春に
谷川俊太郎さんの『どきん』という詩集を読んでいたら、「春に」という詩が載っていました。この詩は以前から大好きだったのですが、今、ちょうど春になるというこのときに改めて読んでみたら、春独特の気持ちがとてもよく表されていて、何度も読み返してしまいました。「よろこびだ しかしかなしみでもある いらだちだ しかもやすらぎがある あこがれだ そしていかりがかくれている」とか「あの空のあの青に手をひたしたい まだ会ったことのないすべての人と 会ってみたい話してみたい あしたとあさってが一度にくるといい」とか「地平線のかなたへと歩きつづけたい そのくせこの草の上でじっとしていたい 大声でだれかを呼びたい そのくせひとりで黙っていたい」とか…。新しい明日が楽しみなんだけどでも不安もあって、緊張するけどでもワクワクする、というような気持ちがすごくよくわかります。新しいことが始まって心がドキドキしているんだけれど、でも不安もあって、前に進みたいような、今の時間を大事にしたいような、いろんな気持ちが心の中で渦巻いている春独特のこの気持ち…。新しい年度になって仕事内容も変わり、不安なことがいっぱいあったけれど、不安も含めて今しかないこの気持ちを大事にしようと思いました。