過激な演奏で、気に入った演奏だった。それ以来のことなので、すっかり忘れていたのも無理はない。最初「英雄」はその録音を使っているものと思い込んでいた。ブックレットが付いていないので、皆目見当がついていなかったのだが、捜しまくったら、Alia Voxのサイトに記述があり、「英雄」も含めて全て新録音であることが分かった。新旧の英雄のタイミングは最大でも20秒程しか違わないが、音を聞くと違いははっきりしている。新録音に比べると旧録音は音が軽い。新録音は古楽器の演奏としては重心が低く、ハーモニーも分厚い。今回のプロジェクトはベートーベン・アカデミー250という交響曲全曲を演奏するシリーズ。メンバー55人のうちル・コンサート・デネイションズが60％から75％、他はオーディションで選抜されたヨーロッパの若手演奏家から構成されている。アカデミーは二つに分類されるリハーサル及びヨーロッパ各地での演奏会というスケジュールた。5曲とも「英雄」の当時の印象そのままに、過激さは変わらなかった。現在の流行からすると、テンポはそれほど速くないのは意外だが、緊張感が持続している。ただ、追い立てられる恐怖感がないのは精神衛生上とてもいい。大方の関心は「英雄」と「運命」に集まるだろう。もちろん期待を裏切らない出来だが、管理人は他の曲に興味を覚えた。俗に「ギリシャの乙女」と言われる第4番はその言葉からイメージされる可憐さとは全く異なる激しい演奏。第4楽章はそれほどテンポが速くないが、各楽器の動きが克明に表されていて、大変面白い。重厚にもかかわらず音の立ち上がりが速く、時に野蛮に響く。1、2番も従来のイメージとは異なる重厚かつ攻撃的な演奏。合奏の精度が高く、表現が激しい割には、さっぱりした感じがあるこれらの曲の面白さが、これほど出ている演奏も少ないだろう。「英雄」も冒頭の和音から立ち上がりの速いサウンドが聴かれる。重厚ながら機敏な動きは、モダンオケでもなかなか聴けるものではないだろう。葬送行進曲中間部のクライマックスでの激しいアタックにも驚かされる。第4楽章のエンディングも激しい表現で、ティンパニが期待に応えて？暴れまくるのが嬉しい。運命はテンポ自体は最近の演奏からするとそれほど速くない。他の曲同様にフレーズの終わりに潔さがあり、ある種の快感を覚える。第1楽章冒頭の低弦の伸ばしで、音が異様に大きいのが気になった。中間部でのホルンのゲシュトップが刺激的だ。第4楽章は後半幾分重くなるのが惜しい。トルコの太鼓を思わせる、木製のばちを使ったティンパニの荒々しさは全曲で際立っている。金管のえげつない強奏など、激しい演奏には違いないが、何故か爽快感が感じられる。大方のベートーヴェンの交響曲の演奏では、音楽が緩む場面があるが、この演奏に限って言えば全くない。録音は昨年行われ、残りの４曲は今年録音予定だったが、コロナ禍のため、いつになるかは未定とのこと。是非完結してほしい。Jordi Savall Betohoven Revolution Symphonies Nos. 1 - 5(Aria Vox AVSA9937)24bit88.2kHz FlacBeethoven: Symphony No. 1 in C major, Op. 21Beethoven: Symphony No. 2 in D major, Op. 36Beethoven: Symphony No. 3 in E flat major, Op. 55 'Eroica'Beethoven: Symphony No. 4 in B flat major, Op. 60Beethoven: Symphony No. 5 in C minor, Op. 67Le Concert des NationsJordi SavallRecorded Spring,2019（Symphony 1、2、4）Autumn,2019（Symphony 3、5）

2020年07月26日

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Lorenzo Cominoli,Roberto Olzer:Timeline

最近ロベルト・オルサーの新作が出ていないことに気づき、qobuzでチェックしたら見つけた一枚。リーダーはイタリアのギタリストのロレンツォ・コミノーリで、彼とのデュオアルバムだ。ロレンツォ・コミノーリは90年代から活躍し、リーダー・アルバムも結構出ているようだ。ピアノとギターのデュオでは、ギターのサウンドが大きくものをいう。個人的には、名盤と謳われる、エヴァンスとジム・ホールの「アンダーカレント」でも、ギターのサウンドが安ぽいのが、最大の欠点だと思っている。全体のムードは抒情的だが、ひたすら暗い。なので、同じムードが続くと、飽きてくる嫌いもある。静かな中にも、時折ハッとするような瞬間が欲しい。残念ながら、そんな瞬間は訪れなかった。最初は坂本龍一の「美貌の青空」この曲は映画「バベル」で一躍有名になって、世界でも知られるようになったのだろう。邦人の演奏だと暗く湿っぽくなることが多いが、少し早めのテンポでさらっと演奏されている。却ってこの曲の叙情がよく現れているように思う。今回のアルバムで不満なのは、アンプを通したギターのサウンド。アコースティックの方が雰囲気が出そうだと思った。「The Dolphin Jump 」は殆どがスローテンポの中で、唯一早いテンポの曲。メロディーらしいメロディーもなく、インプロヴィゼーションを録音したような曲。オルザーの「Novembre」は哀愁を帯びたメロディーが心に染み通る。アルバム随一の美しい演奏だ。モノクロの映画の一場面に相応しい。最後の「Blott En Dag 」はイントロにドビュッシーの「月の光」の一節が引用されていて、そのセンスが光る。曲自体も叙情的で、ほっこりとするような気分になる。これは、優れたトラックだ。「Dance Of Moroccan Veil 」はミステリアスなムードが漂う、このアルバムのなかでは異色の存在。ジョン・アバークロンビーの「Timeless」は二つに分かれているが、最初の部分は長いイントロといった位置づけで、幽玄の世界が感じられる。２部は１部の気分を引き継いで、メロディーがゆったりと流れていく。両者のコラボレーションの良さが強く印象付けられる秀演。ステファノ・アメリオによる録音は、ピアノとギターのバランスが良く、両者の渾然となったサウンドがアルバムのムードに相応しい。ということで、地味な仕事だが、じわじわと人気が出るアルバムのような気がする。少なくとも日本では息の長いベストセラーになる予感がする。現在のコロナ禍にあって、演奏者の意図には全く関係なく、聴き手の心を癒すアルバムとしてお勧めしたい。なお、このアルバムは現時点ではHIGHRESAUDIOからも$12.5で入手可能だ。Lorenzo Cominoli,Roberto Olzer:Timeline（Abeat）24bit 96kHz Flac1 Ryuichi Sakamoto:Bibo No Aozora2 Lorenzo Cominoli:Blue Whale3 Garrison Fewell:Dance Of Moroccan Veil4 Roberto Olzer:Atlantis5 John Abercrombie:Timeless Part I 6 John Abercrombie:Timeless Part Ⅱ7 Lorenzo Cominoli:The Dolphin Jump8 Novembre (Roberto Olzer)9 Blott En Dag (Oscar Ahnfelt)Lorenzo Cominoli (g)Roberto Olzer (p)Recorded at Artesuono Recording Studio, Cavalicco (UD) by Stefano Amerio, September 30, 2019

2020年07月24日

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Qobuz問題？の顛末

2、3週間前にqobuzから購入したルサージュのシューマンのピアノ曲全集13枚組。CDの2ー4が欠落していたので、qobuzに連絡した。これについて以前のブログで触れた。ところが、『取引の履歴が残っていない。ついては、カードの番号や、カードの取引履歴、銀行の口座、全てのレシートの写しなどを教えてくれ』という連絡があった。本題はそこにあるのではないので、少し怒りながらも、quobuzのサイトにある購入履歴を送った。その後音沙汰がなかったので、嫌々ながらデータを揃えて送る準備をしようとしていた。何の気なしに、ダウンロードサイトでファイルを眺めていた。すると、欠落していたCDのデータが何食わぬ顔でリストに載っていることに気がついた。早速CD3枚分のデータをダウンロード。おそらく私との連絡でもたもたしているうちに、他のユーザーからもクレームがあったのだろう。これで連絡をしなくても済むと勝手に作業を中断してしまった。個人的には結果オーライになったのだが、qobuz側の対応の仕方がおかしい。問題を解決しようとしないで、その前に取引の確認でつまずいてしまったからだ。取引の確認はやる必要があるのだろうが、ダウンロード内容に欠落があるという指摘があったら、まずその内容を確認するのが筋だと思う。どうも変な方向に進めてしまったようだ。このサイトのヘルプデスクは、なんか変だ。メールの署名がいつも同じなので、一人でやっているのかもしれない。いつも例に出すprostudiomasitersやHDtracksは処理が的確でスピードも速い。彼らもスタッフは少人数だと思うが、この差は何だろう。qobuzは今月時点で従業員は67名で、配信業者としては大きいほうだと思われる。なので、それほどおかしな会社でもなさそうだが、従業員の評価が5★中3★であまりいいとは言えないのが少し気になる。いずれにしても、製品に問題があれば、それを修正するのが、一番先にすることである筈なのに、この会社はその意識が徹底されていない。タイトル数や価格については文句ないので、今後何か事故が起こらないことを祈るばかりだ。

2020年07月22日

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やってしまった

数週間前に、オクラとだだちゃ豆を定植した。オクラは初めて、だだちゃ豆は2回目の挑戦だ。オクラは支柱が必要だということで、昨日までに斜めになっている物に支柱を立てた。今日だだちゃ豆の葉が黒っぽくなっているので、裏側を見たら、油虫が沢山付いて入る。慌ててダコニールを散布した。オクラの病気もチェックしていたら、画像がどうもだだちゃ豆の画像に似ている。そのうち、当ブログがだだちゃ豆とオクラを間違えていたことに気がついた。今まで全く気がつかなかったというのも、我ながら情けない。播種したときに勘違いしてしまったのだろうが、あり得ないことだ。種類を取り違えたということは、畝幅や株間、肥料の分量も間違っている。オクラはだだちゃ豆用に株間を広く取っていたので問題がないと思うが、だだちゃ豆はどうなるか心配だ。支柱はそのままでいいのだろうか？間違いがわかった後で、本当のオクラのアブラムシ取りをしていたら、白い透明なぶつぶつが付いている。アブラムシの卵かと思って粘着テープでついでに取ってしまった。後でYoutubeを見たら、オクラから出るものということが分かった。調べてみるとムチンという粘性のあるタンパク質で、これがネバネバの正体だ。これに触れると手が痒くなるらしい。なので、収穫したときにネバネバしていないかちょっと心配だ。また、オクラを取ったときには生毛を取るために塩をふってまな板の上で転がすそうだ（板ずり）農業は奥が深いということが分かったのは最近のことで、何も知らないで適当に植えていたことがいかに良い加減だったか、今更ながら反省している。ナスの水やりも一株当1日に10Lから15Lも必要だということも初めて知った。ナスに特化した農家の方のYouTubeで知ったのだが、こんなに大量に水をやるとは思っていなかった。雨水を溜めておくタンクもあるらしい。単なる家庭菜園とはいえ、知れば知るほど奥が深いことを感じている、今日この頃だ。

2020年07月20日

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Josha Redman,Brad Mehldau,Christian McBride,Brian Blade:RoundAgain

ジョシュア・レッドマン（1969-）の新作はレッドマンの初リーダー・アルバム　「Mood Swing」(1994）のメンバーとの35年ぶりの再会セッション。参考までにデビュー作を聴いてみた。デビュー作は初々しく、清新さが漲っていて、完成度は高い。因みに、この録音は第28回スイングジャーナルディスク大賞（1994）の第1回の最優秀新人賞を受賞している。但し、今回の録音とはスケールの大きさがまるで違う。マクブライドの言葉によると、『メンバーは指数関数的に成長し、いまやスーパーモンスターになった』とのこと。出典：nonesuch journal今作はよくある再会セッションの、和気あいあいという感じではなく、真剣勝負をしているようなシリアスなムードが漂っている。1番の年寄りのレッドマンが51歳、他は若いマクブライドでも48歳で、油の乗り切った年齢だ。以前はメルドーが1番の年寄りのように思っていた。メルドーに比べて引き締まった体で、レッドマンの若々しさが目立っている。今回の録音はメンバー全員がグレイトになっているだけではなく、再開セッションらしからぬ完成度で、聴いていてとても気持ちがいい。レッドマンが3曲、メルドーが2曲、他のメンバーが一曲づつ提供している。再開セッションらしい華やかなムードはなく、ムードは決して明るくはない。しいて言えば、レッドマンがソプラノを吹く「Floppy Diss」がビターなユーモアを感じさせるくらいだ。最初のレッドマンの「Undertow」は知らないとメルドーの作品といってもおかしくない。メンバーのなかでは、レッドマンのソロが他を圧している。特に「Moe Honk」のソロは凄まじく、これに絡むメルドーとブレイドも挑戦的だ。「Silly Little Love Song」も小唄のようなリラクゼーションが感じられるが、スケールが途方もなく大きい。マクブライドはそれほど目立ってはいないが、サウンドの存在感が半端ない。メルドーの「Father」は親しみやすいメロディーで、このアルバムの中では最も受けがいいだろう。最後はアルバム中唯一のスローナンバー「Your Part To Play」がしみじみと演奏される。途中のメルドーとレッドマンの甘さを排した絡みはなかなかの聞き物。何故か、父のデューイ・レッドマンが参加していたキース・ジャレットの「生と死の幻想」を思い出してしまった。演奏時間が40分足らずで、今時の録音としては短めだが、物足りなさはまるで感じられない。まだ前半を終わったばかりだが、年末の賞取りにノミネートされる予感がする。ただ、キャッチーなメロディーがあるわけでもなく、ムードも暗いので、一般受けするかどうかは分からない。追記彼らの２日間のコンサートを1時間ほどにまとめたビデオが、7／23にYouTubeで公開されている。Jazz Night In America ConcertJosha Redman,Brad Mehldau,Christian McBride,Brian Blade:RoundAgain(Nonsuch)24bit 96kHz Flac1.Joshua Redman:Undertow2.Brad Mehldau:Moe Honk3.Joshua Redman:Silly Little Love Song4.Joshua Redman:Right Back Round Again5.Christian McBride:Floppy Diss6.Brad Mehldau:Father7.Brian Blade:Your Part To PlayJosha Redman(ss,ts)Brad Mehldau(p)Christian McBride(b)Brian Blade(ds)

2020年07月18日

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John Wilson Korngold:Symphony,Theme And Variations,Straussiana

Predto Musicのバーゲンで購入した一枚。ジョン・ウイルソンといえばイギリスのライト・クラシックの分野で活躍していて、デビュー当時から愛聴していたものだ。最近は本格的なクラシックにも進出し、シャンドスでBBC響を振ってコープランドやリチャード・ロドニー・ベネットなどコンスタントにリリースしている。コルンゴルトの作品を集めたCDは昨年のリリース。BBC Music Magazine Awardsのオーケストラ部門で1位だったほか、色々な賞を受賞していたはずだ。交響曲はコルンゴルドの唯一の交響曲で、当ブログはプレヴィンの演奏で長らく親しんできた。この演奏はドイツ・オーストリア風の堅個な仕上がりで、コルンゴルドがオーストリア人であることを強く感じさせるものだった。今回のジョン・ウイルソン(1972-)の演奏は、そういった硬い感じの音楽ではなく、あくまでもしなやか。コルンゴルトの体臭もあまり感じられなくて、現代的な演奏だ。今の時代には相応しい演奏で、初めて聴くのにもとっつきやすい易い。シンフォニア・オブ・ロンドンは映画音楽やセッション録音専門の団体で300以上の録音を残しているという。現在の団体はジョン・ウイルソンが2018年に再結成したもので、今回がデビュー録音だそうだ。大変うまい団体で、常設のオケに引けを取らない。編成がどうなっているのか不明だが、通常のオケと同等のサウンドを響かせている。録音風景を見ると、教会での収録でステージにひしめき合っている。イギリスの伝統である金管楽器がうまいのも、コルンゴルトでは有利だ。ジョン・ウイルソンの外連味のない指揮とフットワークの良さが、コルンゴルトの音楽が濃厚一辺倒ではない、爽やかさも持ち合わせていることがわかる。往時のハリウッドのサウンドとは一味違った、今の世の中に相応しいサウンドを聴かせている。金管はそれほど鳴らしていないので、豪快さはそれほどでもないが、テンポの動かし方が絶妙で、引き込まれてしまう。そういう意味では、聴きどころが満載で、エンターテインメントに満ちている。こういうテンポをコントロールして聞き手を魅了する指揮者はあまり知らない。ライトクラシックで培われたものか、生まれ持った才能だろう。また、軽妙な味わいもジョン・ウイルソンのいいところだろう。交響曲はプレヴィン版に比べて1分から2分ほど短いが、速くなったことによって、この曲の重苦しさから免れている。それは、急速なスケルツォの第2楽章に最も表れていて、リスなどのすばしっこい小動物の動きを思い起こさせる。第3楽章はフランクリン・ルーズベルトへの追悼音楽といわれる楽章。激しい感情の起伏が表現され、感動的な演奏になっている。交響曲のほかには組曲「主題と変奏」と「シュトラウシアーナ」(1953)というヨハンシュトラウスを下敷きにした曲が収録されている。「主題と変奏」も速めのテンポで、キレのいい演奏。アチェレランド気味に追い込む部分はスリリングだ。「シュトラウシアーナ」はポルカーマズルカーワルツの3部構成で、聴き手をくすぐるような軽妙な表情とゴージャズなサウンドで、嬉しくなる。他に「新ピッツィカート･ポルカ」、オペレッタ「ウィーンのカリオストロ」、歌劇「騎士パスマン」からのワルツ、ポルカ「お気に召すまま」といった、あまり知られていない作品が取り上げられている。出典：http://scherzo111.blog122.fc2.com/blog-entry-165.htmlJohn Wilson Korngold:Symphony,Theme And Variations,Straussiana（CHANDOS CHSA 5220）24bit96kHz Flac1.Symphony, Op. 40 (1947-52) In F Sharp For Orchestra5.Theme And Variations, Op. 42 (1953) For School Orchestra6.Straussiana (1953) For Orchestra After Johan StraussRecorded 14-16 JUne 2019 at the Church of S. Augustine, Kilburn,London

2020年07月15日

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Kenny Barron 、Margrew Miller: TheArt of Piano Duo

ケニー・バロン(1943-)とマルグリュー・ミラー(1955-2013）による3回分のデュオ・コンサートをまとめたもの。先日までミラーとペデルセンのデュオアルバムに関心があり、その繋がりで見つけたアルバム。サニーサイドからの去年の10月にリリースされている。ミラーは若くして亡くなったが、亡くなってから7年も立っているとは思わなかった。今のところ、bandcampのみ配信されているようだ。フォーマットが24bit44.1kHzで価格も$18なので、3枚組CDの約半額とだいぶお得だ。MCを除いて18曲が演奏されている。演奏時間がかかる１０分を超す曲が多く、トータルで3時間を超える。一通り聴くのだけでも大変だ。1回目のコンサートは、2005年8月にフランスのマルシアックで開催された。他の2つは2011年の5月に開催されたスイスのジュネーブとチューリッヒのコンサート。ブックレットには書かれていないが、3回ともジャケ写通りの配置なら、左がケニー・バロンで右がマルグリュー・ミラーのようだ。曲はアメリカのスタンダードとジャズ・ジャイアンツによるオリジナルで構成されている。メンバーの曲はケニー・バロンの「Song For Abdullah」のみ。どの曲もゆったりとしたテンポで進められ、そこにマスターたちの名人芸が繰り広げられる。まさにゴージャスなひと時を過ごすことができる。こう書くと、マナーを守って引くべきところは引くみたいな感じになってしまうが、まるで逆。ソロではお互いに攻めまくり、聴き手にまでその熱が伝わってくるかのようだ。バックでもそれほど引くわけではなく、熱は上昇するばかりだ。これが2人合わせて120歳を超える演奏だろうか。ただし、同じ傾向の演奏が続くと、息が詰まりそうになる。残響の多い会場のためか、音の粒立ちがいまいちで、速いパッセージでは音がお団子状態になってしまうのが惜しい。ソロで一息つけるのは熱気を冷ます意味でも有難い。ソロ・ピアノはどちらもオーソドックスだが、マルグリュー・ミラーが一ひねりした解釈で面白い。小さいのであまり目立たないが、ケニー・バロンがソロのときに声を出しているのは意外だった。演奏時は3時間を超すので、映像があれば、また違ってくるのだろうが、音だけを続けて聴くのはかなり辛い。録音はオフ気味なところが物足りないが、鑑賞には差し支えない。但し、ソロのときの会場ノイズが結構うるさい。Kenny Barron,Margrew Miller: TheArt of Piano Duo(Sunny Side）24bit 44.1kHz Flac1.Frank Perkins, Mitchell Parish:Stars Fell On Alabama2.When Lights Are Low3. Joe Henderson:Recordame4.Intro By Mulgrew Miller 5.Kenny Barron:Song For Abdullah6.Intro By Kenny Barron 0:217.Richard Rodgers & Lorenz Hart:It Never Entered My Mind8.Thelonious Monk:I Mean You9.Thelonious Monk:Blue Monk10.Jimmy Van Heusen And Johnny Burke:It Could Happen To You11.Gus Kahn, Nacio Herb Brown:You Stepped Out Of A Dream12.Intro By Kenny Barron13.Joseph Scott :Never Let Me Go14.Intro By Mulgrew Miller 0:1615.Fran Landesman, Tommy Wolf:Spring Can Really Hang You Up The Most16.Intro By Mulgrew Miller17.Thelonious Monk:I Mean You18.Richard Rodgers & Lorenz Hart:Have You Met Miss Jones19.Charlie ParkerYardbird Suite20.Intro By Kenny Barron21.Benny Carter, Spencer Williams:When Lights Are Low22.Ray Noble:The Very Thought Of You23.Intro By Kenny Barron 24.Duke Ellington, Paul F. Webster:I Got It Bad And That Ain't Good25.Intro By Mulgrew & Kenny26.Andy Razaf, Eubie Blake:Memories Of You27.Clifford Brown:Joy SpringKenny Barron(p)Mulgrew Miller(p)Kenny Barron solo Track 5,15,26Mulgrew Miller solo Track 7,13,24Recorded live on August 7, 2005 in Marciac, France(track 1-9)Recorded live on May 12, 2011 in Geneva, Switzerland(track10-18)Recorded live on May 14, 2011 in Zurich, Switzerland'(track 19-27)

2020年07月13日

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Sakari Oramo William Alwyn:Miss Julie

Presto Musicのメールマガジンの新譜案内で知ったオルウィン（アルウィン）の「令嬢ジュリー」を聴く。HIGHRESAUDIOから$14.5で購入。オルウィンといえば映画音楽しか聴いたことがない。7０本以上の映画の音楽をつけたそうだが、映画会社が破棄してしまい、現在はわずかしか残っていないらしい。クラシックでは5つの交響曲と2つのオペラ、様々な協奏曲、弦楽四重奏曲がある。フルートと作曲を学び、ロンドン交響楽団の首席奏者だったこともあるという。このオペラはオルウィンの最後のオペラで、スウェーデンの劇作家ヨハン・アウグスト・ストリンドベリ(1849-1912)の戯曲「令嬢ジュリー」を元に、オルウィン自身が台本を書いたオペラで、1973年～76年に作曲されたオルウィンの最後の大規模な作品だそうだ。オペラとしてもPhilippe Boesmans(ブスマンス 1936-)も作曲しているので、魅力的な素材なのだろう。あらすじは、19世紀末のスウェーデン、白夜の美しい夏至の日。婚約が破棄されおかしくなった伯爵令嬢が、下男と関係を持つ。一緒にイタリアでホテルを経営しようと計画するも、伯爵が帰宅し、追い詰められたジュリーは自ら命を断つというもの。結構演劇として上演されているし、映画にもなっているらしい。当ブログ派映画やイギリスのシェイクスピア・カンパニーのテレビドラマをすこし観たが、何故上映が盛んなのかは分からなかった。この映画はアカデミー賞受賞女優のヘレン・ミレンが主演している。若い時の作品だが、僅かながら現在の面影がうかがえる。アルウィンのサスペンス調の音楽は完成度が高く、あらすじを知らなくても楽しめる。映画音楽で鍛えられた腕は確かなようだ。管弦楽が雄弁で、全体にクールな肌触りだが、夜の音楽にもかかわらずドラマチックで色彩も豊かだ。プロコフィエフの「シンデレラ」のワルツに似た旋律が時々聞こえるが、美しくもかなり不気味だ。オルウィンは独自の12音技法を開発したそうで、ツェムリンスキーやベルクを思い出させるような部分もあり、音楽だけを聴いても十分に楽しめる。wikiキャストは4人で、主に歌っているのはジュリーと下男のジャン。他は料理人で事実上のジャンの婚約者であるクリスティン、ゲームキーパーのウルリック。ウルリックの出番は第一幕第2場で少しあるだけ。演劇などではキャストに含まれないことが多いようだ。ところで、ゲームキーパーとは聞き慣れない言葉だが、日本語で言うと狩猟管理人という意味らしい。イギリスの大きなお屋敷で、敷地内の鳥や獣の数を管理していて、狩猟時期に何頭までとっても良いなどと、指示するのだそうだ。現在でも職業として存在するのは、貴族などのハイソの人たちがいるイギリスならではだろう。出典: https://ameblo.jp/liliesrose/entry-11964541162.html主役2人の歌唱は素晴らしい。ジュリー役のAnna Patalongはもう少し声が細いほうが役に相応しいように思う。Benedict Nelson（ジャン）は声が立派すぎて、役にはもったいない感じがする。サカリ・オラモ指揮のBBC交響楽団はサウンドがクリアでメリハリもはっきりしている。ここぞというところでの劇的な表現にも不足はない。分厚いサウンドで透明度が高く、オペラの録音としてかなりの水準だと思う。やはりでセッション録音だけのことはある。Sakari Oramo William Alwyn:Miss Julie(Chandos CHSA5253）24bit96kHz FlacACT1：Scene１Scene２ACT2:Anna Patalong(s Miss Julie)Benedict Nelson（B・Bar Jean）Rosie Aldridge(ms Kristin)Samuel Sakker(tn Ulrik)BBC Symphony OrchestraSakari OramoRecording venue Phoenix Concert Hall, Fairfield Halls, Croydon; 5 – 8 October 2019

2020年07月11日

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Anna Luna Lucas Quintet：Feminina

管理人の好きな歌手であるアンナ・ルーナ。思い出した度に新譜をチェックしているが、なかなか新作がリリースされない。。この前、qobuzをチェックしたら2016年にリリースされたFemininaというアルバムがあることに気が付き、速攻でゲットした。ジャズメンのオリジナルに南米の音楽を組み合わせたアルバム。相変わらず歌はうまいが、デビュー当時の活舌の良さは若干後退した感じがする。その代わり、滑らかなフレージングが心地よい。ブラジルのシンガー・ソングライターJoyce Moreno(1948-)の作品が二つ取り上げられている。タイトル・チューンの「Feminina」は、かなり速いテンポの曲で、冒頭のドラムスとのデュオがなかなかスリリングだ。Esa Muje(或る女）はエリス・レジーナに取り上げられてから有名になった曲らしいが当ブログは聴いたことがない。スローテンポでサウダージを感じさせるが、少し重めで、深い抒情が色濃く出た逸品。ヴォーカルが実に素晴らしい。歌詞の大半はスペイン語でブラジル音楽はポルトガル語かもしれない。ジャズメンのオリジナルでも、しっくりきて違和感はない。ジャズのオリジナルはマイルスの「ブルー・イン・グリーン」などのインスト・ナンバーが並んでいる。彼女は昔からインストものが得意だが、このアルバムでもそれは健在だ。「ブルー・イン・グリーン」のヴォーカル版がどれほどあるかは分からないが、間違いなく最上位にランクされる演奏だろう。ディープな色彩の中にメロディーが浮かんでくる。「ナーディス」は速いテンポでスキャットを交えている。ビートのきいた洗練された演奏で、クールな表情がいい。冒頭のガレスピーの「コン・アルマ」も洗練された解釈で、Bメロの高揚感がいい。ただし、フルートが、いまいちなのが惜しい。「Summer Night」は映画「Sing Me A Love Song」（1936)の音楽。管理人はギルとマイルスの「Quet Night」の演奏を思い浮かべる。スローテンポで始まるが、途中からアップテンポになる。アップ・テンポの爆走するようなスピード感が、鳥肌ものだ。最後はメキシコの最初の国際的な女性作曲家であるMaría Grever（マリア・グレヴェール）(1885 – 1951)の出世作「Júrame」（わたしに誓って）が、ピアノとのデュオで、しっとりと歌われている。ゆったりとしたテンポで、しみじみとした抒情が心に染み入る。個人的には、既存のメキシコの歌手のような情熱が感じられないのが、かえって好ましい。ジャズ歌手が歌うと、こうなるという良い見本だ。バックはバルセロナで活躍しているピアニストのハイメ・ヴェラセカを中心としたワンホーン・カルテット。まったく知らないミュージシャンばかりだが、これがかなり水準の高く、ご機嫌なバッキングだった。ビクトル・デ・ディエゴのテナーはコルトレーンを思い起こさせるような、メタリックで透明なサウンドが魅力的だ。ということで、これは思わぬ拾い物というのが失礼にあたるほどの、大傑作だった。あまり知られていなアルバムが傑作な時は、得をした気分になる。音楽を聴くときの、ささやかな醍醐味の一つだろう。なお、このCDより新しい「Urubú」(2018)がリリースされているが、スペインのローカル色が強く、あまり良いとは思えなかった。ホームページのバイオに結構な数のCDがリリースされていることが書かれてある。簡単には入手できないようだが、機会を見て探したい。蛇足だが、彼女の情報をチェックしていたら同名の日本のアパレルメーカーがあることを知った。昔ベーシストのセシル・マクビー(1935-)が同名のアパレル・メーカーを訴えたことを思い出した。Anna Luna Lucas Quintet：Feminina(Quadrant Records) 16bit 44.1kHz Flac1.Dizzy Gillespie:Con Alma2.Ettore Fioravanti:Los Besos de Lesbia3.Miles Davis:Blue in Green4.Miles Davis:Nardis5.Joyce:Femenina6.A. C. Jobím:Luiza7.Joe Henderson:Black Narcissus8.Joyce:Esa Mujer9.Harry Warren:Summer Night10.María Grever:Júrame(Promise, Love)Anna Luna(vo)Jaume Vilaseca(p)Curro Gálvez(b)Roberto Faenzi(ds,perc.)Víctor de Diego(ts,fl)

2020年07月09日

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Sokolov Beethoven Brahms

グリゴリー・ソコロフ(1950-)のドイツ・グラモフォンでの3枚目のアルバム。いつものprostudiomastersで税込みC$24.4、日本円で\2000で手数料を考慮しても、国内の半分以下。CDで添付されるDVDの音源は収録されていない。ソコロフは協奏曲は演奏せず、スタジオ録音もしなくなったため、今回もライブ録音。2019年にヴッパータールのサラゴサとチロルの村ラビで行ったリサイタルからの録音。ラビにはアルトゥーロ.ベネデッティ.ミケランジェリの家がある。曲目はベートーヴェンの作品90のソナタと作品119の11のバガテル。ブラームスの間奏曲など。あとはアンコール。どの曲も遅めのテンポで、悠然と進んでいく。取り立てて新しい発見はないが、滋味溢れる演奏で、しみじみとした感興を覚える。気に入ったのは、作品119のバガテル。「とるに足らないもの」と言う名前で、演奏時間も数分という短い曲集。名前は謙遜だろうが、どの曲も味わいがある。こういう曲はテクニックだけではどうにもならないもので、ピアニストの引き出しの多さと成熟度合いが試されている、ある意味怖い曲だろう。当ブログは昔は全く興味がなかったのだが、以前BISから出ているロナルド・ブラウティハムのピアノ全集から変奏曲やバガテルなどを集めたロスレスを聞いたのがきっかけで、どの曲も味わい深いことを知った。因みにエリーゼの為にもバガテルの一つであることは最近知った。(バガテル第25番)ブラームスはベートーヴェンよりは動きがあるが、他のピアニストほどではない。アンコールではラモーの生き生きとした表情とドビュッシーの「雪の上の足跡」が気に入った。録音はライブとはいえ、ピアノの音の輪郭がはっきりしない。ピアノそのものやホールの残響、マイクセッティングなど制約が多い録音だったのだろうか。特に会場ノイズのレベルが大きすぎて、一部感興を損なうこともあった。HMVレビューを見ると、あまり手を加えていないようなので、プロデューサーの判断だろう。最後のドビュッシーなどセッション録音で聴きたいところだ。ところで、バガテルとブラームスの曲名と曲順がバラバラだった。何か変だと思ったのは、しばらく経った後。ようやく、間違いがわかったのだが、曲順と曲名を修正するのはそう簡単ではない。以前も同じような目にあったので、今回はリリース元に連絡した。しばらく時間がかかるだろうと思っていたが、次の日には修正が済んだと言う連絡があった。なので、tagの編集はあるにしても、それほどの労力を使わずに済んで何よりだった。今回のprostudiomastersの対応には大変満足している。ただし、こういったミスが結構ある会社なので、ミスのないようにしてもらいたい。まあ、少人数で仕事をしているので、なかなか難しいとは思うが。。。。他の配信元でもトラブルは結構ある。つい先日もQobuzでボックスセットのバーゲンがあり、ルサージュのシューマンのピアノ曲全集を購入した。ところが、最初から躓いてしまった。何と、圧縮されていなくて、一曲ごとにダウンロードしなければならない。CD 13枚分でおまけにシューマンのピアノ曲は短い曲が沢山ある。全部で確か330曲以上。さすがに、配信元に何とかならないか連絡したが、5ギガ以上のダウンロードは不安があるので、同時にダウンロードするのは一つにしてほしいと、頓珍漢な回答が来た。埒が明かないし、これ以上頑張っても無理のようなので、１つずつダウンロードした。自宅のpcは速度が速いので、ダウンロード時間は少ししかかからないので、連続してダウンロードしてもほぼ重ならない。その後、ダウンロードをチェックして、重複や不足しているファイルをチェックした。ここでもCDの順番が不規則だ。全部チェックしたところ、曲数が足りない。サイトのリストとダウンロードの履歴を比べたところ、CDの2〜4がすっぽり抜けていることがわかった。しょうがないので、問い合わせメールの回答にその旨書いて返信した。その後音沙汰がない。演奏は素晴らしいものだっただけに、ちょっとケチが付いたのは残念だ。しばらく待つしかないが、憂鬱な日々が続くと思うと気が滅入ってしまう。Sokolov:Beethoven Brahms(DGG)24bit 96kHz Falc1.Ludwig van Beethoven:Sonata In C Major No. 3 Op. 2/35.Ludwig van Beethoven:Bagatelles Op. 11916.Johannes Brahms:Piano Pieces Op. 11822.Johannes Brahms:Piano Pieces Op. 119Encores26.Franz Schubert:Impromptu In A Flat Major D 935/2 (Op. 142/2)27.Jean-Philippe Rameau:Les Sauvages From Nouvelles Suites De Pièces De Clavecin28.Johannes Brahms:Intermezzo In B Flat Minor Op. 117/229.Jean-Philippe Rameau:Le Rappel Des Oiseaux From Pièces De Clavecin30.Sergei Rachmaninov:Prelude In G Sharp Minor Op. 32/1231.Franz Schubert:Allegretto In C Minor D 915 632.Claude Debussy:Des Pas Sur La Neige L 117/6 From Préludes, Book 1Grigory Sokolov(p)Recorded 20 June 2019 at the Mozart Hall of the Auditorio de Zaragoza,(track 1-4,29,30)Recorded at the Klavier-Festival Ruhr on 14 June, 2019 at the Historische Stadthalle Wuppertal(track 5-15,32)Beethoven, Bagatelles op. 119 · Debussy, Des pas sur la neige

2020年07月07日

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Kandace Springs:The Woman Who Raised Me

キャンディス・スプリングスの新譜を聴く。購入したのはほぼリリース時点だったのだが、それ以来あまり聞いていない。理由は、ソウル色が強く、黒人の体臭が強く感じられるものだったからだ。今回は豪華なゲストを迎えたスタンダード曲集。タイトルにあるように自分を育ててくれた女性ヴォーカリストたちへオマージュ。2014年にブルーノートのオーディションに合格してから、わずか6年にして3枚目のリーダーアルバムで、ブルーノートの力の入れ方もわかるというもの。歌自体は多少癖があるものの立派なものだ。特に最後の「奇妙な果実」でのエレクトリック・ピアノとのデュオは圧巻。「Angel Eyes」では、十代からのファンであるノラ・ジョーンズとの共演。ノラ・ジョーンズがジャズ・クラシックを歌うなんて、久しく聞いていなかったので、懐かしい感じがする。ジャズ歌手としての力量は衰えておらず、とても嬉しく思う。スプリングスに比べると当然ながら白っぽいが、スプリングスに一歩も引けを取らない出来だ。ただし、この曲もソウル色が強く、曲の解釈としては疑問を感じる。ボサノヴァの「Gentle Rain」では粘っこく重い歌い方で、曲にはふさわしくない。クリス・ポッターのアルトは素晴らしい。最初の「Devil May Care」では、冒頭からクリスチャン・マクブライドのベースが超強力。ヴォーカルも負けじと頑張っている。ニーナ・シモンのカバーである「I Put A Spell On You」ではベートーヴェンの月光のメロディーが使われていて一風変わったテイストが感じられる。この曲もソウルっぽく、サンボーンのアルトがそれに輪をかけて濃いため、当ブログとしては、些か辟易気味。まあ、本家の濃さがないのが救い。シャーデーの「Pearls」はホーンが加わっていて、アルバムの中では気に入ったトラックの一つ。アヴィシャイ・コーエンの渋いトランペットがいい。「Ex-Factor」はもともとソウル色の強い歌なので、スプリングスのボーカルが曲にぴったりで、悪くない。エレピやギターそれにバックコーラスも効果的だ。ボニー・レイットの「I Put A Spell On You」はスプリングスがブルーノートのオーディションで歌った思い出の曲だそうだ。その時に社長のドン・ウォズが、プロデュースしたことを話したというオチがついている。「Solitude」は型にはまらない自由なイマジネーションのヴォーカルが魅力的だ。「What Are You Doing The Rest Of Your Life」は淡々と歌われることが多いが、ここでは声を張り上げることがあり、珍しい解釈。Kandace Springs:The Women Who Raised Me（Blue Note BLUNB003161902.2）24bit 96kHz Flac1. Robert Dorough*, Terrell Kirk* :Devil May Care2. Earl K. Brent, Matt Dennis :Angel Eyes3. Screamin' Jay Hawkins :I Put A Spell On You4. Andrew Hale, Sade Adu:Pearls5. Alan Bergman, Clifford Smith (2), Corey Woods, Dennis Coles, Gary Grice, Jason Richard Hunter, Lamont Hawkins, Ms. Lauryn Hill*, Marilyn Bergman, Marvin Hamlisch, Robert Fitzgerald Diggs*, Russell Tyrone Jones* :Ex-Factor6. Allen Shamblin, Mike Reid :I Can't Make You Love Me7. Luiz Bonfá, Matt Dubey:Gentle Rain8. Edward Kennedy Ellington*, Edgar De Lange*, Irving Mills:Solitude9. Hoagy Carmichael, Ned Washington:The Nearness Of You10. Alan Bergman, Marilyn Bergman, Michel Legrand:What Are You Doing The Rest Of Your Life11. Charles Fox, Norman Gimbel:Killing Me Softly With His Song12. Lewis Allan:Strange FruitKandace Springs（vo、Fender Rhodes, Piano, Wurlitzer Piano）Steve Cardenas Guitar(g)Clarence Penn（Ds）Scott Colley（b）guest:Christian McBride（b）Norah Jones（vo、Piano）Avishai Cohen（TP）Elena Pinderhughes（Flute）Chris Potter(ts）David Sanborn（as)

2020年07月05日

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London Brass Gregson:Music Of The Angels

レコード芸術で知ったロンドン・ブラスの新録音を聴く。シャンドスからのリリースで、エドワード・グレッグソン（1945-)のブラス・アンサンブルの作品を集めている。大変意欲的な録音で、半分以上が世界初録音。打楽器を含む大編成の作品では、このレーベルではお馴染みのラモン・ガンバが指揮をしていて、指揮者なしの曲では作曲者が監修している。当ブログはグレッグソンのこの類の作品はあまり知らない。管楽器のコンチェルトをいくつか知っているだけだが、なかなか分かりやすく、モダンでシャープな作風で親しみやすい。このブラス・アンサンブルの作品集でもそれは同じで、非常に耳あたりがいい。アーノルドやスパークの作品だといってもおかしくない程だ。大規模な曲がそろっている。１８分ほどの交響曲第2番をはじめとして、タイトル・チューンも15分ほどの5曲からなる組曲。「交響曲第2番」(2012 2014改訂）は打楽器やユーフォニアムなども加わり、ブラスアンサンブルではなくブラスバンドのサウンドにかなり近い。ビューグル族が少ないので、それだけシャープなサウンドになっている。2楽章に分かれているが、第2楽章はテーマと4つの変奏曲からなる。「3つのダンス・エピソード」は8重奏のための作品で、通常の五重奏にトランペットとトロンボーン、ユーフォニアムが追加されている。どの曲も短いながら親しみやすい作風で楽しめる。2楽章からなる「金管五重奏曲」は、グレッグソンが王立アカデミー在学中の作品。フィリップ・ジョーンズにより初演されている。若書きとは思えないしゃれた作品で、澄み切った空を思わせる空気感がいい。「フィリップ・ジョーンズのためのアリア」 (2000 Revised 2019) はタイトル通りフィリップ・ジョーンズに捧げられた作品。静かな部分はもちろんあるが、激しいリズムを伴ったエンディングは鳥肌ものだ。「Music Of The Anels](2000, new version 2015)はヨハネの黙示録（黙示録）の第8章の第2節『それからわたしは、神のみまえに立っている七人の御使を見た。そして、七つのラッパが彼らに与えられた。』に基づいて、7本のトランぺット（1本はフリューゲル持ち替え）、ユーフォニアム、打楽器（ゴング、ベルを含む）のために書かれている。メシアンの「われ死者の復活を待ち望む」から影響を受けた作品とのこと。1998年に合唱曲として作曲され、その後何回かの委嘱により編成を変えて改変され、最終的に現在の形になったようだ。大変劇的な作品だが、宗教的な雰囲気はあまり感じられない。３楽章、５楽章の速い楽章が凄まじい。特に第5楽章は圧倒的な迫力とカタルシスが感じられる。演奏はブラス・アンサンブルのCDの中でも1，2を争う出来で、文句のつけようがない。この音源はいつものprostudiomastersからC$14.99で購入したが、presto musicではさらに安く、何と￥1080！でハイレゾを購入できる。ブックレットもついているので、ハイレゾを聴ける環境の方には、こちらがお勧め。Gregson: Music of the Angels(Chandos CHAN20127）24bit 96kHz Flac1.Fanfare for a New Era (2017) For Symphonic Brass and Percussion To Sir Norman Stoller2.Symphony in two movements (2012, new version 2014) or Symphonic Brass and PercussionTo Paul Hindmars8.Three Dance Episodes (1974)11.Flourish for an Occasion (1981) for Brass Octet13.Quintet for Brass (1967) For the Philip Jones Brass Ensemble14.Aria for Philip (2000 Revised 2019) For Brass Quintet In memoriam Philip Jones15.Music of the Angels (2000, new version 2015) for Symphonic Brass and PercussionIn tribute to Olivier MessiaenLondon BrassRumon GambaRecorded Henry Wood Hall, London; 20 and 21 June 2019

2020年07月03日

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Gary Peacock:Tales of Another

キースジャレットの75歳を祝って、国内独自の企画としてDSDが数アイテムリリースされた。このなかに含まれている、ゲーリー・ピーコックの「Tale of another」のCDをアップ・コンバートして聴いているが、イマイチ音が良くない。なので、この機会にDSDを購入しようと思った。ところが、価格が4千円以上するので、おいそれとは買えない。運のいいことに楽天のポイントが溜まっているので、e-onkyoから全額ポイント支払いで購入。素晴らしいサウンドで満足している。ふと思い立って、海外でこのアルバムのDSDファイルが売られていないかチェックした。そうしたら、あるではないですか。Acoustic Soundというサイトで、何と$17.98と他のサイトのflack並みの価格。しまったと思ったのも後の祭り。DSD化のピロセスがどうなっているのか、確かめなければならないが、使えそうなら今後利用したい。ただし、アメリカとカナダ限定なので、国内からはVPNを使わなければ利用できない。演奏は定評のあるもので、スイングジャーナル 1977年度ジャズ・ディスク大賞銀賞を受賞している。のちのスタンダーズ結成のきっかけになった作品だ。コンセプトが違うとはいえ、個人的には、スタンダーズの諸作よりも優れていると思っている。なによりも、ピーコックの作曲が素晴らしい。ベース・ソロも力強く、美しいサウンドを響かせている。当ブログは「トリロジーⅢ」のスパニッシュ・ムードの攻撃的な演奏が一番好きだが、比較的地味な前半の3曲も、間が多く意味深い音楽になっていることを改めて感じた。禅の影響が感じられる音楽で、日本的な趣も感じられる。キースの唸り声が盛大に聞こえるが、今となってはとても懐かしく、この声を含めて彼らの演奏として受容できる。ソースはオリジナル・アナログ・マスターテープから制作した2018年のDSDマスター。ヒスノイズは結構大きめで、静かなところでは結構目立つが、演奏が白熱してくると全く気にならなくなる。音に潤いがあるものもいい。ピーコックの重量感のあるベースとデジョネットの鮮やかで小気味よいシンバル・レガートが、よくとらえられている。音場は中央にピアノ、向かって左にドラムス、右にベースという配置。若干ピアノが右寄りなのが少し気になる。Gary Peacock:Tales of Another(ECM）DSF 2.8MHz/1bit1.Vignette2.Tone Field3.Major Major4.Trilogy I5.Trilogy II6.Trilogy IIIRecorded in February 1977 at Generation Sound Studios, New York.

2020年07月01日

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